2024/10/04

医師偏在は解消できるのか

「公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する・・・」と規定されている憲法の解釈は、自分の理解のおよぶところではないが、医師の偏在は解消できないと思っている。

近頃の開業制限などの議論も、開設の許認可なのか、保険診療の要件なのか、など、今後の進展が気になる。

とはいえ、目先の病院経営を考えるならば、先日のCBnewsで書いたように(特定集中治療室管理料1から4の宿日直医師NGの影響は - CBnewsマネジメント)医師確保の重要性が高まっていることは確実だ。「将来、医師が余るかどうか」ではなく、「今、足りない」をまず何とかしなければならない。

そこで、初期研修医のマッチング動向を分析してみた・・・というのが、今回の記事。

臨床研修マッチング結果を見て、医局整備の助成金に期待 - CBnewsマネジメント

これまでセミナーなどでは、高齢化率とマッチング率の都道府県分布を示し、高齢化の進んだ地域の厳しさを述べてきた。臨床研修の場として、どこを選ぶのか。どういった病院を選ぶのか。なぜ高齢化の進んだ地域が避けれられるのか。そういった観点でデータを整理した。

そして、表題にした「医局整備」はあくまでも例として挙げたものだ。結論は、縛り付けることが無理ならば、来てもらうための取り組み・今いるひとを大事にする取り組みを最大限支援してはどうか、ということである。(とはいえ、「医局整備」も一応データ分析結果と個別のヒアリングから導き出しているので、自分の思いつきではない)

マッチング結果は、どこどこ病院が人気だ~、なになに病院は人気がない~、などと話題になる。しかし、それをいち早く紹介したところで、弊社の価値ではなく、目指すところでもないので、医師偏在解消を考えてみた。何か参考になる点があれば幸いだ。

2024/09/19

人材確保の「難しさ」を可視化し、戦略を練る

ICUに関する記事をCBnewsに掲載いただいた。

特定集中治療室管理料1から4の宿日直医師NGの影響は - CBnewsマネジメント

分析内容はシンプルにICUの届出。ただ、目的は人材確保の難しさの可視化であって、届け出内容が変わるから減収になる・・・みたいなことはテーマではない。

ICUの届け出は、医師や看護師の配置、SOFAスコアや看護必要度の基準など、様々な要件をクリアしなければならない。また、稼働状況によっては、無理してICUを持つより、HCUにしたり、一般病棟で受ければよいという選択肢もある。様々な事情が絡み合って、届け出をしている。その前提に立つと、長期的な届け出動向の変化は、何が大きく影響したか断定することは難しい。

しかし、改定前後の比較であれば、改定内容の影響に限定できる。おそらく影響は医師配置要件であると想定し分析した。病床規模、病院機能(特定機能病院)、二次医療圏人口の3つの切り口で可視化した。

どこにしわ寄せが生じているか。今回の分析であれば医師確保の問題が見えてくる可能性がある。別のデータを分析すれば、看護師や薬剤師、リハビリセラピスト、医師事務作業補助者など、様々な人材確保の問題が見えてくる。その知見を蓄積することで、具体的な戦略につなげたい・・・というのが、弊社の狙い。そういう意味では、今回の記事は狙い・ノウハウは全部表に出してしまった。

弊社の強みは、その先にある(分析結果と戦略を「おかしい」「違う」「そのとおり」と指摘してくださる方々と議論し、より精度の高い分析に、より具体的な戦略に、が差別化の本質)。・・・と偉そうなことを書いたが、分析がただただ楽しい。それだけ。狙いもノウハウも強みも、大して考えていない。

ちゃんと考えているような人間だとしたら、下の写真のような大盛りごはんは食べない。

今週、半田屋で食べた「めし(中)と豚汁」。めし(中)は806kcalらしい。


2024/09/04

地域包括医療病棟への機能転換のパターン化

CBnewsに地域包括医療病棟に関する記事を掲載いただいた。

地域包括医療病棟の届け出、キーワードは「回リハ」「民間」 - CBnewsマネジメント

現時点で判明している36病院のパターン化がテーマ。在宅復帰率の基準クリアにおいて、回リハは一つのキーワードになりそう、というのが結論。

あと、4つの分類に分けたものは、今週も少しアップデート。施設数を入れたのが下記。

 


すでにクライアント病院向けには、この整理で話をしている。

で、今朝アップされた自分の記事を読んで気がついたのだが、8月5日に千葉大の井上先生が書かれた記事(先行病院から考察する地域包括医療病棟の選択 - CBnewsマネジメント)と論理展開が似ている。ちょっとうれしい(似ていて喜んでしまうのもどうかと思うが、泥臭い分析しかできない自分でも同じようなことを考えていた!)。決してマネたわけではないのでお許しを。というより、みな、井上先生の記事をまず読むべき。