説明の図表が多用されていて、かつ、明快なメッセージが詰まっている。今後の慢性期病院のあり方を通じて、日本の医療がどうなるべきか説いている。
在宅医療について、「在宅看取り死」が、診療所と病院の連携、お互いの信頼関係を醸成させることの阻害要因となっていて、同床異夢だ、と指摘している。その解決策として、診療所同士のネットワークではなく、在宅療養協力診療所(主治医)、および、在支診と在支病が、トライアングルで助け合い、そして、在宅療養後方病院が緊急時の受け入れをサポートし、短期間で在宅へ帰し、トライアングルの中で継続して診ていくことを提案している。
『慢性期開放型病床』というのは、分かりやすい具体的な形かもしれない。
今後、在宅を進めるという方針において、深く考えなければならないのは、在宅をする医師・コメディカルだけでなく、高度急性期を始めとした、それ以外の医療のあり方も然りであると改めて感じた。
この本、残念ながら、一般市民向けではない。
最後に出てくる臨床指標も、医療者が理解し、取り組まなければならない方向性が整理されている。よくありがちな「よい病院ガイド」ではない。
医療者で、かつ、武久先生の講演を聞いたことがない人にとっては、非常に良い本だと思う。
よい慢性期病院を選ぼう 武久 洋三 |