2012/08/04

書評: 週刊エコノミスト 8/7号 特集「漢方で勝つ!」

漢方特集。表紙が漢方薬になっている号。

がん治療にも有効な漢方薬。
市場規模や、大手メーカーの代表的な薬剤の説明があったり、最低限のビジネス的な理解を得るにはちょうどよい特集ではないだろうか。

がん研有明、漢方サポート科部長 星野惠津夫医師が、がん患者に有用な漢方治療の認知を高め、治療機会を提供したい、と意欲的なコメントをしていた。その中で触れられていて、専門医の育成が急務、との意見は、その通りだと思う。服薬は、医師・コメディカルの理解が十分でないと、効果が薄くなるどころか、害になる可能性もあるわけで、周りをリードできる専門医に期待するところは大きい。

また、市民、患者も、漢方薬も含めた薬に対する理解を深める必要があるだろう。

2012/08/02

書評: さらば厚労省 それでもあなたは役人に生命を預けますか

新型インフルエンザのときの国の対応を切り口に、官僚、特に医系技官の問題点を鋭く論じている。
「医師と官僚」、「日本とアメリカ」、それぞれの経験に基づく視点を持ち合わせている点は、バランス感がよく、指摘している点に説得力がある。
ただ、あえて指摘するならば、「医師と官僚」、さらに言えば、「医師と医系技官」でありながら、最終的な主観は、医師・医療者に軸が置かれているため、保険者である支払側や一般市民での観点が薄く、若干バランス感覚に欠けている。医療費抑制政策を批判するのは、現場の医師の過労を少しでも緩和させるために大事な主張と思うが、税収が落ち込み、社会保障費をどうやって捻出しようか頭を悩ませている日本という国にとって、すべてが解決する策ではないことは明らかだ。

また、ドクターフィーとホスピタルフィーの議論がなされている。これは医療者側だけでも、意見がまとまらない内容なだけに、議論を成熟させていく必要があるだろう。これから始まるであろう費用対効果の議論する際にも、ドクターフィーとホスピタルフィーに分けることを意識する必要があるのではないだろうか。

それと、ロハスメディカルやm3.comの橋本佳子編集長のことが、一般紙のようなマスメディアと異なり、本質を突いた情報発信ができている、といった話があったが、これは、本当にその通りだと思う。国民が情報を目にする際、それが偏った考え方なのか、そうでないのか、判断できる人はあまり多くないように思う。

(下記の「行列のできる審議会~中医協の真実」が、その分かりやすい例)



「さらば厚労省」は、こういったメディアの問題も含め、医療政策を考えていく上では、非常に良い本だと思う。

さらば厚労省 それでもあなたは役人に生命を預けますか?さらば厚労省 それでもあなたは役人に生命を預けますか?
村重 直子

誰も書かなかった厚生省 舛添メモ 厚労官僚との闘い752日 行列のできる審議会~中医協の真実 (ロハスメディカル叢書) 医療崩壊の真犯人 (PHP新書) 道路独裁 官僚支配はどこまで続くか

2012/08/01

医者の子は医者に

かえるの子はかえる、ではないが、あそこは代々医者家系だ、とか、開業していない先生でも、ご実家ではお父様が開業している、なんて話は、よく聞く。

SMS社とQlife社のリサーチが非常に面白いので、紹介したい。
自分があれこれいうより、まず下記リンクを見た方がよい。
SMS社プレスリリース「わが子を医療従事者にしたいか」調査結果

医者は子供に医者になってもらいたいと思っている割合が高く(やっぱり!)、
看護師は、あまり医者になってもらいたくないと思っている割合が高い(医者は激務で、心身ともに苦労が絶えないことを見てしまっているからか!?)。
そして、薬剤師は、医者になってもらいたいと思っている割合が高い(病院勤めの薬剤師か、そうでないか、によって、答えが大きく違うのでは)。

医者自身のプライドが、激務を超越し、子供を医者にさせたいと思い、一方、現実を見ている看護師は、医者にさせたくないと思っている。もしそうであるならば、やはり、日本の医者は立派な人、人格者が多いのでは、と思う。
世の人が思うほど、稼げる職業でないだけに、医者が子供を医者にさせたいという結果は、ちょっとだけうれしい。