2021/08/31

格差2倍は本当か?

 がん治療生存率、格差2倍 400の拠点病院: 日本経済新聞

今朝の日経朝刊記事。

生存率係数なるものを独自定義し、施設間の比較をしたとのこと。肺がんでは2倍の差がついた、というのが見出しになっている。

記事には続きがあり、詳細なデータが別の面にあるのだが、その数値を使って、生存率係数と平均年齢の関係をプロットしてみた(下図)。


2021/8/31 日経朝刊 「日経実力病院調査、肺がん手術、体の負担軽減――薬物・放射線治療と連携(医療健康)」の数値を基に作成

いい感じだ。生存率は明らかに平均年齢に引っ張られている。1面の記事で「格差が問題」としたい意図は分かるが、その記事で、国がん研究センターの方が「生存率は治療技術だけでなく、がんの進行度以外の患者の状態や年齢にも影響を受ける」とコメントされているとおりであり、少なくとも年齢調整をしなければ、ほぼ意味のない数値であることは明らか。

ただ、救いは、その後ろの記事に載せていた表には、生存率係数のとなりに平均年齢があったということ。おそらく分析担当者は「これ、ほぼ年齢で決まっているね」と認識があったのではないだろうか。

こういった情報が一般市民にとってキャッチーであることも事実である。だからといって、どうなの??と思わざるを得ない。