病院内に薬局OK 政府、規制緩和 経営の独立条件 :日本経済新聞
昨年7月のブログ記事で、規制改革会議の資料を引用し、この話題に触れている。
病院と薬局は近い方が良い? - 医療、福祉に貢献するために |
『門前』薬局として一等地を押さえ安定的な地位を確保している薬局からしたら、それよりも立地条件の良い場所に新たな薬局が登場することなどありえない話だ。しかし、この規制緩和がなされれば、『門内』に新たな薬局が登場することが十分ありえる。大混乱になるだろう。
入口がそっぽを向いていようが これは門内薬局でしょう (2014年7月の弊社ブログより) |
上記の7月のブログで、突然門内薬局が登場したケースを取り上げているが、混乱している様子が伝わってくる。
仮に門内薬局を認める方向性に動いたとき、大手調剤チェーンはどう動くのだろうか。積極的に攻めてくるようであれば、そもそもの医薬分業の理念は吹き飛んでしまうかもしれない。すでに理念より利益を優先していたと言われかねない現状であるのに、「患者の利便性向上」の名の下、一層利益に重きを置くような事態となれば、医薬分業から、医薬同業に転換する可能性すらある。
医薬同業に動くならば、報酬制度も変える必要があるだろう。アウトカムを重視し、薬が少ないほど良い評価体系にすべきだろう。風邪をひいても、風邪薬を出さない方がよい(重症化しないよう、指示・指導は入念に)。市販薬で済ませられる状況であれば、その方がよい(悪化させてしまったら、ダメ)。そのような評価制度ができるのであれば、医薬同業に賛成だ。
薬を飲み忘れても、残薬をチェックしなくても、とりあえず処方した方が損をしない上に楽である、という現状の無駄は、医薬分業が悪影響を及ぼしているかもしれない。薬歴記載の放置に見られるような、調剤薬局の薬剤師がアウトカムに責任をあまり感じないのも医薬分業の弊害と言えるかもしれない。上述のように、アウトカム重視・処方量の少ない方がよい価値観への転換は、医薬同業がカギになるかもしれない。
医薬分業の現在でも、この理念を重視している薬局があることは、以前弊社レポートで述べた。しかし多くの薬局がそうでない以上、大きな転換点を迎えるかもしれない。