2015/11/20

片道4時間のバスで病院に行く北海道

昨日の日経産業新聞、市立釧路総合病院の話題が載っていた。地域が高齢化していく中で、どのような医療施設を整備し、医療従事者を確保していくか。非常に難しい問題だ。とりわけ、北海道はその地域が広域である特殊性から、問題をより難しくさせている。そのため、北海道(札幌はまた違うのだが)の医療計画や病院計画には注目している。

記事にも書かれているとおり、市立釧路総合病院をどのような機能・規模で作るべきかの議論は市の財政的な課題や、建築費高騰などもあり、単純に判断するのは難しい。ただ、記事で印象に残ったのは、釧路という地域の特殊性の説明だ。

以下、記事の一部を引用する。
「北海道の地図を本州に重ねた図を見てください。当地の医療がいかに難しいかが分かっていただけると思います」。高平真院長は釧路・根室の医療について、パソコン上で作製した地図を指さしながら強調する。 釧路・根室の広さは東京都、神奈川県、千葉県を合わせた面積に匹敵、釧路と最も離れた羅臼町との直線距離約130キロは東京・静岡間に相当する。

「北海道はでっかいどー」だ。これは自分でも理解しているつもりだ。衝撃的だったのは次の一文だ。
問題は広さだけではない。羅臼町の患者が市立病院などに通う定期バスが運行しているが所要時間は約4時間。来年開通する北海道新幹線の東京―新函館北斗間の時間とほぼ同じだ。
 4時間は往復?と思ったのだが片道だった。

6時40分に羅臼を出て、市立釧路総合病院に10時25分に到着する。外来を終えて、昼食を済ませて、病院前を13時35分のバスに乗れば、羅臼に17時25分に着くようだ。

釧路羅臼線・釧路標津線 [市立病院⇔釧路⇔中標津⇔標津⇔羅臼] - 阿寒バス株式会社

往復8時間弱。ちょっとした小旅行だ。ちなみに比較として昨日の自分の移動時間を計算したら、ちょうど8時間くらいだった(飛行機3時間、バス2時間ちょっと、電車3時間)。正直、移動疲れの1日である。

バス1本の移動なので歩いたりしない分、マシかもしれないが、高齢者の病院通いだ。決して楽ではないだろう。

全国画一的な政策では、それぞれの地域の医療を最適なものにすることはできない。各地域の医療は、その地域で考えるべきであり、その時には、この片道4時間を通っている人の意見にも耳を傾ける必要があるのだろう。

話題は変わるが、ちょうど今日の日経地方版に、その市立釧路総合病院がドクターヘリで十勝地方もカバーする運用を開始するニュースが載っていた。物理的距離をカバーするのにヘリは有効な解決策だろう。

余談だが、4時間のバスの運賃、片道で4900円と書かれていた。でっかいどー、北海道!!