2017/01/18

周りを見ずに『何でもやる』公立・公的病院は絶対に間違っている

CBnewsに専門病院の話を掲載いただいた。

専門病院は病床利用率より治療件数の重視を - 医療介護CBnews -

正直、データ分析で、専門特化することの有利性の有無を厳密に評価することは難しい。ましてや公開データだけでは、分析できる内容に大きな制約がある。

と言っていても始まらないので、DPCの公開データを使って、専門特化している病院の状況について検討してみた。データ分析結果は記事をお読みいただきたい。

ちなみに、記事にも書いたが、医療の世界における「専門特化」、「選択と集中」戦略は、社会的インフラとしての色が濃い以上、難しいものであることは致し方ない。しかし、公立・公的病院が何も考えずに、『何でもやる』時代は終わったと思っている。そのことについては、とある病院の眼科の例を挙げ、記事で述べた。つまり、「選択と集中」戦略は、「やること」を決めることも大事だが、「やらないこと」を決めることも大事なのだ。

記事の結論とも言えるのだが、専門特化戦略を考える上で、今後は、地域医療構想の調整会議のような場で、「やること」「やらないこと」をお互いに話し合わなければ、相対的に地域の医療提供力が低下してしまうと考えている。


ちなみに、記事に書くと散漫になってしまうと思ったので、書かなかったことがある。従来、長期入院や高度医療機器の使用を前提とした高度急性期・急性期医療の領域において、低侵襲化などの医療の進歩により、内視鏡クリニックや整形の専門病院、乳がんの専門病院など、小規模な医療施設で、診療できる領域が増えているように感じている。これらのクリニックや有床診療所、小規模な病院では、200床以上の病院の重装備・高人件費・高診療単価経営と異なり、軽装備・低人件費・高診療単価を実現している例も珍しくない。この場合、患者確保ができるのであれば、経営的に良好であるように思う。(特定の領域で患者数を確保しなければならないので、必然的に、こういった形態は都心部で目立つ)

地域医療構想では、病院が中心となって議論が進められているが、医療機能の役割分担という意味では、このような医療施設も議論にしっかりと巻き込んでいかないと、地域の「最適化」には程遠くなるだろう。