2015/01/31

日経プラスワン 肺の「衰え」に気をつけて―機能低下、速める病気も、肺年齢、早期にチェックし対策(COPD)

和田アキ子と桂歌丸。共通点は?

詳しくは、下記のクローズアップ現代のサイトを見てもらいたい。

忍び寄る病 ~“COPD”の脅威~ - NHK クローズアップ現代

今朝の日経プラスワン、COPDの記事があった。その記事にも、日本医科大学の木田特任教授が登場している。潜在患者数700万人・・・と述べているが、そこまでいるかどうかは分からないものの、データ分析をしている立場の印象として、多くの患者を目にするようになった(データ上、治療薬がはっきりと分かるようになったのも大きい)。

また、日経の記事、要町病院の吉沢院長のコメントでなるほどなぁと思った。
「本人が呼吸機能の低下に気づかないレベルでも、運動量が減って糖尿病を悪化させたり、動脈硬化を進めたりすることがある」
運動量が減ることで、他の生活習慣病の引き金になってしまうのは、長期的には大きなマイナスだろう。

冒頭の芸能人ふたりにも共通している点だが、どちらもヘビースモーカー。たばこを吸っていたら、かならずCOPDになるわけでもないし、吸っていないからといってCOPDにならないわけでもない。ただ、COPDは喫煙が最大のリスクと言われている。

色々なところで話をさせてもらっているが、COPD、まだまだ認知度が低い印象だ。

COPDのことを知りたかったら、下記はCM開始をアナウンスしているサイトだが、内容は分かりやすく、また、詳細な説明をしているサイトへのリンクもある。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)広報大使 和田アキ子さんの新テレビCM 8月13日(土)より全国で放映開始 - ファイザー株式会社

個人的には、短編ドラマ風の説明ビデオ(無駄に本格的で、来宮良子のナレーション)が気に入った。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の情報サイト | COPD VIDEO LIBRARY

2015/01/27

液晶テレビなら亀山モデル、健康長寿なら埼玉モデル

かつて液晶テレビが高かったころ、『亀山モデル』なんていうシールが貼られたテレビが売られていた。今では、40インチくらいなら5万円もしないらしい。

亀山モデルが一世を風靡したのも、もう昔のこと。現在、亀山工場では、スマートフォン用の画面を作っているらしい。


○○モデルと銘打つからには、確固たる品質や、圧倒的なブランド力があるのが普通だ。
今月、埼玉県は「健康長寿埼玉モデル」の記者発表を行った。

健康長寿埼玉モデル
出所: 埼玉県知事記者会見資料
資料は分かりやすい。そして、取り組みは着実にステップアップしている。

記者発表資料全体は、こちらのPDFにある。
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0704/kenkochoju/documents/kaiken.pdf

年間医療費が2万円下がった、8万円弱下がった(参加者と比較対照群の差異)という報告も書かれている。これらは、おそらく最後まで参加できなかった人は除外され(途中で脳梗塞になった人とか、マイナス要素を極力排除しているかもしれない)、都合のよい形で結果をまとめているのかもしれない。しかし、そんなことは全国どこの報告も似たようなものだ。

資料の構成がシンプルで、整理されている。これから多くの自治体・企業で始まる取り組みは、おそらく、この中身を参考にすればよいだろう。健康長寿なら「埼玉モデル」という日が来る・・・かどうかは分からないが、これから新たに策定する自治体・企業は、これ以上のモデルを考えるべきだろう。

健康長寿埼玉モデルを発表しました - 埼玉県

2015/01/26

健康増進のインセンティブは現金が一番!?

スマートライフプロジェクトのサイトで、『【ドコモ・ヘルスケア株式会社】ドコモグループ内で、123組織約6000人による歩数競争イベントを実施!』の記事が公開されている。

グループで競う形式は盛り上がりやすい。そして歩数計は分かりやすい指標だ。(優勝したチームは1日平均3万歩だそうな。1日4時間とか歩いてたのかしら???)

ちなみに、一昨年にも、この手の話題をブログに書いている。

行動習慣をマネジメントする - 医療、福祉に貢献するために

fitbitの話などをアメリカで聴いてきたときのことを書いていた。この記事の最後に紹介したkeasのウェブサイトにアクセスすると、2014年のHRエグゼクティブサーベイのレポートをダウンロードすることができる。なかなか興味深い内容だ。従業員へのインセンティブは、現金が一番、という結論なのだけど、keasは「現金と非現金のインセンティブをうまく組み合わせることが大事」と言っている。

ヘルスケアポイントも、うまい形でインセンティブを設けないと、ただ単に欲深く行動する人や、まったく動かない人が出てしまうに違いない。うまいインセンティブを考えるには、様々な事例を知っておくことも重要だろう。

2015/01/25

ヘルスケアポイントは、次のステージへ

先日、このニュースが流れたからだろうか。いつもはあまりアクセスのない記事へ、アクセスが増えている。
政府、健康増進ポイント付与 15年度から本格導入方針 (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

ヘルスケアポイント関連の話題は、これまでにいくつか記事を書いているので、もし興味があれば、お読みいただきたい。

医療、福祉に貢献するために: ヘルスケアポイント

健康増進に加え、地域活性化につながるようなアイデアにより、導入の機運を高め、より多くの人の変更につながれば・・・と思う。実際、実証実験に参加している人の話を聞いたところ、なかなかおもしろいらしい。

2015/01/24

書評: 沈みゆく大国アメリカ

アメリカのユナイテッドヘルス、直近の四半期決算、好調だったらしい。
加入者の伸びに加え、日経速報ニュースによると「保険料収入に対する保険加入者への医療費支出の割合の改善も増益につながった。」とのこと。

アメリカの医療保険に関する話題と言えば、この本がかなり売れているらしい。


貧困層のみならず、中間層まで、医療破産をしなければならない状況になってしまい、保険会社が莫大な利益を上げるようになってしまったという内容のルポだ。

しかし、本の帯に「アメリカ医療大崩壊 次は日本だ!」とあり、TPP反対を支援するバイアスがかかっている点は留意すべきだろう。この本では、アメリカ市場で展開されているものが、日本に来て、うまくいくかどうかの議論はあまりなされていない。少なくとも、日本において、自由診療での医療は、美容外科やがんの免疫療法といった一部に限られているという事実は、現在の日本の保険制度が非常に良く出来ていることの証だと思う。

「ハゲタカがやってくる」というコメントには賛同しかねる。日本の保険制度を使えば、盲腸の手術は、1入院50万円弱(自己負担はその1~3割)で済むのに、アメリカでは200万以上かかることも珍しくない。常識的に考えて、50万円のサービスが展開されている国に、200万円以上のサービスを輸入することは非現実的だ。圧倒的な高品質サービスであれば可能性はあるのかもしれないが、現状の日本のサービスはそれほど悪くない。

この本に対し、冷静な批評をしている記事もあった。

今話題の「沈みゆく大国アメリカ」を読んで | 医療政策学×医療経済学

このように客観的に内容を批評できるのは素晴らしく、勉強になる。

オバマケアについては、下記の本が分かりやすい。


オバマは2003年のシカゴトリビューンのインタビューで「自動車が質と値段の比較できるならば、心臓手術だって質と値段を比較できるべきだろう」と述べている。類似のサービスには、レストランの比較で有名なザガットサーベイや、自動車の比較で有名なJ.D.Powerを挙げている。

また、同じ時期には、「アメリカにも皆保険を導入したい」という話をしている。日本のような医療制度が羨ましかったに違いない。



ハゲタカとか黒船といった言葉を聞いて思考停止してはいけない。ただ、どういった批判がなされているかも含め理解するために、「沈みゆく大国アメリカ」は必読だ。

2015/01/19

ドラッグストア大手も在宅療養支援へ(1/17日経朝刊)

土曜の朝刊に「ドラッグ店、在宅療養支援、ウエルシア、無菌調剤室を倍増、抗がん剤など点滴薬剤。」という記事が載っていた。

最近、至るところで見かけるドラッグストアだが、『無菌調剤室を倍増』といったところで、大局的に見れば、あまり無菌調剤室は増えない。

ウエルシア: 8店舗→20店舗(16年夏目標)
日本調剤: 3店舗→10店舗(16年3月期中)
クオール: 17店舗→年5店舗ペースで増加予定

在宅患者が増える見込みは確実さが増してきた。記事では、2025年に現状の2倍近い29万人に達する見通しとあるが、地域医療構想の議論等を考慮すると、それ以上増えることもあり得るだろう。

この流れについては、以前調剤薬局について書いた弊社レポートでも述べている。2年前のレポートだが、当時の未来予測として、以下のように書いていた。(以下、弊社レポートより抜粋)
① 在宅支援、無菌調剤
2025 年までの社会福祉政策を鑑みて、病院から在宅へという流れは、確実に訪れるであろうことが想像に難くない。現在も、各地域で在宅医療を頑張っている医師や看護師らがいるが、薬剤師・薬局も重要な役割を担っている。すでに、在宅支援に 7 年前から取り組んでいる広島県広島市のすずらん薬局(コラム欄に社長インタビューあり)では、無菌調剤室を備えた薬局もあり、高カロリー輸液やモルヒネなどの薬剤をより安全に届ける体制を備えている。2012 年現在、月 1000 人を超える患者のもとへ薬を届けているとのことで、このような在宅支援の薬局の存在は、益々必要性が増してくるものと思われる。無菌調剤室に関して、小規模な薬局では設備投資などが困難なケースも考えられる。その点については、共同利用の道が開けそうだ。在宅への流れは、今後も加速するはずだ。在宅でのケアをより良くするためにも、薬剤師・薬局の活動を、より質の高いものにしていくことは、非常に重要である。また、病院勤務薬剤師と同様、無菌調剤というレベルの高い調剤技術を身につけることができる薬局は、薬剤師確保の観点からも魅力的な薬局として映るのではないだろうか。
時代の流れは違っていなかったようだ。 上記内容も含め、レポート全体は、下記からダウンロードできる。

Our Reports | 株式会社メディチュア (「Vol.2 調剤薬局の課題と未来」のPDFマークをクリックするとダウンロード可能)

2015/01/14

高額療養費制度の変更は様々なアナウンスがなされている

2015年から、高額療養費制度が少し変わった。キャンサーネットジャパンのウェブサイトでは、説明用の資料が最新の内容になっていた。(このサイトの資料は非常にありがたいものが多い)

厚生労働省にも説明資料があり、変更点も分かりやすく書かれている。
高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省

厚生労働省の説明資料

現在の日本の医療制度は非常にありがたいくらい良くできていると思う。アメリカなど諸外国と較べても、優れている制度だと感じる。しかし、この制度を維持するためには、財政的な不安がつきまとう。今回の高額療養費制度の見直しは、所得の少ない人の負担軽減だけではなく、十分な所得のある人には多め払ってもらう、という内容である。今後は、状況に応じ、多少の負担増を受け入れることも必要となるだろう。
もちろん、それ以前に、まず何よりも健康増進といった国民の努力も必要だ。

2015/01/10

インフォグラフィックで見る「禁煙のススメ」

『禁煙のメリット』というインフォグラフィックが興味深い。表現の仕方に惹かれて、読み始めたのだが、禁煙は20分後には心拍数と血圧が低下するとった効果が出始めるようだ。

そして、たばこを止めるのに遅すぎることはないそうだ。たばこを吸うことは個人の自由であり、尊重されるべきことだが、健康保険制度の維持を考えるとそうは言っていられないだろう。

The Benefits of Quitting Smoking

2015/01/07

世田谷区は保育所定員を1100人拡大 →10年後、20年後は?

今朝の日経、地方経済面(東京)の記事。

世田谷区、保育所定員1100人拡大 来年度、株式会社も活用 :日本経済新聞


一方で、先日の朝日新聞の記事。

大都市の介護施設、求人難深刻 職員定数割れで閉鎖も:朝日新聞デジタル

対象としているのは、前者が小児、後者が高齢者。不足しているのは、前者が施設、後者が職員。それそれ違いはあれど、現時点での需給バランスを述べている。

設備も人材も、必要なときに必要な分を供給できるだけの流動性を確保することは難しい。

保育所の定員拡大は、団塊ジュニア世代の子育て時期が過ぎたらどうなるのだろうか。介護施設は団塊世代の介護時期が過ぎたらどうなるのだろうか。さらには、大都市と地方では全く事情が異なる。

これらの話は医療でも同じで、現時点での需給バランスを取ることの重要性は認めつつも、客観的に長期ビジョンを描くことが肝要であろう。

2015/01/06

様々なサービスの品質の日米間比較、病院は特異的なポジション

先日読んだ本で引用されていたのが財団法人 社会経済生産性本部の下記資料だ。

同一サービス分野における品質水準の違いに関する 日米比較調査 activity.jpc-net.jp/detail/01.data/activity000911/attached2.pdf

地下鉄やタクシー、コンビニ、ファミレス、銀行、コーヒーショップ、ホテル、病院などのサービスについて、アンケート調査したものだ。

興味深いのは、大半のサービス分野で日本の品質が良いと答えているのに、病院はアメリカの方が良いとなっていることだ。なぜ病院は他のサービス分野と異なった結果を示してしまうのだろうか。

もしかしたら、何か病院の課題解決のヒントとなる情報が隠れているかもしれない・・・そんなことを思いながら、資料を見ていた。


なお、報告書には、価格面では健康保険制度の違いなどがあることを挙げ、非常に丁寧な説明が書かれている。とても勉強になった。

2015/01/01

これまでの実績を1枚の絵で

2014年までの弊社実績をインフォグラフィックスで表現してみました。データ分析業務を中心に、病院・クリニックに限らない幅広い領域の仕事をさせていただきました。機会をくださった皆様に感謝致しますとともに2015年も努力していきたいと思います。

また、患者・市民視点でものごとを考えるために、いい意味で医療業界に染まっていないフレッシュな人材の活用を積極的に進めていきたいと考えております。


ちなみに、上のインフォグラフィックスをご覧いただくとドキュメントの絵で表現されているとおり2014年の執筆量が落ち込んでおります。これは弊社レポートの発行が滞っていることも一因です。2014年は忙しいことを言い訳になかなか発行できておりませんでしたが、2015年は弊社の考えを整理し発信することにも努力していきたいと思います。