2019/04/16

病床利用率の変化は、地域の医療需要変化や診療報酬改定の影響を受ける

病院報告の年度ごと・都道府県ごとの病床利用率を整理した。
色が上から下に薄くなっている。つまり、年々利用率が下がっているということ。これは、これまでのセミナーや執筆記事でも、都道府県ごとの数値を折れ線グラフで重ねるとみな「右肩下がり」であると述べてきたとおり。

ヒートマップにしてみて、一部の年度に横筋が見える気がする・・・。(≒とある年度で同じ変化をしている) 例えば、17年度・18年度・19年度あたり。

病床利用率(全病床)の推移
横軸:都道府県コード(0は全国計)、縦軸:年度(平成) 色:濃(利用率高)⇔薄(利用率低)
出所: 病院報告のデータを基に作成

そこで、年度の軸で微分。傾きをグラフに(下図)。18年度・19年度に赤い帯が見えてきた。全国的に利用率が下がったことを意味している。
病床利用率(全病床)の対前年度変化率の推移
横軸・縦軸:上のグラフと同じ 色:青(増加)⇔赤(減少)
出所: 病院報告のデータを基に作成

平成18年度は7対1導入の改定があった年。看護師確保が課題となった病院などでは、病床稼働の適正化を図ったものと思われる。経営的に極めて厳しかったと思われる。

なお、平成22年度のところには青帯が見える。これは利用率が上がったことを意味している。プラス改定だったこの年は、病床利用率もプラスに働いた。また、23年度の一部の県(福島など)に濃い赤が見られるのは東日本大震災の影響だろう。

情報の可視化は、気づかなかったことに気づくきっかけにもなる。