売上の減少に対し、雇用はどうなったのか。経産省の特定サービス産業動態統計調査の2020年10月、2019年10月のデータから、フィットネスクラブの動向を見た。
出所: 経済産業省 特定サービス産業動態統計調査(2020年10月、2019年10月)を基に作成 |
2020年2月までほぼ横ばいで推移していた売上高(折れ線グラフ、左軸)が、3月から激減。5月はほぼ0に落ち込んだ。6月から徐々に回復してきたものの、以前の水準まで戻っていない。
従業員数(面グラフ、右軸)、正社員は売上高と関係なくほぼ一定。パート・アルバイト等は3月から5月まで減り、その後は減ったまま増える気配がない。
正社員とパート・アルバイトの比率で正社員が少ない、パート・アルバイトの給与は稼働状況(≒売上高)に応じて変動する、という点を考えると、経営維持のための柔軟性を有しているとも言える。
そもそも、ここまでの売上高の大幅な変動を想定すべきだったかは分からないが。
なお、病院や介護施設同様、ハードの費用は売上関係なくのしかかる。特に従来型の総合フィットネスクラブは、24時間型やマシンジム型・パーソナルトレーニング型などに比べ、プールなどを持っていることが多く、設備が重い。売上に関係なく、重めの固定費がかかる点で厳しいだろう。
大学の講義のネタなので、定期的に調査している(統計データだけでなく、実地も)。またルネサンスやセントラルスポーツなど大手のフィットネスクラブのいくつかは上場しているので、財務データ等も見ることができる。どの切り口から見ても、かなり厳しいことは間違いないだろう。
セントラルスポーツの直近の第二四半期の決算説明資料(https://company.central.co.jp/pdf/investor/16050737341824770.pdf)を見ていて気になったのは、フィットネス会員の高齢化の進展状況。例年より速いペースで平均年齢がぐっと上がった。コロナ禍の影響は、高齢会員ほど減らなかったようだ。直近、70代以上は25.2%となっている。なぜだろう・・・。