2014/12/01

市民向け公開講座の目的は民間病院から学べ

先週、民間病院の市民向け公開講座を聴いてきた。平日の午後にも関わらず、50名以上の出席があり、大盛況であった。

しかし、盛況ぶりには何の疑問もない。その講演を聞けば、大盛況であった理由は明らかだ。

  1. 説明が分かりやすい
  2. 病院までのアクセスに配慮がなされている(無料送迎バス等)
  3. 継続的な聴講にインセンティブがある

1点目、説明が分かりやすい。多くの医師は大勢の市民向けに話すことに決して慣れているわけではない。しかし、平易な言葉で、身近なトピックを織り交ぜ、質疑応答に時間をかけることで、分かりにくい印象はまったくなかった。一方的に話すのではなく、50数名を相手に、親身に相談にのっているかのようだった。話をされていたのは、比較的若手のドクターであるにも関わらず、こういった経験が十分あるのだろう。なかなか真似できないスキルを身につけていた。

2点目、アクセスに配慮がある。無料送迎バスは高齢者にはありがたいだろう。実際、参加者の多くは60代以上であり、駅から徒歩15分とは言え、坂道を歩くのはそれなりに負担だ。わずか15分の距離であってもを送迎バスを出す配慮はさすがである。(公立病院でも市内巡回バス等が来てくれるところも多いかな・・・)

3点目、継続的な聴講にインセンティブ。この病院では、公開講座を受講する度にポイントカードにスタンプを押してもらえ、スタンプが6個貯まると自費の検査を割引きで受けられる仕組みだ。健康に対する意識を高めることができ、さらには検査で割り引かれるのは、市民にとって悪い話ではないだろう。

ポイントカード
先週金曜に聞いたのは、循環器疾患に関する話だったのだが、講演の中で印象的だったのは単に「ぜひ検査を」「ぜひ治療を」と勧めるのではなく、地域におけるその病院の役割とその病院の持つ先進性が地域住民にいかに貢献しているかをアピールされていたことだ。おそらく、参加者の多くは、「近所にこんな素晴らしい病院と素晴らしい医師がいて、本当に良かった」と感じたに違いない。繰り返しになるが、押し付けがましさは全くなかった。公開講座の目的は「患者獲得」ではなく、「病院の『ファン』を作ること」に主眼を置いているに違いない。