2016/03/17

クリーブランドクリニックの話は病院業界に留まらない改革のケースに 書評: サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠

病院は典型的なサイロ型組織だ。サイロ・エフェクトでも述べられていることだが、ギルドのような形態により、その専門性を伸ばしていくには適した組織とも言える。一方で、情報の分断による質の低下や非効率的な業務発生も否定できない。特にチーム医療の重要性が増している今日では、サイロ型組織のマイナス面が強くなっているのかもしれない。

サイロ・エフェクトでは、クリーブランドクリニックの事例が出てくる。
第七章 病院の専門を廃止する
病院は細かな専門に分かれている。外科、内科、心臓外科、心臓専門科、リウマチ科、精神科、しかしこうした専門を患者の側から捉え直したらどうだろう。クリーブランドクリニックは外科と内科を廃止、各専門をクロスオーバーさせることによって革新を生んだ 出所: 『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』ジリアン・テット 土方奈美訳 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

サイロ・エフェクトを読みながら、「ん??、これ読んだことがあるかも・・・」と思って、手元の資料を調べてみたら、やっぱりあった。

The Cleveland Clinic: Growth Strategy 2008 (TN) - Teaching Note - Harvard Business School

ハーバード・ビジネス・スクールのケースを2011年9月に読んでいたようだ。サイロ・エフェクトでは、サイロ型組織のみにフォーカスしているが、HBSのケーススタディでは、それ以外の情報システムや、経営戦略などについても書かれている。

また、1月にアップデートされた最新版(Cleveland Clinic: Transformation and Growth 2015 - Case - Harvard Business School)では、Explorys(Explorys - Healthcare Big Data Analytics - Welcome to Explorys)にも少し触れている。

そのため、クリーブランドクリニックのことを知りたければ、ケーススタディを読んだ方が役に立つだろう。

しかし、サイロ・エフェクトは、サイロ型組織により、他業界も含め、どのような問題が生じたか、どのように解決したか参考になる。個人的にはリーマン・ショックの内容も面白かった。

サイロ・エフェクトの著者、ジリアン・テットのクリーブランドクリニックの改革事例の紹介
How Cleveland Clinic Revolutionized Modern Medicine

3年前にサイロ型組織について書いた記事
病院はサイロ型? たこつぼ型? - 医療、福祉に貢献するために