公立病院改革プランの「経常黒字化」が地域を壊す - CBnewsマネジメント |
前回のCBnewsの記事(入院収入最大化の終焉とその先の病院経営戦略)の続きとして、マーケットの縮小フェーズの現実を直視せず、公立病院の多くが利用率向上を前提とした黒字化を目指していないか分析したものだ。
結果は想定通りで、黒字達成をするための利用率を定め、それを目標にしていることが推測された。利用率を無理やりあげようとすれば、悲劇を招くのでは?というのが、今回の記事の主旨だ。
今回、200病院近い公立病院改革プランをスタッフで手分けして読み込んだ。昨年夏から、いくつかの個別事例をピックアップして、公立病院の立てているプランに無理があるのでは?と言ってきた。でも、200病院弱のうち条件を満たした145病院のデータを分析することで、定量的なデータを示すことができたと自負している。
ちなみに、公立病院の改革を難しくするのは、住民の声もしくは住民の声を代表する議員の声だ。場合によっては、これに首長の声も加わることがある。合理的な改革を促すためにも、総務省のガイドラインは極めて重要な役割があったように思うのだが・・・。
せめて、地域医療構想との整合性を重視した公立病院改革ガイドラインとなっていれば良かったのだが、「地域ごとの事情があるから、公立病院改革プランは地域で協議の上、合意してくれ」と丸投げ状態。これでは、改革がうまくいくのは、たまたま強いリーダーシップを発揮できる病院長・事務長がいて首長・議会・住民の理解があるところか、医療需要が伸び続けている特異的なところか、なんてことになりかねない。
もちろん、そうならないように、どんなところであっても、データの分析などを通じた地域の事情・病院の事情の可視化と、将来の医療政策に対する見通しを踏まえたアイデアを出すのが使命だと思っているが、現実、なかなか厳しいことも多い。