2015/08/13

日経『農業の国際競争力(4)コメの生産性向上―減反廃止が不可欠(時事解析)』から医療を考える

今日の日経朝刊。減反の話。最近、減反の話ばかりだが、気になりだしたら止まらない。

記事の一部を引用する。

農業人口が40年に現在の5分の1から10分の1に減少。残った生産者に農地を集約すれば生産規模が現行の5倍の平均5ヘクタールに拡大できる可能性が高い。
農業を医療に置き換えて、読んでみよう。例えば、次のような感じだ。

農業人口・生産者 ⇒ 医療者
農地 ⇒ ベッド、医療機能

医療の集約化は、医療者の減少時代に、何らか貢献するはずだ。

次の文も同じように考えてみよう。


そのうえで生産調整をやめれば、国産米の卸価格は25年ごろに60キロあたり6千円に近づき、中国産ジャポニカ(短粒)種などとの内外価格差がなくなると予想する。
 コメの輸入関税が撤廃されても耐えられる力と、輸出拡大への競争力を国内農家が身につけることを意味する。

生産調整 ⇒ 病床規制
米の卸価格 ⇒ ベッド1日単価
米の輸入関税 ⇒ TPP?

病床規制が撤廃されてしまったら、医療崩壊につながる。医療は、競争する必要などなく、共存できれば良い。しかし、医療の質の向上には、適度な競争環境が必要である。競争環境構築の障壁は、病床規制がすべてではないが、ひとつの要因であるだろう。

さらに、先の文も引用する。


大泉一貫・宮城大名誉教授は、日本の農業が抱える最大の問題は小規模の兼業農家を守る稲作偏重農政にあるとみる。高率の輸入関税と生産調整でコメ価格を維持する政策は、低生産性と価格高止まりという結果を招いた。生産性=競争力強化のカギは従来の政策、とりわけ生産調整の撤廃にある。
小規模の兼業農家 ⇒ 自治体・公的病院

政策的なことを考えると類似性は医師会の方があてはまるかもしれない。小規模農家は票田であり、政治家は必死になって守ってきた。その結果、低生産性と価格高止まりの結果を招いたという指摘は、医療にも相通じるものがある。

低生産性・価格の高止まりは、自治体病院の多くが赤字(黒字のところもあるが、交付金措置をしなければ、大半は実質赤字)であり、そのツケは広く国民が負担している。

最後に、次の一文を引用する。
荒幡克己・岐阜大教授は近著「減反廃止」で、土地利用型農業であっても面積拡大だけでなく、単収(面積あたりの収量)の向上や畑への転換も視野に入れた作物の複合化など、長期的な視野での経営が重要と指摘する。
単収 ⇒ ベッド単価
畑への転換 ⇒ 介護等への機能転換
作物の復号化 ⇒ ケアミックス化や介護機能の併設化


『長期的な視野での経営が必要』との指摘は、至極当然のことだ。小手先の診療報酬改定対応ではなく、しっかりとしたビジョンが必要であるというのは言うまでもない。

最近、減反政策の記事が面白くて仕方がない。