2017/10/13

7対1は減らない(前半)

興味深いレポート。
7対1病床が10対1からの転換などで増加 - CBnewsマネジメント 7対1病床が10対1からの転換などで増加 - CBnewsマネジメント

以下、私見。
7対1が減らない3つの理由

①就労環境が良好
②医療安全等も含めた医療の質で有利
③7対1を死守するのは経営的に必然

これらの理由で、急性期病院はみな7対1を目指す。そして、目指すことは悪いことではなく、前向きな評価されるべき経営努力である。

にもかかわらず、7対1を減らしたがっている(少なくともそう感じる改定が繰り返されている)のは、行政側が現場を理解できていない(or 病院団体がうまくかわしている)と思ってしまう。7対1が減らない3つの理由について、少し細かく考えてみたい。

①就労環境が良好

7対1の要件は、平均在院日数(疾患構成に強く依存しているものの、クリアすることは比較的容易)や看護必要度(これも疾患構成に依存。現状は高齢者の比率が高いほどクリアが容易)などである。7対1も10対1もこれらの要件の状況は似ている(10対1でも在院日数が短い病院は珍しくない)。これらをクリアしているのであれば、10対1よりも7対1のように、看護配置を手厚くした方が、現場が円滑に回る。

円滑に回るということは、就労環境として相対的に良好であり、看護師確保に有利となる。看護師確保が難しい地域では、10対1よりも7対1を目指す(周辺病院が7対1ならなおのこと)。

②医療安全等も含めた医療の質で有利

看護師確保に有利であれば、相対的に優秀な人が集まりやすい。医療の質向上にも貢献する。また、そもそも看護配置が手厚い時点で、医療安全等において有利である。

③7対1を死守するのは経営的に必然

7対1と10対1で比較した場合、7対1にしたら病院経営が圧倒的に改善するわけではない。しかし、7対1の配置に近い看護師を確保している病院であれば、7対1を算定できるようになれば収入は激増する。否が応でも7対1を死守する(病院の経営改善の努力をするのは、働き手に相応の賃金を払い、医療機器等の維持・充実を図るために、当然のこと。稼ぐことは悪でなく、稼ぐことは医療の質向上にプラス)。


以上3つの理由を述べたが、看護必要度のような「看護配置」の必然性に対し評価をもたらすであろう指標が、現状は不適切であるがゆえに、これらの3つの理由から、みな7対1を目指し維持するのだ。

適切な診療報酬を設定するためには不適切な看護必要度の指標をどう変えればよいか。 ※ 看護協会を中心とした長年の研究に基づく看護必要度の評価自体は重要であり、否定しない。診療報酬や病床機能分化の誘導に使おうとすることには限界がある

「看護配置に関係なくアウトカムで評価していくこと」が究極的なところにあるとするならば、看護配置を定めるための看護必要度は不要であるといえる。ただ、あくまでも極論である。現実的には、A項目とC項目により重きを置いた評価をし、徐々に7対1と10対1をシームレスにしていくのが良いと思っている。

シームレスにしていく具体的な方法については、明日、述べたい。