2022/08/31

リスク調整なしでは評価できない再入院。評価できないから何もしないもNGか

高齢患者ほど再入院のリスクが高い。また、病床高回転化は再入院のリスクを高める。

そのような環境下で、再入院を防ぐ取り組みをしている病院は、もっと評価されるべきだ。現状は、再入院したら一連の入院を見なす等のペナルティ的な報酬体系であり、再入院を防ぐことがポジティブな評価にならない。ポジティブな評価は、積極的な取り組みを行う病院にとってメリットがある。また、再入院せずにすむ患者にもメリットがある。防げる再入院を減らせれば、医療資源の効率的な利用にもつながる。三方良しだ。

積極的な取り組みが評価されないとはいえ、病院は、今のうちから、積極的な取り組みを始めるべきだ・・・という主旨の記事をCBnewsに掲載いただいた。

再入院抑制が評価される時代に向けた取り組みを - CBnewsマネジメント

医療機関の連携まで視野に入れた二次性骨折予防の取り組みが評価されるようになった。今後、さまざまな疾患での取り組みが評価されることを期待している。再入院のリスク評価などは、弊社もデータ分析で貢献できる余地があると思っており、分析に磨きをかけたい。


先日、医用工学研究所主催のセミナーにて、データ分析をいかにアクションにつなげるか、というテーマで話をさせていただいた。来月末くらいまで、アーカイブ配信をしてくださるとのことで、興味があれば、ぜひどうぞ。

定例業務をより価値のあるものに〜分析からアクションにつなげる基本を押さえよう〜 - 株式会社医用工学研究所

2022/08/30

社内ディスカッションメモ(岩見沢市立総合病院の基本計画)

非常に参考になるケース。以下は、社内ディスカッション用のリンクとメモ。

新病院建設基本計画 | 新病院建設 | 岩見沢市立総合病院

主なディスカッションポイント:

 P.7-8: 病床数の設定

 P.21-25: 関連施設の方向性

 P.78-81: 事業収支シミュレーション 

特に医療需要の想定から、病床数をどう設定するかは相当議論されたのではないだろうか。計画策定は岩見沢の地域事情の十分な理解が大前提となる。(それゆえ、理解が及ばないことは重々承知な上での弊社内の勝手なディスカッション。今回に限らず、いつでも大体そうだが)


基本構想や改革プラン、統合の基本合意などの前提条件はこちら。

新病院建設基本構想 | 新病院建設 | 岩見沢市立総合病院

病院改革プラン | 病院紹介 | 岩見沢市立総合病院

岩見沢市立総合病院と北海道中央労災病院との基本合意について | 当院について | 北海道中央労災病院

2022/08/25

燃油サーチャージをもらう未来はありえるか?

光熱費の負担増、四病協が近く最終報告 - CBnewsマネジメント

光熱費が重荷になっていることをよく聞く。弊社の担当業務として、なんとかできることではない。ただ、何もできないことが申し訳ない。

すでに多くの医療機関は光熱費の節約などに積極的に取り組んでいることを知っているだけに、無力さを感じる。

消費税の損税など「制度」として失敗のしわ寄せは、人員確保、職員への賃金支払、医療機関の設備投資などに問題が生じる。結果的に不利益を被るのは、利用者・患者だ。

光熱費に関しては、航空業界の燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)のような仕組みを導入すべきではないだろうか。

海運事業向けに策定した国交省のガイドライン(報道発表資料:燃料サーチャージの導入促進に向けたガイドラインを海運事業向けとして初めて策定しました - 国土交通省)を読み、直近の医療機関の光熱費の負担増は行政レベルで動かなければならないことだと思った。

燃油サーチャージの仕組みを導入するならば、医療機関には透明性の担保が求められる。どんぶり勘定で、燃油サーチャージをたくさんもらいすぎる、といったことは許されない。その前提があるならば、燃油サーチャージの仕組みは、利用者・患者が好意的に受け入れるのではないだろうか。

なお、手間がかかることを勝手に提案しやがって・・・というお怒りの声も聞こえてきそうな内容である。導入検討時には、制度・請求の簡便性の追求も必要だろう。

2022/08/22

個々の強さ、種としての強さ

さまざまな病院の方と話を通じて感じるのは、強い病院は何かしら理由があるということ。その理由は「この病院だからできることだ」「この法人は特別だから」「地域の特殊性も影響している」と感じることも少なくない。

ただ、それで終わってしまうと、弊社らしさのない見聞録になってしまう(見聞録も参考になるので、読み手としては好きだが)。

そのような経緯で整理したのが、先週のCBnewsの記事。

在宅復帰に積極的な慢性期病院の強さ - CBnewsマネジメント

慢性期病院は、地域の役割の中で、どのような方向を目指していくのか。考える上で、少し参考にいただけないかと思っている切り口で原稿をまとめた。

個々の取り組みと異なり、日本全体の傾向を見ることで、また違う「強さ」が見えてくると考えている。

先日色々な地域を見て回る中で見聞録を書きそうだったので、自戒の念を込めた。今後も「弊社らしさ」を追求していきたい。

2022/08/10

「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」をどう読むか

先月末に公表されたJR東日本の2020年度の線区別の経営情報。

JR東日本ニュース ご利用の少ない線区の経営情報を開示します https://www.jreast.co.jp/press/2022/20220728_ho01.pdf

これを見て、株主は「赤字路線は廃止すべきだ」と言い、自治体や住民は「生活路線は維持すべきだ」と言う。・・・と勝手な想像をしているが、そんなにずれていないだろう。

今年度になって、病院のあり方を考える上で、「すべての病院が黒字化を目指すことは非現実的である」と確信し、それを乗り越える方策を考え続けている。そのひとつが「JR方式」と勝手に命名している方法だ。

国鉄からJRに民営化するとき、地域で分けた。東日本や東海、西日本は、黒字路線も赤字路線も持つことで、赤字だからといって、切り捨てなかった。あまりに厳しい両親の実家があるエリアの路線は、第三セクターに転換したが。

地域の医療も、医療機関の連携で成り立っている。全国一律の診療報酬制度は、地域や病院によっては厳しい現実が突きつけられてしまう。赤字だからといって、病院がなくなっていいわけではない。だからこそ、地域全体で、医療提供体制の維持、収益性の向上を図る「JR方式」を目指すべき地域があるのではないだろうか。

NEXCO方式は、より収益性を厳密に検証した上で、地域を複雑に分けた。それゆえ、参考になるが、真似はできないと思っている。


ちなみに、冒頭のニュースリリースは、毎度のことなので驚かない。ただ、鉄道に乗ることが好きな自分は「まだ乗ってないところは乗りにいかなきゃ」と立ち上がる(支えることには大して役に立っていない)

今年はなかなか乗る機会のなかった飯田線に

2022/08/07

セミナーにご参加いただき、ありがとうございました

この前の水曜に掲載いただいたCBnewの記事。

急性期一般入院料2・3は検討に値するか(後編) - CBnewsマネジメント

都道府県レベルで見ると、急性期病床の看護配置7対1と10対1の病床比率は、高齢化と非常に強い相関がある。高齢化の割に7対1の病床が多いところ、少ないところは、何らか特徴・課題があるのでは?という見方をすることも可能。

また、入院料1~6の選択は、各病院の病床数の影響を強く受ける。中小病院は、入院料5、6を選ぶ割合が高い。

このあたりのデータと理由を記事に書いた。

そして、本題の入院料2・3の状況について、分析結果を参考にしながら今後の展開を考えた。今回の記事では触れていないが、病院個別のシミュレーション結果を踏まえた収益性だけ見てもダメで、医療安全等の医療の質や、人員採用計画などもあわせて考えることが大事である。


金曜日はSSKのセミナーに。メデュアクト流石氏とのセミナーは、こちらも色々勉強になった。ディスカッションパートは、流石氏に聞きたいことをぶつけさせてもらった。たとえデータ分析結果が正しくても、必ずしも現場が行動を変えてくれない点について、流石氏の考え方は非常に参考になった。オンデマンドで配信してくださるようなので、よろしければぜひ。