2024/11/22

最新を追い求める「必要」を見極める

急性期一般入院料1をやめた施設は何にしたのか - CBnewsマネジメント

どのような背景で対応したのか。

積極的、消極的、おそらくさまざま。個別の話を聞けば、その状況は分かる。

しかし全施設に聞くことはできないので、まずは急性期一般入院料の動向をデータで把握した・・・というのが今回の記事。

中医協や病院団体等が行うアンケート結果が出てくるのはまだ少し先なので、その前に把握したい、クライアントとのディスカッションなどに情報が必要、という弊社の意図がある。どうせデータを分析するなら、ついでに記事を書こうという流れ。

今回は原稿を書くタイミングと厚生局のデータ更新のタイミングが微妙に合わず、最後のギリギリまでベストを尽くした・・・。

で、結局、原稿を出してから、厚生局のデータが更新されたので、もうすでに記事のデータは古くなってしまった。例えば、記事のグラフ2は最新は下記に。


各地方厚生局 届出受理医療機関名簿(改定前:2024年5月1日現在、改定後: 北海道、近畿、四国:2024年11月1日現在、その他:2024年10月1日現在)を基に作成
※医療資源の少ない地域で複数の入院料を届け出ている施設は最上位の入院料でカウント

もちろん、最新データを基に、思考を整理することは重要だが、ただ最新を追い求めても意味はない。その当たりはデータ分析の本質とも関係する部分だ。

先日、この本を読んだ。

指標・特徴量の設計から始める データ可視化学入門 データを洞察につなげる技術 | 江崎貴裕 |本 | 通販 | Amazon

いまさらながら「入門」を読んだ。色々おさらいができてよかった。それとともに、学生時代に学んだ内容が多く含まれていた(ちゃんと勉強しておいて良かった? もっと真面目に勉強しておくべきだった?)。

分析には、可視化には、意図がある。最新データが必要かどうかも、その意図次第だ。

2024/11/07

安い米を食べたい・・・の反省

CBnewsで、先日、日病協の仲井議長の記者会見のことを報じていた。

診療報酬の評価「プロセス主体」に、日病協議長 - CBnewsマネジメント

今後、少子化で人員確保が厳しくなることが想定される。そのため、限られた人材で質の高い医療を提供するには、人材育成やICTへの投資などを積極的に行うことが重要になるだろう。

現行の診療報酬制度は、決まった職種・人数の配置を要件とする項目が多い。このような基準は、質を担保するための最低限の基準として存在する意味はある。しかし現実は、多くの基準は高いハードルで、何とかクリアするために医療機関が四苦八苦している。

加えて、財源の見通しも厳しいことを踏まえれば、今後、医療機関側に充実した人員配置を求めるのに適正なコストは負担できない、といった主張・要求は通用しなくなるだろう。つまり「プロセス主体」に評価を変えるのは、医療機関側の意識は当然大事だが、保険者が意識を変えなければならないと考えている。例えば、人員配置の要件はICT活用などを前提に緩和していく仕組みが介護保険の改定で導入されたが、これは早晩診療報酬にも導入されるだろう。


そして、ストラクチャーからプロセスの評価だけでなく、アウトカム評価もまた重要である。

そのことを意識したのが、今回のCBnewsに掲載いただいた記事。

採算の取れない救急患者連携搬送料、なぜ届け出る? - CBnewsマネジメント

病床の高回転化を促すのであれば、高回転=高収益、にすべき、というのが主張。高回転=低収益&疲弊、の現状は極めて重大な問題である。

なので、救急患者連携搬送料の点数を10倍にすべきと事あるごとに言っている。さすがにそれは無理かもしれないので、効率性係数を5倍に、と少し現実的な提案で締めくくった。効率性係数を大きく引き上げれば、高回転と高稼働の両立を目指せればベスト、高回転だけでもベター、となる制度が作れる。高稼働を目指せるかどうかは人口動態などの地域性も大きく関係する。そのため、高稼働は今後多くの病院が共通して目指せる目標にならない。

高回転を実現するための人材育成やICTへの投資をすべきなのに、今、その戦略をとっても収益性はあまり改善しない。むしろあの手この手で高稼働を目指した方がよいのが現実である。財務的に余裕のある医療機関では(そんなところはほとんどないが)、人材やICTなどへの投資を行っているのは、少し先の未来を見据えているに違いない。

ただ、週末、高回転化で何か失うことがあるのではとも考えていた。効率性ばかりを追い求めることで、温かみが薄れてしまうのではないかとも。というのも、散歩していて稲架かけを見かけた(下の写真)。

週末の散歩で見かけた稲架かけ

「安い米を食べたいくせに、この風景も残したい」は虫のいい話だなと思った。

2024/10/24

セミナーのご出席ありがとうございました & 建築単価高騰の影響分析

建て替え困難な診療報酬設定は意図的か - CBnewsマネジメント

建て替えすべき時期が到来しているのに、建築単価高騰などが影響し、建て替えを先延ばしていることを示したかった。想定通りのデータ分析結果が得られたので、ほっとした。

なお設立母体や病床機能、入院料、地域など、さまざまな切り口で分析したものの、データが限られていたせいか、あまり示唆が得られなかった。CBnewsの記事に載せたグラフは、何かしら意味があると思ったものたち。

オープンデータの分析が得意領域のひとつである弊社は、仮説・分析・検証みたいな流れが延々と続く。分析結果には、当たりもあれば、はずれもある。はずれには、仮説が間違っていることもあるし、分析や検証の仕方が間違っていることもある。はずれたものであっても、共有する意味があるものは、CBnewsの原稿などで書くこともあるし、クライアント向けに話すこともある(ディスカッション材料としてクライアントも好意的に受け止めてくれる)。

このようなデータ分析ばかりしている弊社だが、昨日は新社会システム総合研究所主催のセミナーで、データ分析の話をさせていただいた。個人的な感想としては、メデュアクトの流石氏の話が非常に勉強になったので大収穫・大満足。また、ご出席の方々からの鋭い質問などで、こちらも考えが整理されるなど大変勉強になった。

新社会システム総合研究所のみなさまには、セミナーの企画から実施、またこのあとのオンデマンド配信まで、大変お世話になりました。ありがとうございました。

また、お足元が悪い中、わざわざ現地まで足をお運びいただきご出席くださった方々や、ウェブのライブ受講の方々、また後日オンデマンド配信で受講くださる方々など、数多くの方々にご出席・お申し込みいただき、ありがとうございました。