最高の医療を受けるには、患者がもっと医療を受けることに真剣にならなければいけないという日本の医療の問題点を突いた本。
例えていうなれば、「おいしいワインが飲みたい」といっている人の中には、「シャトーマルゴー」のような名前を知っているだけで、きっとおいしいに違いない!!と思い込んでいる、そして、実際、シャトーマルゴーを飲むと、おいしい気になってしまう人が多い。そんな状態を日本の医療の現状と考えてみよう。
理想は、おいしいワインを飲みたいならば、せめて自分の好きな味や、あわせたい料理、お店の雰囲気など、様々な要素を理解し(特に自分のことはもっと知っておくべき)、実際にワインを口にして、「ちょっと好みと違う」「先週のやつがおいしかった」などと話せるようになる。そして、シャトーマルゴーが置いてあるかも大事だが、しっかりとしたセラーがあり、博識かつサービス心あふれるソムリエ、ワインの理解もあるシェフ等々、環境が整っているところで、ワインを飲みたい・・・となるのではないだろうか。
この理想を医療に戻すと、自分のカラダ・病気のことを把握し(自分の好みなど)、医者、看護師、薬剤師(ワイン、ソムリエ、シェフ)やレストラン・セラー(病院)を選ぶと、最高の医療が受けられる・・・。
いつでもシャトー・マルゴーやシャトー・ラトゥールがベストなわけでない・・・。そう思えないと、日本の医療は、ランキング本とマスコミの紹介する「夢の最新治療」に患者が殺到する日々だ。
本の話に戻すと、そのようなことが非常にわかりやすい言葉で、かつ、どう取り組むべきか示唆を与えてくれている。やはり患者から変わらなければいけないのだ!
最高の医療をうけるための患者学 (講談社+α新書) 上野 直人 |