2015/08/22

岩井整形外科内科病院―医療データ7000人分開示へ、研究用、有識者で議論開始(8/21 日経産業新聞)

昨日の日経産業新聞に表題の記事が載っていた。

腰、首の痛みでお悩みの方|岩井整形外科内科病院

記事にあった岩井医療財団の稲波弘彦理事長の言葉を引用する。
「医療は本来公共財。病院の持つ最も大きな財産である患者さんの治療データを院内のスタッフのみが活用するのは問題だ」 
病院の財産は、資産や設備、医療スタッフと答えるのが普通だろう。『患者さんの治療データ』 を財産と認識している人は珍しいのではないだろうか。

この考え方には強く同意する。データは資源であり、競争力の源泉となると常々考えている。かつてブログで次のようなことも書いている。

データを”活かす”とは - 医療、福祉に貢献するために

有識者もそうそうたるメンバーが入っているようだ。記事には次のように書かれていた。
有識者には腰痛治療の権威である福島県立医科大学の菊地臣一学長や聖路加国際病院の福井次矢院長、東京医科歯科大学の川渕孝一教授、西村あさひ法律事務所の大貫裕仁パートナー、米国での臨床経験も持つアンドリュー・テンヘイブ医師を集めた。「このような情報開示はまさに米国で始まろうとしているところだ。日本でいち早く始めることに意味がある」と川渕教授は主張する。
そして、具体的なデータ活用と議論の内容も興味深い。
7月2日に開かれた初回の委員会では、データベースに生活情報が入っており「医師が感覚的に手術を回避していることを可視化できる」、失敗例が入っており患者の精神状況も含め「何が失敗の要因なのかも分析できる」などと議論された。 
このような取り組みは非常に価値がある。何より、患者に還元できる示唆を得ようとしている点は非常に素晴らしい。