色々と勉強になった。
GW中のニュースで、ちょうど東京一極集中が続いていることが報じられていた。この本でも様々な首長が東京の一極集中について国レベルで対策を講じなければならないことを述べていた。
東京新聞:一極集中の解消、目標修正へ 20年達成困難で政府検討:政治(TOKYO Web) |
東京都の保育所の待機児童対策などは出生率向上に貢献するかもしれないが、東京一極集中の解消にはマイナスなのでは?といった疑問も浮かぶ。国家レベルでの全体最適は非常に難しい課題である。
この本でとても興味深かったのは、後半に掲載されていた元鳥取県知事・元総務大臣の片山善博氏を交えた座談会だ。
増田レポートに対する片山氏の地方自治に対する意見が非常に興味深い。以下、一部引用する。
いろいろな自治体の町長さんとか議員さんと会うと、皆さん動揺して浮足立っているように感じますが、そんなに深刻に浮足立つことはないですよと申し上げています。これ、増田レポート ⇒ 地域医療構想 と置き換えるとどうだろうか。それぞれ、次のように読めないだろうか。
多少うがった見方かもしれませんが、このレポートには一種の意図があります。人口の行方を客観的に示した面ももちろんありますが、実はこれを示しておいて、その後に続く政策が出てくるわけです。待ってましたとばかりに、コンパクトシティーとか、地方中枢都市圏構想とか、選択と集中とか、いずれも霞が関の各省がやりたいことなんですよ。
自治体の町長さん・議員さん ⇒ 病院の理事長・院長、事務長
人口の行方 ⇒ 医療需要・病床の行方
コンパクトシティー・地方中枢都市圏構想 ⇒ 病床機能再編
選択と集中 ⇒ 病院統廃合
霞が関の各省 ⇒ 厚労省と総務省、財務省あたり
話は非常に通じる。では、片山氏の意見の続きを見よう。
レポートにはその前さばきというか、露払いみたいなところがあって、そういった眼で見れば、国交省、総務省、財務省など霞が関の政策をやりたい人たちがいて、スムーズに進めるためには、まずガツーンとやって地方を浮足立たせ、政治にもインパクトを与える、そんな効果を期待したと思います。まさにその通りになりました。地域医療構想が前さばきになっているというのも分からなくもない。
地方を浮足立たせ ⇒ そのまま、各都道府県、二次医療圏
政治にもインパクトを ⇒ 診療報酬にもインパクトを
なんとなく、そのまま、読み替えることができそうだ。さらに続く文章を見てみよう。
だから、打ちひしがれて、気力もなくしてしまうということではなくて、自治体はこれまでの政策を点検し、今後どうすればいいかということを積極的に、これを好機として考えたらいいと思いますね。結論は、地域医療構想を好機として、積極的に今後どうすればよいか考えればよい、ということになるだろう。
この本を読んでいて感じたことは、人口動態等に起因する医療の世界の問題は、医療固有の事象ではなく、地方行政や学校など様々なことと共通点があるということだ。2年以上前の本で、いまさら何を・・・という話だが、改めて違った視点で読むことができたように思う。なので、また数年経ったら読み返してみると面白いかもしれない。