2018/06/27

議会の議論は参考になる ~介護医療院についても議論されている~

先日ブログ(自分でも驚くタイミングで、経営統合の話が・・・)で触れた日経ヘルスケアに寄稿したエリアの話。

今月中旬の玉野市議会での議会の質問と答弁。インターネット録画を見ることができるので、ご参考まで。

玉野市議会 録画放映

05分20秒~11分20秒: 議員から市民病院に関する質問
24分32秒~32分10秒: 病院事業管理局長の答弁
48分10秒~65分30秒: 議員からの再質問と病院事業管理局長の答弁


医療需要動向などの細かな点まで議論されており、興味深い。個人的には、昨年の日経ヘルスケア主催のセミナー用にデータ分析していた、玉野市北部エリアとそれ以外のエリアの患者の動線に関連する議論がなされていたことが極めて参考になった。具体的には、市北部エリアの住民から、財政的な負担が重いのであれば市民病院を閉院した方がいいのでは?といった声が挙がっているといった話がされていた。おそらく、こういった意向も出かねないと思いながら、昨年、セミナー用にデータを準備していたので、録画中継を見て、ひとり勝手に合点がいった。

地域の議論は難しい。

2018/06/24

急性期病院の収益を左右する後方機能

再入院のペナルティがきつくなれば、当然ながら、入院中に再入院を防ぐ取り組みをするのはもちろん、退院後のフォローアップにも力を入れる。

自院でサービス提供できる範囲のフォローは良いが、範囲を越えた部分は、フォローできない。

ゆえに在宅やホスピスなど、ポストアキュートの機能が重要であり、いいところとタッグを組むことが、急性期病院の収益を左右することになる。

下のような記事を読むと、今後の日本の医療の参考になる。

2018/06/22

自分でも驚くタイミングで、経営統合の話が・・・

先日掲載いただいた日経ヘルスケアの記事(日経ヘルスケアに記事を掲載いただきました | 株式会社メディチュア)、岡山市とその周辺を対象していた。この記事でのまとめ(最後の部分)と、次の新聞記事を一緒に読んでいただくと、おぉーっと思っていただけるのではないだろうか。

玉野市民病院、経営統合目指す 三井病院側と近く協議本格化: 山陽新聞デジタル|さんデジ 玉野市民病院、経営統合目指す 三井病院側と近く協議本格化: 山陽新聞デジタル|さんデジ

積極的にこのような協議ができるのは、素晴らしい地域の証かもしれない。自分も学ぶことが多い。

2018/06/21

2020年以降の経営課題と求められる人材・スキルを考える

ここ2回、CBnewsに大きく捉えれば同じテーマの記事を掲載してもらった。

入院収入最大化の終焉とその先の病院経営戦略 - CBnewsマネジメント
公立病院改革プランの「経常黒字化」が地域を壊す - CBnewsマネジメント

このような環境変化は、経営課題の変化でもあり、組織に求められる人材・スキルの変化でもある。右肩上がりの時代に求められたスキルと、これからの時代に求められるスキルは違うはずと考えている。

現時点では、適切な病棟編成を行い入院料をうまく算定することや、加算をうまく算定することが求められる。しかし、この先は、徐々に利益最大化を意識した取り組みの重要性が増す。急性期一般入院料2,3が、その良い例だ。

5月下旬に福岡のセミナーで、この内容を簡潔に整理した下記のスライドなどを織り交ぜ、話をさせていただいた。


2020年以降、どういった経営課題が重要となり、どのようなスキルが求められるか。???としたが、何となく見えている(そう信じて、価値ある取り組みをいかに早くから取り組むか大事なのでは・・・)。

2018/06/20

公立病院改革プランの「経常黒字化」が地域を壊す

CBnewsに公立病院改革プランをテーマにした記事を掲載いただいた。

公立病院改革プランの「経常黒字化」が地域を壊す - CBnewsマネジメント 公立病院改革プランの「経常黒字化」が地域を壊す - CBnewsマネジメント

前回のCBnewsの記事(入院収入最大化の終焉とその先の病院経営戦略)の続きとして、マーケットの縮小フェーズの現実を直視せず、公立病院の多くが利用率向上を前提とした黒字化を目指していないか分析したものだ。

結果は想定通りで、黒字達成をするための利用率を定め、それを目標にしていることが推測された。利用率を無理やりあげようとすれば、悲劇を招くのでは?というのが、今回の記事の主旨だ。

今回、200病院近い公立病院改革プランをスタッフで手分けして読み込んだ。昨年夏から、いくつかの個別事例をピックアップして、公立病院の立てているプランに無理があるのでは?と言ってきた。でも、200病院弱のうち条件を満たした145病院のデータを分析することで、定量的なデータを示すことができたと自負している。

ちなみに、公立病院の改革を難しくするのは、住民の声もしくは住民の声を代表する議員の声だ。場合によっては、これに首長の声も加わることがある。合理的な改革を促すためにも、総務省のガイドラインは極めて重要な役割があったように思うのだが・・・。

せめて、地域医療構想との整合性を重視した公立病院改革ガイドラインとなっていれば良かったのだが、「地域ごとの事情があるから、公立病院改革プランは地域で協議の上、合意してくれ」と丸投げ状態。これでは、改革がうまくいくのは、たまたま強いリーダーシップを発揮できる病院長・事務長がいて首長・議会・住民の理解があるところか、医療需要が伸び続けている特異的なところか、なんてことになりかねない。

もちろん、そうならないように、どんなところであっても、データの分析などを通じた地域の事情・病院の事情の可視化と、将来の医療政策に対する見通しを踏まえたアイデアを出すのが使命だと思っているが、現実、なかなか厳しいことも多い。

2018/06/19

再編すれば存続可能な地域、再編しても存続が厳しい地域

タイトルは病院のように思えるかもしれないが、今回は銀行の話。

出所:地域金融の課題と競争のあり方
(平成30年4月11日 金融庁 金融仲介の改善に向けた検討会議)
https://www.fsa.go.jp/singi/kinyuchukai/kyousou/20180411/01.pdf より引用

ウェブの記事や雑誌で、上のグラフの話題をよく目にする。この地図に限らず、この検討会議の資料は非常に参考になる。

その中の一文を抜粋する。例えば、ここ。
今後、人口減少による資金需要の構造的な減少など、地域経済や地域金融機関を取り巻く経営環境の悪化は益々深刻度を増していくことが想定される。こうした中でも、地域において、将来にわたって健全な金融機関が存在し、地域の企業や住民に適切な金融サービスが提供されることを確保していくことが重要である。
地域医療構想の前文にあってもおかしくない。つまり、病院も金融機関も似た状況にある。決して、自分の前職(コンサル会社の金融サービス部門に)と強引に結びつけたいわけではない・・・と言いつつも、参考になることは積極的に参考にする。

ちなみに、今週の週刊エコノミストに、冒頭の地図が取り上げられていたのだが、その前のページにあった「生き残る地銀はどこか」のグラフはなかなか興味深かった。

2018/06/16

AIはAugmented Intelligence

一昨日、アメリカ医師会がAIについて見解を示した。

AMA Passes First Policy Recommendations on Augmented Intelligence | American Medical Association AMA Passes First Policy Recommendations on Augmented Intelligence | American Medical Association

AIはArtificial Intelligence(人工知能)というより、Augmented Intelligence(拡張知能)だと。あくまでも医師が主であり、それを助けるのがAIであるということだと理解している。噛み砕いた(砕けてる?)説明が、下記に。タイトルからして、医療のAIには、医師の観点が必要となっていることからも、アメリカ医師会の趣旨が読み取れる。

Health care AI holds promise, but physicians’ perspective needed | AMA Wire Health care AI holds promise, but physicians’ perspective needed | AMA Wire

これら以外にも様々なニュース時期などで、この内容を見ていると、医療の質の向上と医療従事者の労働環境向上にAIが重要な役割を果たすという点が強調されている。この流れは間違いなく重要になってくるだろう。

2018/06/15

これもビジュアライゼーションか

街で見かけた棒グラフ。携帯で撮ったから、表示周期との関係できれいに見えない・・・。

 

棒グラフは今年の通算台数。その上には、今日の通過台数が表示されていて、それは自転車が通る度にカウントアップされる。台数が正確かどうかは微妙なのだが、ま、自転車の利用促進を期待しているっぽいので、細かいことは気にしない、気にしない。

SFMTAってのは、サンフランシスコ市交通局とかそんな感じの組織か。

Happy Bike to Work Day: Say Hello to New Bike Counters and Wayfinding Signs | SFMTA Happy Bike to Work Day: Say Hello to New Bike Counters and Wayfinding Signs | SFMTA

今後はデータに基づき報酬が設定されることを意識すべき

先日の「日経ヘルスケアに記事を載せていただきました」と関連して、別のところにコメントを載せてもらった。

日経ヘルスケア2018年6月号の一部引用

こんなに理路整然としゃべった記憶はない。取り留めもなく思ったことをだらだら話す頭の悪い自分がなりをひそめている。すべては編集の力だ。

2018/06/14

目を引く広告

サンフランシスコのバス停で見かけたポップな広告。タバコ? キッズメニュー??


直訳すれば「タバコ業界はキッズメニューを出している」という意味か。広告に書いてあったウェブサイトのアドレスにアクセスして意味が分かった(下記のリンク)。

Flavors Hook Kids - California Tobacco Control Program - English - California Tobacco Control Program - English Flavors Hook Kids - California Tobacco Control Program - English - California Tobacco Control Program - English

そのサイトで紹介されていた動画がこれ。





なかなかショッキングな動画だ。

これ以外にも動画があるのだが・・・。

2018/06/13

おにぎりダイエットは有効か??

先日、療養型病院の黒字病院の比率推移について、現場の感覚とずれているのでは、という話題を書いた。その最後で、下記のように、データ処理のマジックかも・・・と述べたことについて、説明してみたい。
記事は間違っていないし、その基の報告書も間違っていない。しかし、実感と異なるのは、データ処理のマジックかもしれない。このマジックを悪用すれば(決して悪意はなくても)騙すこともできる。⇒中小規模の療養型病院はV字回復どころか厳しいまま から引用

主食はおにぎり以外食べてはいけないという謎の「おにぎりダイエット」の効果を検証した。5人が1月におにぎりダイエットをスタートさせ、半年後、また体重を計った。その結果が下のものだ。(言うまでもないと思うが、おにぎりダイエットも、データも、全部空想だ)


上の表のとおりだが、平均体重の推移をグラフにすれば、下記のようになる。


おにぎりダイエットは失敗! まぁ当然か。低炭水化物ダイエットが流行っている時代の流れに完全に逆行しているし・・・(ま、完全に空想のシナリオ・データなので、どうでもいいのだが)。

しかし、標準体重(この場合は全員共通で58kgだったとしている)を下回っているか否かで判断してみた。
なんと、おにぎりダイエット後の方が標準体重以内の人が増えている。おにぎりダイエット成功!?

基準値を超えるか否かという指標を作れば、ちょっとした値の変動で、超えたり超えなかったりする。そのため、100人が100人、全員同じ変化をしていれば判断に困らないが、ばらばらに変化していれば、集団の傾向を評価することは困難になるケースもあると認識しておくべきだろう。

おにぎりダイエットを適切に評価するには、ヒストグラムでの比較や、散布図で見るのが望ましいだろう。下の散布図は、横軸に1月、縦軸に6月として5人をプロットしたものだ。
赤の点線は1月と6月が同じ体重だったことを示している。赤点線より上にあれば6月に体重が増えた人、下にあれば減った人を意味している。3人は体重が増え、1人は体重が減った。おにぎりダイエットは体重減少にあまり意味はなさそうだ。特に65kg以上の人はふたりとも体重が増えてしまった・・・といったように、適切な評価をすることができる。

すなわち、療養型病院の黒字か否かを見た「黒字病院比率」は、おにぎりダイエットの標準体重以下比率みたいなもので、微妙な評価になっている可能性が否定できない。平均値も外れ値などの影響を受けやすい。理想はヒストグラムや散布図で見るべき、と言えるだろう。

読み手を騙すことも可能だし、都合のいいデータを作ることも可能だ。騙されないように、読み手側もこういった分析を理解するスキルを身に着けなければならないと言えるのかもしれない。

2018/06/12

日経ヘルスケアに記事を載せていただきました

日経ヘルスケアに記事が。岡山市周辺をテーマに、公開データの分析を行った。その結果から、今後日本の多くの地域が直面するであろう課題について、考えを述べさせてもらった。


昨年11月にMMオフィス工藤氏とセミナーで講師を務めさせていただいたときに取り上げた5ケースのうちの1つだ。あと残り4ケースあるし、他の時期のセミナーで取り上げたケースも含めると相当数あるので、この調子でどんどんまとめられるかというと、編集者のアドバイスなどがあってこその原稿なので、さすがにそんなわけにはいかない。

昨日、工藤氏のブログでも紹介くださっていた。しかも、原稿のアイデアは、今回のものもそうだが、工藤氏からいただいているものが多い。色々本当にありがたい。

医療経営関連の専門誌で日経ヘルスケアは他の追随を許さない | 「なんちゃって医療経営学」 ㈱MMオフィス代表 工藤 高のブログ 医療経営関連の専門誌で日経ヘルスケアは他の追随を許さない | 「なんちゃって医療経営学」 ㈱MMオフィス代表 工藤 高のブログ

なお、今回の記事はすべて公開データで、特定の病院の内部データなどは一切使っていない。使っていたら、架空の医療圏・架空の病院の話にせざるを得ない。しかし、公開データで、かつ個別の病院を誹謗中傷するようなことがなければ、実際の医療圏名・病院名でディスカッションした方が有益だろう・・・というアイデアも工藤氏によるものだ。

なお、今回の記事の岡山は切磋琢磨が激しい地域だが、医療水準の高さは全国屈指だろう。また、玉野市の事例を挙げたが、病床機能報告データなどから、それぞれの病院が病棟機能再編などに積極的に取り組んでいるよう見受けられる。それぞれの病院が努力しているだけに、コントロールできない人口動態に対しどう向き合うかが問われていると考えている。

それと、このような議論が可能なのは、DPC制度などをはじめとしたデータのオープン化を進めてくださっている方々のおかげ。このような方々がいなければ、自分は何の価値も発揮できていないように思うだけに、本当に感謝。

2018/06/11

鋭い指摘にどきどき ~サードレベルの講義を担当~

土曜、神奈川県立保健福祉大学(神奈川県立保健福祉大学 実践教育センター)でサードレベルの講義をしてきた。

午前がMMオフィス工藤氏の診療報酬制度や病床機能再編などの講義で、その流れを受け、午後にDPC制度やデータ活用などによる病院経営・管理高度化のテーマでの講義を担当させてもらった。サードレベルの講義は、昨年に続き、二度目。

機能評価係数などへの看護部門の貢献や、看護必要度データが病院経営のカギとなることなどのお題で、ディスカッションをしてもらった。

今年も鋭い意見や切実な現場の意見を伺うことができ、教えている側ということを忘れ、むしろ、こちらが勉強に。

そのなかでも一番鋭かった指摘は、看護必要度の評価に関して、看護師が行う業務と、看護助手などが行う業務の本質的な違いがあるという点。「作業」として見てしまうと同じことをしているが、「ケア」として見れば、違うことが求められていると。強く同意。そのとおりだと思う。

看護必要度のADLに対する評価は、急性期病棟のみならず、様々な病棟で現場の負担となっている。B項目の評価としては同じ評価であっても、病期などにより求められている「ケア」が異なることを、どう反映させるか。そして、看護師の限られた資源を最大限活かすには、「ケア」は看護師、「作業」は補助者というタスクシフティングをどこまでできるかが求められていると言える。

これまでも、セミナーなどでこういった話をしてきたが、大半はこちらからの一方通行。でも、サードレベルの講義では、至近距離で具体的な声を聞け、議論ができる。本当にありがたい機会だ。

2018/06/08

病院経営の動態を反映し、打ち手を提供できる戦略構築の枠組みを作りたい

CBnewsに記事を掲載いただいた。

入院収入最大化の終焉とその先の病院経営戦略 - CBnewsマネジメント 入院収入最大化の終焉とその先の病院経営戦略 - CBnewsマネジメント

分析の一部は、以前ブログで紹介している。


入院医療費の伸び率に着目したレポートだが、入院医療費の総額には診療報酬改定の影響は軽微で人口動態の影響が少なくないと言えそうだ。

ここから先は想定の話だが、急性期と回復期、慢性期では伸び率が異なるはずで、入院医療費が伸びない地域・病態を見ている病院では、医療提供範囲が変わらないのであれば、入院収入の伸びは期待できない。

何かしら変わらねば、収入は増えない。何ができるか?

入院・外来に限らず、病院が新たな収入源を確保するにはどうしたらよいか。保険診療内か外か、エリア内か外かで4象限に分け、考え方を整理した(記事では、箇条書きにして説明した)。


①(現状の延長線上の努力)は相対的に容易だが、②、③、④と難易度が高くなるようなイメージだ。④には革新の追求と書いたが、ある病院では、スタッフの思いついたアイデアを特許レベルにまで引き上げ、特許料を得ようとしているところもある。遠隔診療は規制が変われば、DtoPは保険診療内になるかもしれないが、現時点ではDtoDの遠隔読影などが挙げられる。

ちなみにこの4象限、下記の多国籍企業の経営戦略と類似点があるように思う。

多国籍企業の経営戦略:国境を超越する経営に、どう戦略的に取り組むか | 経営戦略を読み解く〜実務と理論の狭間から〜|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 多国籍企業の経営戦略:国境を超越する経営に、どう戦略的に取り組むか | 経営戦略を読み解く〜実務と理論の狭間から〜|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

競争的な環境がどのように変化するか考える上で、色々参考になるのではないだろうか(読み替え・置き換えが必要なので、単純にそのままというわけではいが)。・・ということを考えていたので、今回のブログ記事の表題は、琴坂氏の書籍から一文を引用し「病院」を当てはめてみたものだ。

なお、①から④のチャレンジをしなければ、組織の規模を維持することが難しくなる。チャレンジの実現性を鑑みた場合に、難易度が高いのであれば、規模の維持・拡大を目指さないのもひとつである。その場合は、収入拡大でなく、医療提供の持続性を担保するために利益確保を目指すことが大事になると考えている。確かにこの数十年は収入拡大ができた。しかし、この先は、収入拡大がすべてではないはずである。

この話には続きがある。次回のCBnewsの記事にしようと思っている。

2018/06/07

中小規模の療養型病院はV字回復どころか厳しいまま

先日、CBnewsの記事を読んだ。

医療法人立の「療養型病院」V字回復 - 医療介護CBnews 医療法人立の「療養型病院」V字回復 - 医療介護CBnews

果たして本当だろうか?? 正直、実感がない。

そう思ったので、基のデータから、病床別の経常利益率の推移についてグラフにしてみた。

療養型病院(医療法人) 経常利益率推移
出所:厚生労働省 医療施設経営安定化推進事業(2012-2017年度)を基に作成
※300床以上は300床台、400床以上の施設数に応じた平均値

平均の経常利益率でみれば、確かに回復したと言えるのかもしれない。ただし、大きく回復したのは200床台・300床以上だ。

100床未満は回復していないどころか、むしろ悪化している。

療養型病院の黒字・赤字の比率でみれば確かに劇的な回復だ。しかし、現場感としては、2016年度改定以降も民間の中小規模の療養病院の経営は厳しかった印象であり、その実態は、この作成したグラフが適切に表していると思う。

つまり、記事は間違っていないし、その基の報告書も間違っていない。しかし、実感と異なるのは、データ処理のマジックかもしれない。このマジックを悪用すれば(決して悪意はなくても)騙すこともできる。※時間ができたら悪用する例を示してみたい

2018/06/06

最先端の回転寿司を思えば、どうってことのない仕組みだが・・・

救急部門と急患の平均待ち時間がリアルタイムに更新される。

Wait Times Wait Times

クリニックの外来では、待ち時間が表示される予約受付システム(ウェブ上で見られるところも多い)を使っていることが珍しくない。

ここでは、テレビ電話での診療も。


保険制度の違いなどが大きく影響しているので、これらが単純に素晴らしいとは思わないが、他の国の仕組みは興味深い。

ちなみに、一番良く使う予約受け付けシステムは、回転寿司店のやつだ。とても良くできていて、イライラが少ない。外来と回転寿司を比較するのはナンセンスだが、回転寿司は学ぶことが多い。

2018/06/05

コピペモンスター

学生のレポートを読んでいたらコピペモンスターがいたという話ではない(確かに、昨年、学生の『コピペを頑張った』力作レポートを読んで、複雑な心境になったことはあるが・・・)。医療の話。示唆に富む話だった。

How Tech Can Turn Doctors Into Clerical Workers - The New York Times How Tech Can Turn Doctors Into Clerical Workers - The New York Times

先月くらいのWedgeは、さも日本の医療における電子化の状況が・・・みたいに書かれていたが、連携にFAXを使う話題があったり、下記のように電カルのコメントはコピペなんてこともそうだし、昔だってDOING WELLって書いて署名してたんだから、 大して変わってないなんていうのも、どこの国も事情は似ているなぁと感じた次第だ。
In the process, our daily progress notes have become bloated cut-and-paste monsters that are inaccurate and hard to wade through. A half-page, handwritten progress note of the paper era might in a few lines tell you what a physician really thought. (A neurosurgeon I once worked with in Tennessee would fill half the page with the words “DOING WELL” in turquoise ink, followed by his signature. If he deviated from that, I knew he was very worried and knew to call him.) 
ICUのアラームの話や、片足患者の心電図の記録や、機械弁患者の心音の話も、笑ってはいけないが、世界共通の病院あるある、なのだろう。

記事には機械学習などが貢献できる領域についても書かれているが、自分も何に貢献できるのか、俯瞰的に考える必要性を改めて感じた。