ワーキンググループで提示されていた資料には、都道府県別に性・年齢調整をしたレセプトの出現比を比較しているものがあり、非常に興味深いデータである。医療費の地域差を解消していく上で、重要なデータであることは間違いない。
ただ、気になった点もある。人工腎臓(慢性維持透析)については、レセプト件数の最も多い4時間以上5時間未満の件数だけを比較していたが、維持透析には4時間未満や5時間以上、複雑なもの、があり、それだけを比較する意味はないように思うのだが・・・。
参考までに、4時間未満と4時間以上5時間未満のレセプト出現比について、東日本と西日本に分け、箱ひげ図を書いた(外れ値は非表示)。
人工腎臓(慢性維持透析) 4時間未満、4時間以上5時間未満のSCR分布(東日本・西日本) 出所: 経済・財政一体改革推進委員会 評価・分析ワーキング・グループ 第2回会議資料 を基に作成 ※4hrs:4時間未満 5hrs:4時間以上5時間未満 EAST:東日本 WEST:西日本 |
平均値と中央値だけを比較したグラフも示す。東日本と西日本で出現比の傾向が異なる様子は明らかである。
人工腎臓(慢性維持透析) 4時間未満、4時間以上5時間未満のSCR平均値・中央地(東日本・西日本)
出所: 経済・財政一体改革推進委員会 評価・分析ワーキング・グループ 第2回会議資料 を基に作成
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つまり、これらのレセプトは補完的な関係があり、それぞれ単独で比較する意味はあまりないと思う(レセプトの件数比が70万件弱と210万件弱で3倍近い開きがあるので、無意味ではないが)。本来は、5時間以上や複雑なものも含め比較をすべきであり、結果として見えてくるのは罹患率の違いだと思うのだが・・・。