2017/05/10

「大学病院らしさ」には「国公立大学らしさ」「私大らしさ」があるのかもしれない

以前、「大学病院らしさ」をテーマに可視化を試みたことがある。

大学病院らしさを本院・分院で比較してみた - 医療、福祉に貢献するために 大学病院らしさを本院・分院で比較してみた - 医療、福祉に貢献するために
地域における大学病院と周辺病院の役割分担 - 医療、福祉に貢献するために 地域における大学病院と周辺病院の役割分担 - 医療、福祉に貢献するために

この分析では、疾患構成の違いを数値化した。しかし、大学病院本院がどこも同じような機能を有しているわけではなく、様々な事情に応じた医療を提供しており、大学病院間では違いがあることも事実である。

下はCBnewsの原稿に関連した分析でボツにしたグラフ。国公立大学は化学療法、放射線療法の患者数の比率が高く、救急車搬送症例の割合が低いと言えそうだ。一般論として、大学病院本院といっても、国公立大学と私立大学では救急搬送の受け入れなどに違いがあることを反映した数値だ。ただし、大学の背景や立地など事情が異なるため、これだけで各大学病院に対し、良い悪いの議論はできない。


しかし、診療報酬制度が厳しくなれば、大学病院とて経営を意識しなければならず、地域が意図していない方向に舵を切る可能性がある。情報の可視化と透明性の担保によって、地域全体の医療の質の向上のような議論がなされるべきだ。地域医療構想はそういったことを目指そうとしていることが分かる。病床数の議論だけに終始していてはもったいないと思うのだが・・・。