以前、日経新聞の記事にケチをつけた。格差2倍は本当か? - 株式会社メディチュア Blog
週刊誌が、同じネタを、より悪い味付けに全力投球した結果が、週刊現代9月25日号に載っている。表紙の見出しにもデカデカと書いてあるので、自信があるのだろう。
読んでみた。
想像以上にひどい。日経は百歩譲って「いいところ」を取り上げる形にしていたが、週刊現代は「わるいところ」にもフォーカス。「成績が悪いのは機器が古いから」といった都合のよいコメントをしてくれる週刊誌ではおなじみの医師も登場。ワースト病院の担当者のコメントは真っ当なものが多いのだが、編集の都合だろう、言い訳っぽく感じるものも。昭和大学病院のコメントは
年代別の患者割合について当院と全国平均とを比較すると、当院は80歳代の割合が全国平均に比べて高い傾向にあるが、年代が高齢であるほど5年生存率が低いという全国データが示されている
と核心をついている。ただ、肝心の記事では、そのあたりを考慮したランキングになっていない。
日経新聞は分析担当者の良心が感じられた。というのも、ランキングの表で、独自定義した生存率係数のとなりに平均年齢を置いていたから。週刊現代のランキングには、当然、平均年齢の記載はない。何も考えていないか、意図的に抜いたか(平均年齢があると面白みが減ってしまう?と考えかねない)。
医療機関間の質に差があるのは事実である。しかし、5年生存率のような指標で比較するのであれば、厳密なリスク調整をしなければ、意味がない。意味がないどころか、マイナスだ。そのマイナス面を象徴するのが結びの一文。
いずれにしても、日経新聞のようにデータを伏せてしまっては、患者も選びようがない。悪い数字も含めた本誌の一覧表を参考にしてほしい。
(リスク調整されていない・正しくない)悪い数字を見て、 患者が行動を変えたり、医療機関・医療従事者との信頼関係が悪化したりしかねない。
このような現状は、弊社にはまだまだやれることがある、と前向きに考えられなくもない・・・が、やっぱりひどい記事だな。