CBnewsで、先日、日病協の仲井議長の記者会見のことを報じていた。
診療報酬の評価「プロセス主体」に、日病協議長 - CBnewsマネジメント
今後、少子化で人員確保が厳しくなることが想定される。そのため、限られた人材で質の高い医療を提供するには、人材育成やICTへの投資などを積極的に行うことが重要になるだろう。
現行の診療報酬制度は、決まった職種・人数の配置を要件とする項目が多い。このような基準は、質を担保するための最低限の基準として存在する意味はある。しかし現実は、多くの基準は高いハードルで、何とかクリアするために医療機関が四苦八苦している。
加えて、財源の見通しも厳しいことを踏まえれば、今後、医療機関側に充実した人員配置を求めるのに適正なコストは負担できない、といった主張・要求は通用しなくなるだろう。つまり「プロセス主体」に評価を変えるのは、医療機関側の意識は当然大事だが、保険者が意識を変えなければならないと考えている。例えば、人員配置の要件はICT活用などを前提に緩和していく仕組みが介護保険の改定で導入されたが、これは早晩診療報酬にも導入されるだろう。
そして、ストラクチャーからプロセスの評価だけでなく、アウトカム評価もまた重要である。
そのことを意識したのが、今回のCBnewsに掲載いただいた記事。
採算の取れない救急患者連携搬送料、なぜ届け出る? - CBnewsマネジメント
病床の高回転化を促すのであれば、高回転=高収益、にすべき、というのが主張。高回転=低収益&疲弊、の現状は極めて重大な問題である。
なので、救急患者連携搬送料の点数を10倍にすべきと事あるごとに言っている。さすがにそれは無理かもしれないので、効率性係数を5倍に、と少し現実的な提案で締めくくった。効率性係数を大きく引き上げれば、高回転と高稼働の両立を目指せればベスト、高回転だけでもベター、となる制度が作れる。高稼働を目指せるかどうかは人口動態などの地域性も大きく関係する。そのため、高稼働は今後多くの病院が共通して目指せる目標にならない。
高回転を実現するための人材育成やICTへの投資をすべきなのに、今、その戦略をとっても収益性はあまり改善しない。むしろあの手この手で高稼働を目指した方がよいのが現実である。財務的に余裕のある医療機関では(そんなところはほとんどないが)、人材やICTなどへの投資を行っているのは、少し先の未来を見据えているに違いない。
ただ、週末、高回転化で何か失うことがあるのではとも考えていた。効率性ばかりを追い求めることで、温かみが薄れてしまうのではないかとも。というのも、散歩していて稲架かけを見かけた(下の写真)。
週末の散歩で見かけた稲架かけ |
「安い米を食べたいくせに、この風景も残したい」は虫のいい話だなと思った。