2014/05/13

こどもの虫歯から、相関と因果を考える(第4回)

前回、仮説3の「親のしつけが虫歯に悪影響を及ぼしているのでは」について検証してきた。ただ、ここでいう『しつけ』とは一体何なのだろうか。客観的に評価できる指標は無いか考えた結果、前回の検証項目「高校卒業時の進学率」にたどり着いた。

しかし、これだけで結論付けるのは危うい。他にも考えられないか。そこで、収入(現金給与額)、学力(全国学力テスト。ただし、これは子どもの学力であって、直接は関係ないかも)、ひとり親世帯比率、の3つの追加指標との相関を調べてみた。

出所:平成25年賃金構造基本統計調査、
文部科学省 学校保健統計調査(平成25年)を基に作成

出所:平成25年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料、
文部科学省 学校保健統計調査(平成25年)を基に作成

出所:平成22年国勢調査人口等基本集計(総務省統計局)、
文部科学省 学校保健統計調査(平成25年)を基に作成
その結果、収入、ひとり親世帯比率との相関性は高いことが分かった。収入が低いほど虫歯は多く、ひとり親世帯比率が高いほど虫歯は多くなっている。

ここまでで結論付けるのであれば、「低所得・ひとり親世帯では虫歯の未治療者の比率が高い。ひとり親世帯・低所得世帯へ積極的な支援策などを検討すべき」で説得力は十分あるだろう。そして、「歯科医師数を増やす」、「お菓子に税金を課す」といった対策は、虫歯を減らすことにあまり効果は期待できないことも併せて説明できるだろう。(相関係数のp値については、別の機会にしようと思う)

次回は時系列データによる分析切り口から、分析の落とし穴に落ちてみる。