2020/01/31

年2000件、クリアできる病院は900施設程度か

2020年度診療報酬改定。救急は看護必要度しかり、下記の加算しかり、手厚くなりそうだ。
(新)地域医療体制確保加算 ●点(2)救急医療に係る実績として、救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間で 2,000 件以上であること。
2000件をクリアするか否かで、加算が取れる・取れないの分かれ目があるので、ギリギリのところは、何とか加算が取れるように積極的に受け入れする・・・といったことも考えられる。

病床機能報告から、全国の病院の受入件数と、医師数の関係をプロットしてみた。(余談だが、厚労省のウェブサイトで配布されている2017年度の病床機能報告データ、国保旭中央病院の救急車搬送件数がおかしい。千葉県のウェブサイトに置いてある個別のエクセルが正しいと思われる)


病床機能報告(2017年度)を基に作成

年2,000件を受け入れているのは、病床機能報告の対象病院の14%、約900施設。
救急車の受入件数ごとの病院比率
病床機能報告(2017年度)を基に作成

この加算が、医療システムを疲弊させるのではなく、地域の課題解消に貢献することを期待したい。

2020/01/24

救急医療にはもっと点数をつけるべき

先週土曜、ある地域の市民向け講演会を聴講してきた。地域の救急隊を統括している方と、地域の拠点病院の院長先生が話をしてくださった。救急隊の方は「限りある医療資源の有効活用に向けて」というテーマで、色々興味深い話をたくさんしてくださった。軽症救急の事例は驚くばかりで、会場がどっとわくような反応もあった。院長先生の話は、色々勉強になりすぎた(すごすぎて、ここに書けない)。

そんな話を聞いた直後である。CBnewsに最新の記事を掲載いただいた。

看護必要度の見直しで救急患者確保競争が激化!? - CBnewsマネジメント 看護必要度の見直しで救急患者確保競争が激化!? - CBnewsマネジメント

最後のグラフ(2ページ目なので、会員しか見れないのはお許しを・・・)に、すべてのエネルギーを注いでいる。

今回の改定で、某病院は、看護必要度が80%くらいになるのでは?と思っている。一方で、ギリギリになるところも出てくる。

そんな中で、記事の最後に書いた2つの懸念点に対し、配慮が足りていないように思う。個人的には、ハードルは上げずに、条件・基準を厳しくした方が、柔軟性も担保し、効率性・高回転化なども促せると考えている。また、「看護必要度を満たすため」に救急を受け入れるという病院側の意向で需要を生み出してしまう可能性が否定できない見直し案だ。

本来は、1件1件の救急搬送患者に対する評価を手厚くし、救急患者の受け入れインセンティブを高める。そして一方で、看護必要度では「救急」だけで評価しないようにする。そうすれば、病院は看護必要度を満たすかどうか気にせず、救急を受け入れられるときに受け入れ、そうでないときは他にお願いする、という自然な形になるはずだ。

看護必要度Ⅰで「救急搬送で入院」した患者を一律評価することも微妙だ。軽症救急もそうでない救急も入院すれば5日間、A項目2点が取れる。病院によっては、日勤帯の軽症救急ばかり取ろうと考えるところもあるだろう。地域によっては、それがありがたいというところもあるだろうが、重症な患者ばかりが回されてくる病院は、相対的に不満になるだろう。

看護必要度Ⅱで救急が除外されているのは、救急か否かに関わらず、医療資源投入とADLで評価されるため、それはそれで良いものだと思っていたのだが・・・。

先週の土曜の話を聞いて改めて感じたことだが、救急医療にはもっと点数をつけるべきだ。しかし、看護必要度で評価するのはちょっと違うのではないか。データ分析をしながら感じた次第だ。改定でどうなるか分からないが、現場は診療報酬制度を上手くクリアしようと努力する。それだけに、その努力が正しい方向に向かうように制度を作ってもらいたい。

2020/01/12

21都府県

年末年始、北は五所川原、西は姫路まで。18きっぷの旅を満喫。車中は、本を読んだり、分析したり、原稿を書いたり、病院を見に行ったり。

途中、新幹線を使ったり、船に乗ったりしているので、昔ほどのストイックさは無いものの、移動目的でなく、乗ること自体が目的の旅は最高だ。

と言いつつ、気になるエリアでは病院を見に行ったりもしたので、色々勉強にもなった。

通ったのは21都府県。青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島、新潟、群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、滋賀、京都、大阪、兵庫。意外と多いのか、少ないのか、よくわからないが・・・。

2020/01/09

「期間ⅡまでDPC点数継続」を近視眼的・大局的に見てみた

新年、最初の記事を掲載いただいた。

地ケア転棟、期間IIまでDPC点数継続の影響をどう見るか - CBnewsマネジメント 地ケア転棟、期間IIまでDPC点数継続の影響をどう見るか - CBnewsマネジメント

年末年始で十分時間があったので、温めてきた練りに練ったネタを・・・、と言いたいところだが、いくら時間があっても能力は高まらないので、いつもどおりの仕上がりに。
編集の力で、うまくまとめていただいているので、ぜひお読みいただければ幸いだ。

内容は、次回改定で、DPCから地ケア病棟への転棟時、期間ⅡまでDPC点数を引き継ぐ見直し案について、どのような影響があるのか整理した。

影響は①医療機関別係数、②転棟タイミング、③対象疾患によって異なることを示した。また、見直し案を経営的にポジティブに受け止めれば、「早期転棟」、「地ケア直接入院」を積極的に考えるべきであることを示した。この「早期転棟」、「地ケア直接入院」は、大局的にも、病棟機能分化、アウトカム志向の方向性に一致するものである。

すなわち、コンサル的発想と言われかねない収入最大化を意図した「早期転棟」、「地ケア直接入院」は、時代の流れに対し矛盾が生じないと理解している。

・・・とここまで書いたが、もともと書こうと思っていたことは、記事最後の段落だ。診療報酬制度の体系的な理解をされているMMオフィス工藤氏に言わせると「時空がゆがむ」とのこと。今回のDPC期間ⅡまでのDPC点数継続は、機能分化・アウトカム志向を加速させるだけに、制度面でうまく整理し、改定時の混乱を最小限に抑えてもらいたい。

2020/01/02

本年もどうぞよろしくお願いいたします

旧年中は多くのみなさまに大変お世話になりました。本年もデータ分析に注力し、さらなる価値の提供に努める所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

年末の趣味と実益を兼ねた調査で見た穏やかな日本海