昨日IBMのセミナーを聞いていたら、顧客満足度・顧客経験価値を高める上でサイロ型組織はダメだといった話が出ていた。
病院の組織を表現するとき、サイロ型とほぼ同義で「たこつぼ型」とも言われるが、それぞれの専門性の高さゆえに各部門間に壁を作りやすく、部門間の情報連携などで苦労する話は良く聞く。
電子カルテなどにより、昔に比べたら情報連携は強化されてきているとはいえ、顧客経験価値を個々の努力だけではなく、組織的に高めようと取り組んでいるところは少ないように思う。
組織的に一連の患者経験を理解する上で、先日読んだ「笑顔の力 病院ボランティア活動が教えてくれたこと」という本は様々な示唆を与えてくれた。
「たいせつなのは、どれだけ たくさんのことをしたかではなく、どれだけ 心をこめたかです」
という一文が本の中で引用されていた。
検査を待っている患者さんに向かって、「ぜひ、こちらにおかけになってお待ちください」と、精一杯心をこめて声をかけたつもりであっても、実はその人はおしりにおできができて、切るかどうか病院に来ている患者かもしれず、立って待っているのには訳があったのならば、「よろしかったらクッションをお使いになられますか」と言えるかもしれないし、はたまた、患者さんの恥ずかしさに配慮し、触れずにいてあげるのがよいかもしれないし、何が正解かは非常に難しい話である。
おしりのおできは変な一例で恐縮だが、要は「こころを込める」ためには情報の連携強化が不可欠であり、サイロ型・たこつぼ型の組織ではダメだ、ということである。
サイロ型・たこつぼ型の組織から脱却するためにも、笑顔の力、ぜひ読んでいただきたい。