2015/02/18

大学病院の中身の議論をしよう(眼科系)

大学病院らしさ分析の続き。

急性期病院における眼科は、白内障の手術などを多数実施する有名病院や、難しい症例を集める大学病院、そして、どちらでもない普通の病院に区分できる。

ただ、大学病院の中には、白内障の手術が非常に多い病院もあるし、逆に大学病院でない病院でも難しい症例が多く集まっている病院もある。

これを可視化してみた。
MDC02眼科系疾患の大学病院らしさ分析結果
縦軸は症例数、横軸は大学病院らしさの指標。赤丸の大学病院本院は見事なまでに右側にプロットされた。DPC病院Ⅱ群(大学病院本院に準ずる病院)はまちまちだ。

ただし、大学病院本院であっても、その内容は異なり、右から左まで大きな開きがある。同じ年間2,000症例であっても、意味が異なるのだ。左に位置する病院ほど、地域の市中病院で診るべき患者を奪っている可能性が高いとも考えられる。

「地域連携が大事」「これからは競争でなく共存だ」といくら言ったところで、それぞれの病院が経営を意識し、患者獲得に意欲を見せている現状では、なかなか適切な連携体制は見えてこない。特に医療の中核となる大学病院が積極的に患者確保を図っている地域においては、周辺医療機関の弱体化につながりかねない(弱体化しても仕方ないところは、それはそれで仕方ないのだが)。

これらの課題は、件数、患者数だけに頼っていては議論が一向に進まないだろう。医療の内容にまで踏み込む必要があるはずだ。眼科領域は、疾患名である程度診療内容が特定されるため、このように公開データを用いた分析であっても異論が少ないと考えている。

改めて結果を眺めていて感じたことだが、大学病院らしくない大学病院は危機感を持った方がいいかもしれない。実は、大学病院本院だから高い係数を付けるという根拠は脆いのではないか?