2015/08/11

減反政策から学ぶこと

昨日、地域医療構想は、医療版減反政策なのか?という話題を書いた。減反政策は、米の生産効率向上と消費量の減少により需給バランスが取れなくなってきたときに、バランスを取り、特に小規模農家を守るために、作付制限をし協力した場合には補助金を出していた。

地域医療構想も、『病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進、医療・介護従事者の確保・勤務環境の改善等、「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」』のために、医療・介護提供地域医療介護総合確保基金を各地域で使ってもらうようにしている。

確かに似ているのだが、米と違って、医療は保存も流通もしない。米であれば、その地域の農家が米作をやめても、他の地域で作っていれば、食べるのには困らない。しかし、医療はそうでない。脳梗塞になって、救急車に乗っても、病院が100キロ先にしかないならば、今のような治療成績は諦めなければならないだろう。医療の消費者がいるところに、医療の提供者がいなければいけない。例外もある。がんのような一刻一秒を争わない病気であれば、移動もできる。東北地方の患者が東京の病院に来ている、なんて話は珍しくも何とも無い。

がんのような例外はあれど、基本的に流通も保存もきかない医療は、米以上に市場経済の原理に合わない。結果として、地域医療構想のような協調型の政策が極めて重要になる。


減反政策から学ぶべきことは、その後の経過だ。

減反政策は2018年に終わる。

減反5年後廃止を決定 政府、コメ政策転換  :日本経済新聞

この記事に出てくる次の一文。医療にも通じるものがある。
農地集約を通じた農業の競争力強化を促すのが狙い。
地域医療構想の一つの目標地点である2025年を超えたあたりで、人口減少・医療需要減少に応じて、効率性改善のために、病床の枠が取り払われる可能性も考えられる。そのタイミングで慌てふためいてはいけない。今から、競争力を高める(≒医療の質を高め、医療従事者を確保する)ことが大事だろう。

減反政策は学ぶべきところが多い。