2014/07/25

病院内の患者をコントロールする(前半)

■外来待ちの本質的な問題は「長さ」よりも「質」

外来の待ち時間。その「長さ」が問題となる事が多い。もちろん、長さも問題だが、フォーカスすべきはその「質」である。

サッカーをテレビで見ているだけでは気がつかないのだが、スタジアムに足を運ぶと、試合開始までの待ち時間、様々なことが行われている。選手のウォーミングアップやスタメン発表は当然ながら、それ以外にも、チアリーディングだったり、地元の学校生徒の出し物だったり、アーティストによる歌だったり。様々な楽しめるイベントが用意されている。

これは野球でも似ているし、スポーツに限らず、待ち時間を、ただ「待つ」時間にしないための努力がなされている。つまり、「質」を大事にしているのだ。

病院に来ている人は、病人ではあるものの、待ち時間を短くするだけでなく、その質を上げることを考えることが大事になるだろう。

待ち時間に関する話題はこのブログでも度々書いている。今回の内容と深く関連するもの2つを紹介しておく。
  1. 待ち時間自体の問題点についてまとめた今月上旬のブログと資料はこちら ⇒ 外来は待たされるもの?
  2. いつまで待たされるか分からない待ち時間ほど、しんどいものはない。その点について、積極的な取り組みをしている医療機関の事例を紹介した記事はこちら ⇒ 月曜と祝翌日は医者に行くな!

■患者を意のままにコントロールしたい病院

待ち時間は素直に待合室にいてもらいたい。呼び出した時に、すぐ出てこないのは困る。そういった観点から、テクノロジーを積極的に利用している病院は多い。

画面に「診察室10番の前でお待ちください」「検査室の前でお待ちください」といった表示が出る携帯電話のような端末を渡されることは、それほど珍しくなくなってきた。

先日も、こんなニュースが流れていた。

病院は、この事例では9000万円近くの費用をかけ整備している。それだけ真剣に取り組んでいるということだろう。このようなテクノロジーで、患者をうまくコントロールしたい、という意図が見えてくる。また、待ち時間を「監禁状態」から「軟禁状態」にすることで、待ち時間の質の向上も期待できる。

しかし、なぜ9000万円もかかってしまうのだろうか。記事から読み取れる情報には「呼出受信機は、患者呼出システムのために独自に開発した、専用の無線LAN端末」とある。専用の端末を開発したことは、費用が高騰した理由なのかもしれない。

もっと安価に、いい仕組みを導入できないのだろうか。

次回、アイデアベースで、その仕組みを提案してみたい。(続く)