2024/12/09

社内ディスカッションメモ(2024年11月17日 高度医療・人材育成拠点 県民公開セミナー、など) 

社内ディスカッションメモ。テーマは広島の新病院。Youtubeで動画が公開されている。

令和6年11月17日高度医療・人材育成拠点(新病院)・県民公開セミナーを開催しました - 高度医療・人材育成拠点構想 | 広島県


以下のテキストは、この動画をGoogle NotebookLMで要約したもの。3時間の動画を数十秒で要約してくれるのはありがたい。NotebookLM上では、言及している箇所の文字起こし内容も表示できる。演者の講演ごとの要約も見ながらのディスカッション。間違いなく効率は良いのだが・・・。


広島県地域医療の現状と新病院構想の概要

ソースは、広島県が主催し、広島県医師会と中国新聞社が共催した公開セミナー「これからの地域医療と新病院 安心して暮らし続けられる広島県 県民公開セミナー」のYouTube動画の書き起こしです。このセミナーでは、広島県の地域医療の現状と課題、そしてそれらを解決するための新病院構想について、様々な立場からの講演やパネルディスカッションが行われました。

主な内容は以下の通りです。

  • 広島県の地域医療の現状と課題
    • 人口あたりの医師数は全国平均を上回っているものの、高齢化が進み、若手医師は減少傾向にある。
    • 特に中山間地域や島嶼部では医師不足が深刻で、無医地区も多い。
    • 救急医療体制も脆弱で、搬送先病院が決まるまでの時間が全国的に見ても長い。
    • 看護師不足も深刻化しており、5年後には1500人程度不足する見込み。
  • 新病院構想の概要
    • 広島県は、これらの課題を解決するために、高度な医療を提供する新病院の建設を計画している。
    • 新病院は、高度急性期機能、医療人材育成機能、地域医療支援機能の3つの柱を掲げている。
    • 全国トップレベルの医療を提供することで、県民の医療ニーズに応えるとともに、若手医師の育成と地域医療への循環を促進することを目指している。
  • 新病院への期待
    • 中山間地域や島嶼部の医療機関への医師派遣の拠点としての役割。
    • 総合診療医の育成拠点としての役割。
    • 地域医療ネットワークの構築。
    • 県立広島病院、双葉の里病院、県立安芸病院の3病院を統合し、中電病院、ハイプラック高度放射線治療センター、船舶病院の機能も集約する予定。
  • 地域医療を守るための取り組み
    • 広島大学と自治医科大学の連携による医師の育成と配置。
    • 医師配置検討委員会の設置による情報共有と透明性の確保。
    • 地域連携法人などによる地域医療ネットワークの構築。
    • ICTを活用した遠隔医療の推進。
    • かかりつけ医機能の強化。
  • 課題
    • 医師不足の解消には、新病院の建設だけでなく、医師の人事権の見直しなど、抜本的な対策が必要。
    • 中山間地域や島嶼部への医師派遣の偏りを解消する必要がある。
    • 公的病院以外の医療機関への医師派遣制度を検討する必要がある。
    • 地域の診療所医師の次世代育成が課題。

セミナーでは、新病院構想への期待とともに、医師不足の根本的な解決には、新病院の建設だけでなく、医師の人事権の見直しなど、より抜本的な対策が必要であるという意見も出されました。


パネルディスカッションにおける新病院への期待と地域医療の課題

パネルディスカッションでは、広島県の地域医療における現状と課題を踏まえ、新病院が果たすべき役割について、活発な議論が交わされました。

新病院への期待

  • 医師不足解消への貢献
    • パネリスト全員が、新病院が県全体の医療の中核となり、医師不足解消に貢献することを期待している点が共通していました。
    • 特に、新病院が高度な医療を提供する魅力的な施設となることで、県外に流出している医師の呼び戻しや、若手医師の確保につながることが期待されています。
    • 中西先生は、医師不足の現状を打破するためには、全国に誇れるような魅力的な病院が必要だと強調しました。
    • 藤井先生は、島嶼部においても医師不足は深刻であり、新病院からの医師派遣に期待を寄せています。
  • 総合診療医育成の拠点
    • 伊藤先生は、新病院を総合診療医育成の拠点と位置付け、地域医療の中核を担う医師の育成に力を入れるべきだと主張しました。
    • 地域を愛し、地域に根付く医師を育成することで、将来的には派遣ではなく、自発的に地域医療に従事する医師を増やすことができるとの見解を示しました。
  • 地域医療ネットワークの構築
    • 岡本先生は、新病院が地域医療ネットワークの中核となり、地域医療機関への医師派遣や連携を強化することで、地域医療全体の底上げを図るべきだと述べました。
    • 中西先生は、医師不足が深刻な地域医療機関への総合診療医の派遣を増やすことで、より効果的な診療体制を構築できると指摘しました。
  • 地域医療機関への支援
    • 松本先生は、新病院が中山間地域や島嶼部の病院と連携し、医師の短期派遣や遠隔指導などを通して、地域医療機関の医師を支援する役割を期待しました。

課題と展望

  • 医師不足の根本的な解決
    • 松本先生は、新病院の建設は医師不足解消のための必要条件ではあるものの、十分条件ではないと指摘しました。
    • 人事権の見直しなど、抜本的な対策を講じなければ、医師不足の根本的な解決には至らないという意見です。
  • 医師派遣の偏り
    • 現在、自治医科大学卒業医師や広島大学故郷枠医師の派遣先は公的病院に限られており、民間病院への派遣制度が確立されていない点は課題として挙げられました。
    • また、地域によっては医師の派遣人数に偏りがあるため、より公平な配置システムの構築が必要であるとの意見も出されました。
  • 診療所医師の次世代育成
    • 中西先生は、地域医療を支えているのは診療所の医師であるにも関わらず、その次世代育成が進んでいない現状に危機感を示しました。
    • 新病院だけでなく、県医師会も診療所医師の育成に積極的に取り組むべきだと訴えました。

今後の取り組み

  • 医師配置検討委員会の設置
    • 広島県、広島大学、広島県医師会などが連携し、医師配置に関する情報を共有するための委員会を設立する計画が進められています。
    • これにより、医師の派遣状況を可視化し、より効率的かつ透明性の高い人事配置システムの構築を目指します。
  • 地域医療ネットワークの強化
    • 各地域において、地域連携法人などを通じた医療機関間の連携体制を強化することで、医師不足の解消や医療サービスの向上を目指します。

新病院の建設は、広島県の地域医療の未来を大きく左右する一大プロジェクトです。新病院が期待される役割を十分に果たすためには、関係機関が連携し、上記の課題を解決していくための不断の努力が必要とされます。

2024/12/05

もうちょっと生々しい話をしているのだけど、かなりオブラートに包みました

CBnewsに記事を掲載いただいた。

回リハ病棟、一定以上の実績指数なら加算を - CBnewsマネジメント

回リハの病床稼働の戦術について。病床機能報告のデータを分析していると、これは患者のためなのか、利益のためなのか、どちらかよくわからない施設が浮き上がってくる。もしかしたら、後者なのでは?と疑問を感じるものの、所詮、病床機能報告のデータ。患者の病態は分からないし、家庭の事情も分からない。

ただ、疑問のわくデータを見ると「あぁなるほど」と感じざるを得ない施設名が並ぶ。

社内やクライアントとのディスカッションでは、具体的な施設名を見ながら、戦術を考えるわけだが、さすがに、CBnewsの記事に、推測だけで書くのは不適切にもほどがある。

そこで、施設名を示さずに、データ分析の結果で懸念点を示そうとしたのが今回の記事。ほぼ想定通りの結果が示せたと思う一方で、ネガティブな話ばかり書くのは憚られるので、ポジティブな主張に。実績指数で加算が無理なら、入院初期の入院料の加算でもいい。いずれにせよ、頑張っている施設が真っ当な評価を受けてもらいたい。

2024/11/22

最新を追い求める「必要」を見極める

急性期一般入院料1をやめた施設は何にしたのか - CBnewsマネジメント

どのような背景で対応したのか。

積極的、消極的、おそらくさまざま。個別の話を聞けば、その状況は分かる。

しかし全施設に聞くことはできないので、まずは急性期一般入院料の動向をデータで把握した・・・というのが今回の記事。

中医協や病院団体等が行うアンケート結果が出てくるのはまだ少し先なので、その前に把握したい、クライアントとのディスカッションなどに情報が必要、という弊社の意図がある。どうせデータを分析するなら、ついでに記事を書こうという流れ。

今回は原稿を書くタイミングと厚生局のデータ更新のタイミングが微妙に合わず、最後のギリギリまでベストを尽くした・・・。

で、結局、原稿を出してから、厚生局のデータが更新されたので、もうすでに記事のデータは古くなってしまった。例えば、記事のグラフ2は最新は下記に。


各地方厚生局 届出受理医療機関名簿(改定前:2024年5月1日現在、改定後: 北海道、近畿、四国:2024年11月1日現在、その他:2024年10月1日現在)を基に作成
※医療資源の少ない地域で複数の入院料を届け出ている施設は最上位の入院料でカウント

もちろん、最新データを基に、思考を整理することは重要だが、ただ最新を追い求めても意味はない。その当たりはデータ分析の本質とも関係する部分だ。

先日、この本を読んだ。

指標・特徴量の設計から始める データ可視化学入門 データを洞察につなげる技術 | 江崎貴裕 |本 | 通販 | Amazon

いまさらながら「入門」を読んだ。色々おさらいができてよかった。それとともに、学生時代に学んだ内容が多く含まれていた(ちゃんと勉強しておいて良かった? もっと真面目に勉強しておくべきだった?)。

分析には、可視化には、意図がある。最新データが必要かどうかも、その意図次第だ。