2017/07/05

連携強化、データから課題の可視化にチャレンジ

CBnewsに記事を掲載いただいた。

急性期病院の後方病床確保、今まで以上に重要に - CBnewsマネジメント 急性期病院の後方病床確保、今まで以上に重要に - CBnewsマネジメント

「周囲に後方病床がない」、「後方病床はあっても、ベッドが空いていない」等々、転院できない理由には色々あるだろう。

転院先確保の観点から2つの意見例を挙げたが、他にも「患者・家族が○○病院への転院を嫌がる」などの理由も少なくないはずだ。

このような調査結果が中医協の分科会で示されたこともあり、DPC公開データの分析結果を用いて、自院の課題の可視化ができることを匂わせた記事にした。

課題は地域の事情に大きく左右されるため、公開データの分析だけで明言できるほど甘くはない。ただし、可能性は見えてくるだけに、参考にしてもらえると幸いだ。詳しくは記事をお読みいただきたいが、少しかいつまんで説明すると、下のグラフに集約される。
DPC公開データの「(8)退院先の状況」という資料を基に作成したグラフだ。退院先について、転院の割合が高いところや、施設入所の割合が高いところなど、ばらつきが見られる。自院の周辺に介護系の施設が充実していれば、病態の落ち着いた患者であれば受け入れてくれるだろう。しかし、施設の要望を聞いて、より落ち着いた状態まで退院を遅らせる等のタイミング調整を行えば、結果的に自院の高回転化を阻むこととなる。

急性期病院としては、後方を支える病床・施設、どちらも重要であるが、次回改定が看護必要度の厳格化等の高回転化を促す方向に進むのであれば、ポストアキュート・サブアキュートの患者を受け入れられる病床が大事であると考えている。介護医療院が、現状の後方病床と施設の間を埋めるのかもしれないが、それを待っていては、自院の高回転化に遅れが生じるだろう。

またCBnewsの記事では触れていないが、病院情報の公表で開示されたデータの比較を通じて、疾患単位での連携の課題感把握も可能になった。ある病院向けに報告したレポートでは、かなり興味深い結果となった。何度も繰り返すが、地域の事情を把握した課題把握には、ちょっとしたコツが必要だ(ベンチマーク分析などで苦手な領域。下手にベンチマークをゴリ押しすれば、間違った理解や方向性に至ってしまう可能性も高い)。

ちなみにCBnewsの記事では、上のグラフのⅡ群病院(2015年度)について、病院名を記載し、その特徴などを述べた。また効率性係数との関係をみることで、高回転化の限界を垣間見ることができたかも?と思っている(この部分は定量的な評価をしていない。退院先が効率性係数に与える影響について、統計的に有意差を持って示すことは難しいと思われる)