2016/05/27

月次変動の可視化(葬儀業の単価と取扱件数)

先日の葬儀業における単価と取扱件数の季節変動の話題(葬儀の値付けには市場原理が働いている?)について、分かりやすいように表現してみた。

2000年から2016年までの各1年を1つのバブルとしてグラフにした。バブルの色は青系(2000年)から赤系(2016年)にグラデーションしている。(なお2016年は1月~3月までの3ヶ月間のみ)

縦軸は従業者1人あたりの月間取扱件数、横軸は葬儀の単価、バブルの大きさはその月の葬儀業全体の売上高である。

動画は1月からスタートし、12月まで動いていく。1月に左上に位置していたバブルが、徐々に右下に下がり、そして左上に戻っていく様子が分かる。この動きは、おおよそ毎年同じ傾向になっている。年により単価や取扱件数に違いが生じていても、動きが似ているということは、季節変動はほぼ毎年同じと考えられる。



この動画の元になっているグラフは下記にある(携帯などでは表示されないかも)。縦軸、横軸の設定なども切り替えられるので、よろしければどうぞ。
上記動画の元グラフ(www.meditur.jp/reports/funeralMotionChart.html)

2016/05/25

葬儀の値付けには市場原理が働いている?

先日、葬儀業における売上高の季節変動をグラフにして、6月が暇な時期であるという話をした。

葬儀屋はそろそろ最も暇な時期に突入するはず・・・ - 医療、福祉に貢献するために

人口動態の死亡者数の季節変動と相関がありそうだったので、売上高=死亡者数×単価で表すことができ、単価は変わっていないと考えた。

今回はその検証だ。

単価の推移(下のグラフの青線。単位は右軸)を見たところ、周期性があるではないか!!
葬儀業における単価と従業者1人あたり取扱争議件数の推移
出所: 経済産業省 特定サービス産業動態統計調査 長期時系列表(2000年1月~2016年3月)
葬儀の単価は夏高く、冬低い。これからの夏の時期に単価は高くなり、冬は単価が下がる。一緒にプロットした赤線は、従業員数1人あたりの月の葬儀件数だ。冬に増え、夏に減っている。単価と1人あたり件数は、逆の動きをしている。

競争原理が働くなら、忙しい時期は、黙っていても仕事が来るのだから値段を高くし、暇な時期は取り合いになるため値段を下げるべきだが、どうやら逆である。穿った見方をするならば、暇な時期は一生懸命に単価を上げ、売上を維持しようと努力しているのかもしれない。

・・・というようなことを考えていたら、夏の葬儀が高いのはドライアイス代が余計にかかるからでは? という意見まで出てきた。

いずれにしても面白い単価の変動である。次回、この上のグラフを分かりやすい形に変えてみたいと思う。

2016/05/20

このマクドナルドは飲食物持ち込みOK??

昨日の日経埼玉地方版に『「マック」で認知症カフェ、ヴェルペンファルマ、店内借り開催。』という記事があった。

社内で読んでいて、まず盛り上がった点は、タイトルにしたマックの場所を借りた上に、飲食物の持ち込みをOKにしたのか!!ということだ。

記事には次のように書かれていた。
同社は喫茶店を使った認知症カフェを2カ所で運営しているが、山あいの立地だった。同店は中心市街地に近くアクセスも良いため、同社は「気軽に行ける場所で楽しんでもらえたら」と期待する。参加は無料で、飲食物は持ち寄るか店舗で購入する。

このヴェルペンファルマの取り組みも素晴らしいし、それをOKにしたマクドナルドも素晴らしい。また、マクドナルドという場所は、認知症とあまり接点のない若い世代の客が多いならば、相互理解を生むための非常に良い場所のように思う。

勝手に盛り上がってしまった飲食物持ち込み可の話も含めて、マクドナルド299バイパス飯能店、スゴい。

2016/05/18

RESASの活用事例 ~沖縄県豊見城市~

ブログで何度となく紹介しているRESAS 地域経済分析システム。自治体の活用事例が掲載されていた。

関連プレスリリース
 「地域経済分析システム(RESAS)利活用事例集」を公表します(h28-04-21-rikatsuyoujirei.pdf)


医療関連では、沖縄県豊見城市の事例が載っている。RESASにアクセスし、右上のメニューボタンから、自治体による活用事例集(https://resas.go.jp/case/)を開くと、各自治体のレポートへのリンクが書かれている。

医療を中核に据え、自治体としての魅力を高めていこうという趣旨が非常によく伝わってくる。



そのレポートとは関係ないが、RESASで豊見城市を分析してみると、下のようなグラフを見ることができる。

RESASの分析事例
【出典】株式会社ナビタイムジャパン「経路検索条件データ」
【注記】検索回数は、同一ユーザの重複を除いた月間のユニークユーザ数。下記条件に全て該当した場合にのみ表示。
・施設分類が、観光資源、宿泊施設や温泉、広域からの集客が見込まれるレジャー施設や商業施設に該当
・年間検索回数が自動車は50回、公共交通は30回以上
・年間検索回数が全国1000位以内または都道府県別50位以内または市区町村別10位以内

ナビタイムで検索された回数を表示しているらしい。豊見城市内では、アウトレットモールの検索回数が最も多いということのようだ。

RESASは眺めているだけでも面白いが、具体的な目的を持って活用するともっと面白いのは言うまでもない。

2016/05/17

葬儀屋はそろそろ最も暇な時期に突入するはず・・・

調べ物の一環で、葬儀業の売上高の季節変動をグラフにしてみた。
葬儀業の売上高季節変動
出所: 経済産業省 特定サービス産業動態統計調査 を基に作成
グラフ化することで、

  • 年々売上高が伸びている(上に移動している)
  • 毎年、冬は売上が多い

といったことが瞬時にわかるようになる。

以前、人口動態調査の統計データから、都道府県別の死亡者数の季節変動を見たことがある。このときも冬の死亡者数が多かったので、整合性が取れている。

データでモザイク画 - 医療、福祉に貢献するために

もし整合性が取れていなかったら、それはそれでおもしろい示唆が得られそうだが(季節によって葬儀の単価に大きな差がある等)、さすがにそこまでの情報はなさそうだ。

2016/05/13

テレビ電話の先で診てくれるのは看護師?

先日、テレメディシンを話題にした。

ブロックバスターからネットフリックス、そしてその先の未来へ 医療で考えたらどうなる? - 医療、福祉に貢献するために

その後、CVSの動画を見ていたら、興味深いものがあった。



テレビ電話の先で、問診をしながら指示を出し診ているのはナースプラクティショナーだ。日本とは看護師の資格・役割の違いが大きな背景としてあるが、このような方向性では、看護師の役割に加え、産休中の医師などの活用など、今後日本で十分議論の余地があるのではないだろうか。

2016/05/12

「良いグラフ ≠ きれいなグラフ」であり、「良いグラフ ≒ 理解しやすいグラフ」である

昨日、CBnewsのMMオフィス工藤氏との連載にて、効率性係数と複雑性係数は両立するかというテーマの記事を掲載してもらった。

効率性係数と複雑性係数は両立するのか | 医療経営CBnewsマネジメント

効率性係数と複雑性係数について、値自体の状態を捉えた「静態」と値の変動を捉えた「動態」の両面で理解することにより、「両立は難しい」という誤解がある理由を考え、また、両立は可能であることを説明した。

詳しくは上記の記事をお読みいただきたい(有料サイトのため、後半は会員のみ)。

下のグラフは、分析で作成したがボツにしたもの。グラフィカルでぱっと見は華やかなのだが、読み解くことが困難と思われたため、採用しなかった。

病床規模別の効率性・複雑性係数の変動(2014・2015年度間比較)における施設分布状況

大病院ほど、効率性係数も複雑性係数も変動しにくくなることくらいであれば、上の図でも十分なのだが・・・。ふたつの係数の変動が相反していないこともこの図で言える。もし完全に相反していれば、等高線の形は、各病床規模で、左上から右下にかけて斜めの楕円形が広がるはずだが、現実は、そこまでの傾向は見えてこない。

読み手を選ぶグラフになってしまったため、ボツにしたのだが、その結果、採用したグラフはどのようになったのかは、実際の記事で確認いただければと思う。

当然のことだが、良いグラフとは、きれいなグラフではなく、理解しやすいグラフである。

2016/05/05

制度のブラックボックス化で喜ぶのは?

3年前に書いたブログ記事を引用する。調整係数を無くすために新たな機能評価係数で評価・吸収していくことに対する懸念を書いていた。
(2013/2/18ブログ記事より) 医療資源の必要度などに応じた病院ごとのバラツキを、現行は調整係数といった病院ごとに決まった値で調整する方法は、収入が担保される病院にとっては良いかもしれないが、医療費を負担する患者個々人・保険者にとっては理解できない制度であるだけに、このマトリックスは、患者の状態に応じて、支払額を調整させることができ、納得性の高い仕組みになる可能性がある。
少なくとも、「調整係数」で調整されている医療資源の必要度などのバラツキを、機能評価係数で評価・吸収していくことは避けてもらいたい。(それは調整係数が残ることと同義だ)
DPC、気になるのは「機能評価係数」と「コーディングマニュアル」?? - 医療、福祉に貢献するために

この記事で引用した2013年2月に開催されたDPC評価分科会では、実際に2018年度の改定に向け医療機関のばらつきを評価することを議論すべきとの意見が出ていた。

このような意見を踏まえ、2016年度改定では一部疾患においてCCPマトリックスが適用されるようになった。また、重症度係数が新設され、(詳しく評価・分析してみないと分からないが)おそらく暫定調整係数を吸収したような評価がなされた。残念ながら、このような制度は医療機関にとって理解し難いだけでなく、患者・保険者も理解し難い制度だろう。入院診療報酬は、DPCの包括払い制度になって分かりやすくなるのかと思ったら、近年、納得感に欠けるブラックボックス化がますます進んでいるように思う。

機能評価係数Ⅱはもっとシンプルにすべきだろう。このような係数による医療者・医療機関に対するインセンティブは、努力余地が大きいものに重みを増すべきである。ケースミックスを反映しているにすぎない複雑性係数や、病床数を反映しているにすぎないカバー率係数、非効率な医療を評価しかねない重症度係数は不要ではないだろうか。また、後発医薬品係数も無くしてよい。なぜなら、DPCの入院期間の各点数を設定する根拠として集計する医療機関データにおいて、後発品があるものは、すべて先発品を後発品の薬価に置き換えれば良い。ただし、これには欠点がある。診療報酬点数の減り具合が劇的でなく、また2年毎の改定になってしまうため、インパクトと即時性に欠ける。そういった意味では、現状の後発医薬品係数も、複雑化している面は仕方ないものの、悪くないかもしれない。

自虐的に言うならば、制度が複雑化してうれしいのは、うまいこと評価され診療報酬を得ることができている医療機関と複雑な制度を解説し医療機関を誘導する悪どいコンサルくらいではないだろうか。自分の考えは一貫しているつもりだ。患者に分かりやすく、良い(努力している・質の高い)医療者が評価される制度を実現する。そのために、自分は何ができるのか。この連休は初心に戻り考えをめぐらせていた。

2016/05/03

Youtubeをチェック! ~八事日赤の院長講演~

4月下旬、福岡で開催された医療マネジメント学会に行ってきたことは以前ブログでも書いた。半ば日課としている新聞記事、ウェブ記事、Youtubeの動画のチェックをしていたら、その医療マネジメント学会で名古屋第二赤十字病院の院長先生が講演されたランチョンセミナーの模様がアップされていた。コーチングと医療メディエーターの話が中心になっているのだが、非常に興味深く、ためになるものだった。医療マネジメント学会当日は別のランチョンセミナー(鹿児島大学の宇都先生の講演)を聴講しており、それはそれで大変ためになったので、まったく後悔はしていないのだが、こういった形で、後日、裏の講演を聞くことができるというのは大変ありがたいことだ。



最近、学会によっては、すべて録画し、後日、会員にはウェブサイトで視聴できるようにしている話も聞く。また、USBメモリで動画を保存し、販売しているケースもある(自分も買ったことがある)。

遠方まで出向く時間的制約や金銭的制約の解消や、繰り返し視聴による理解度の深化などにおいて、動画配信、配布という手段は非常に良いと思うのだが・・・。(当然ながら、参加費が減る分を埋め合わせるだけの大きなメリットが生じるような配慮は必要である)

ちなみに余談だが、石川院長の講演に出てくる「エクセレント・ホスピタル」は非常に良い本だ。前職で、若手コンサルスタッフの月次会議を仕切らせてもらっていたときに、病院経営関連の書籍の輪読をスタートさせ、その最初の本としてピックアップしたように記憶している(もうだいぶ前のことなので、記憶違いだとしたら申し訳ない・・・)。

2016/05/02

ブロックバスターからネットフリックス、そしてその先の未来へ 医療で考えたらどうなる?

Telemedicine is applied too broadly and it will take time to identify ideal applications - MedCity NewsMedCity News

アメリカの医療制度は日本と異なっている点が多い。そのため、具合が悪い時に、クリニックをすぐに受診できない、救急を受診したらバカ高い、などの問題がある。それを解消するために、ナースプラクティショナーなどが診るミニッツクリニックがあったり、テレメディシンがあったりする。

背景の違いがビジネス展開の速度の差につながっていると理解しているのだが、先日、興味深い意見を読んだ。

Healthcare Transformation: The Future of Telemedicine. - PubMed - NCBI
上のTelemedicine and e-Health のStephen K. Klasko氏へのインタビュー記事だ。印象に残った箇所を記憶の範囲で書いてみた。
2030年の未来を考えてみよう。そんな先のことだからと無視していたら取り残されてしまう。2029年に突然新しい未来がやってくるのではない。もう既に2030年に向けて少しずつ変わっているのだ。
テレメディシンは次第にメディシンになるだろう。今では『ネット』バンキングを特別視しておらず、それはもうバンキングの当たり前になったように。また、テレメディシンという言葉より、ホームメディシンの方がしっくり来るかもしれない。家で受けることができるサービスを考えるべきだろう。ブロックバスターがネットフリックスに取って代わったように、DVDをメールボックスに取りに行くのも億劫な人がテレビの前でネットフリックスを使う。もしかしたら未来はテレビのスイッチを入れることすら億劫になるかもしれない。そうしたら、未来にはネットフリックスが脳の中にチップで埋め込まれてしまう可能性だってあるだろう。
同じようにテレメディシンの進化というのは、家で医療を受けることにより、まったく異なる経験・価値を提供するようになるかもしれないだろう。
勉強不足を痛感したため、海外での事例を調べていた。以下、テレメディシンのサービス紹介。ただのリンクだが共有しておく。

2016/05/01

店の外に第1類医薬品の箱が並べられていたので、思わず写真をパチリ

昨日通りかかった近所の薬局。
店の外の道路に面したところで、アレグラやアレジオンの宣伝をしていた。おそらく箱が並んでいても中身は空のものだろう。

近所のコンビニ併設型調剤薬局の店の前の光景

今日から5月で、花粉症はだいぶ落ち着いてきた頃と思われる(下のgoogle trends参照)のだが、このゴールデンウィーク前半、かなり花粉症がきついというコメントをtwitter等で多く見かけた。



写真で紹介した花粉症の宣伝は、残っている在庫を売りたいのか、はたまた、意外と花粉症厳しいここ数日の状況を鑑みて、患者想いのセールを実施しているのか、真相は定かで無い(「応援セール」なのだから、後者だと信じたい。薬局を応援するセールではないはず・・・)。

ちなみに、ロキソニンSはアレルギー対策にならない気がするのだが、それは気にしてはいけないことか。

ロキソニンS(詳細)|第一三共ヘルスケア