2015/07/08

「うちの町には大した産業はなく病院くらいしかないんです」と自嘲せず、「うちは医療の町です」と言ってみてはどうでしょう

日本全国、北は北海道から南は沖縄まで、都市部からそうでないところまで、様々なところに行くと、結構な頻度で「うちの町には病院くらいしかないんです」という話を聞く。背景には、地方創成で都市部から人を呼び寄せられるような産業がない、高齢化が進み町は寂しくなってしまう、というネガティブな考え方が存在している。

しかし、ポジティブな発想に変えるべきではないだろうか。医療しかないのなら、医療で突き抜ければよい。医療を軸に産業を呼べば良い。医療の人材供給地となればよい。

下のグラフは統計局のデータを基に散布図に示した全国の市区町村の医療の突き抜け具合を見たものだ。
市区町村別 医療業従事者数と占有率
出所:総務省統計局 地域の産業・雇用創造チャート-統計で見る稼ぐ力と雇用力(平成24年経済センサス‐活動調査) を基に弊社で作成

「医療しかない」と言っている多くの町は、医療業に従事している人の比率が10%程度。もちろん、それでも十分高いのだが、突き抜けている町は15%を超えている。

全国の突き抜けていそうな市(一部条件に合致すつ町村を含む)を抽出してみた。東京都清瀬市、岐阜県笠松町、埼玉県毛呂山町、大阪府大阪狭山市、千葉県鴨川市。有名病院がある地域が挙がってきた。

医療業従業者数比率が高い市区町村(15%以上の市区、もしくは15%以上かつ2,000人以上の町村)
出所: 上のグラフと同じ

この中で気になる地域もある。大牟田市。医療業従事者数が非常に多い。病院が多いので、ある程度、医療業の比率が高いのはうなずけるのだが、人数が突出する理由は分からない。

おそらく基の統計を十分理解していないせいもあるだろう。しかしいずれにせよ、誇れる水準と言えそうだ。

埼玉県毛呂山町や大阪府大阪狭山市、栃木県下野市は大学病院があるので、「医療の町」と言っても違和感はまるでないだろう。また、岐阜県笠松町や千葉県鴨川市は有名民間病院があり、「医療の町」という認識は、医療者の間では当たり前であり、一般市民に向けて、もっとアピールできる余地を感じる。

地方創成で移住が論点に挙がっている。医療しかないなどと自嘲せず、医療の充実した町をもっとアピールすべきと思うがいかがだろうか。