3年前に書いたブログ記事を引用する。調整係数を無くすために新たな機能評価係数で評価・吸収していくことに対する懸念を書いていた。
(2013/2/18ブログ記事より) 医療資源の必要度などに応じた病院ごとのバラツキを、現行は調整係数といった病院ごとに決まった値で調整する方法は、収入が担保される病院にとっては良いかもしれないが、医療費を負担する患者個々人・保険者にとっては理解できない制度であるだけに、このマトリックスは、患者の状態に応じて、支払額を調整させることができ、納得性の高い仕組みになる可能性がある。
少なくとも、「調整係数」で調整されている医療資源の必要度などのバラツキを、機能評価係数で評価・吸収していくことは避けてもらいたい。(それは調整係数が残ることと同義だ)
この記事で引用した2013年2月に開催されたDPC評価分科会では、実際に2018年度の改定に向け医療機関のばらつきを評価することを議論すべきとの意見が出ていた。
このような意見を踏まえ、2016年度改定では一部疾患においてCCPマトリックスが適用されるようになった。また、重症度係数が新設され、(詳しく評価・分析してみないと分からないが)おそらく暫定調整係数を吸収したような評価がなされた。残念ながら、このような制度は医療機関にとって理解し難いだけでなく、患者・保険者も理解し難い制度だろう。入院診療報酬は、DPCの包括払い制度になって分かりやすくなるのかと思ったら、近年、納得感に欠けるブラックボックス化がますます進んでいるように思う。
機能評価係数Ⅱはもっとシンプルにすべきだろう。このような係数による医療者・医療機関に対するインセンティブは、努力余地が大きいものに重みを増すべきである。ケースミックスを反映しているにすぎない複雑性係数や、病床数を反映しているにすぎないカバー率係数、非効率な医療を評価しかねない重症度係数は不要ではないだろうか。また、後発医薬品係数も無くしてよい。なぜなら、DPCの入院期間の各点数を設定する根拠として集計する医療機関データにおいて、後発品があるものは、すべて先発品を後発品の薬価に置き換えれば良い。ただし、これには欠点がある。診療報酬点数の減り具合が劇的でなく、また2年毎の改定になってしまうため、インパクトと即時性に欠ける。そういった意味では、現状の後発医薬品係数も、複雑化している面は仕方ないものの、悪くないかもしれない。
自虐的に言うならば、制度が複雑化してうれしいのは、うまいこと評価され診療報酬を得ることができている医療機関と複雑な制度を解説し医療機関を誘導する悪どいコンサルくらいではないだろうか。自分の考えは一貫しているつもりだ。患者に分かりやすく、良い(努力している・質の高い)医療者が評価される制度を実現する。そのために、自分は何ができるのか。この連休は初心に戻り考えをめぐらせていた。