2014/04/23

難消化性デキストリンを混ぜて、トクホを取ろう

近年、トクホ商品が乱発気味のように感じる。消費者としては、トクホの特別感が薄れ、価値・魅力が相対的に下がっているようにも思うのだが、売れ行き好調とのニュースを聞くたび、いやいやそんなことはない、まだまだトクホは価値がある、と認識を改めさせられる。

特保 許可区分別 商品数年次推移
出所: 消費者庁 「特定保健用食品許可(承認)品目一覧」を基に作成
なぜ、こんなにトクホの話をよく聞くのか。その理由の一つを上のグラフから読み取ることができる。最近、認可の種類で増えている「規格基準型特保」の影響が挙げられる。

純粋に新規成分を開発し、トクホを取得しようとするとその費用は数億円以上と言われている。それが「規格基準型特保」の場合、数百万~数千万円で済むというのだ。その試験内容や費用については、下記リンク先のウェブサイトが詳しく説明している。

トクホ試験 | 特定保健(特保/トクホ)の為の、ヒト試験(特定保健食品開発のヒト試験)(機能性食品開発のヒト試験)や、安全性試験、等、各種臨床試験をご提供

特保商品をほんのわずか摂取したところで、消費者が効果を実感することは難しい。しかし、一定の検査を義務付けているトクホはまったく効果が無いわけではないということは理解できる。

つまり、手っ取り早い「トクホ」の名前が欲しいのならば、難消化性デキストリンなどを混ぜてしまえばよい、ということだろう。

実際、トクホを取得した成分名ごとに商品数をカウントすると、難消化性デキストリンなど、一部のメジャー成分が結構な比率を占めていることが分かる(下表参照)。

# 関与する成分名 商品数 全体に占める割合
1
難消化性デキストリン(食物繊維として)
304 27.6%
2 サーデンペプチド(バリルチロシンとして) 70 6.4%
3 キトサン 52 4.7%
4 コーヒー豆マンノオリゴ糖(マンノビオースとして) 41 3.7%
5 サイリウム種皮由来の食物繊維 38 3.5%
6 L.カゼイ YIT 9029(シロタ株) 36 3.3%
7 茶カテキン 36 3.3%
8 CPP-ACP(乳たんぱく分解物) 32 2.9%
9 乳果オリゴ糖 31 2.8%
10 難消化性デキストリン 27 2.5%

「トクホだから買う。きっと何か効果があるのでは」という買う側の認識を、「これも難消化性デキストリンなのね」というように、その実態を理解できるくらいの知識を身につけないことには、売る側の思惑に嵌められてしまう。今後、健康食品等の表示についても規制緩和がなされるような議論があるが、これも制度がどうなる、規制がどうなるということはもちろん大事だが、消費者側の理解も高めるような取り組みが大事なのではないだろうか。