2012/07/03

書評: 話を聞かない医師 思いが言えない患者

昔は、お医者様でも、患者様でも、呼び方なんてどうでもいいと思っていた。 相手には敬意を払う、感謝の意を伝える、そんな心構えができていれば、問題なんて起きないと・・・ 世の中は、どう呼ぶかで、議論あり。「患者さん」と呼べば対等だ、医療はサービス業、お客様は「患者様だ」などなど。議論は尽きないが、結局は尊敬される医師、感謝される医師を目指し、親身になって考えられる医師になればよく、心配してもらえる患者になり、敬意を払う患者になればよい。 この本は、そういったことの裏側の医師の気持ちや、思考回路を紐解いてくれる。 なぜ堅苦しい説明をしなければならないか、なぜわかりにくい言葉を使うのか、そんなことをおもしろおかしく書いている。 前半から中盤にかけ、容易な話が続くのに対し、中盤以降、専門の循環器領域の話が例として挙げられており、医療の世界と縁遠い人にとってはやや難しい話が続く。 パターナリズムという言葉や、ナラティブベースドメディスンといった言葉をまったく知らなくても、最後まで読めば真意を理解できる良い本に出会えた。もちろん、これらの言葉を知っている人にとっては、医師が客観的な視点でものを書こうと(かなり努力したであろう)非常に良い本だと思う。ぜひ読むべきだ!