2016/07/12

都心回帰現象が引き起こすベッドタウンの医療・介護崩壊の可能性


関東信越厚生局管内の高齢化の状況と施設基準等から見た医療資源の把握
関東信越厚生局 地域包括ケア推進課
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/houkatsu/documents/kannainozyoukyou3.pdf

突然プライベートな話になるが、自分と親たちは関東信越厚生局管内に住んでおり、下の分類で言うところの大都市型・地方都市型・過疎地域型のすべてをカバーできている。親の住んでいる「過疎地域型」の二次医療圏は、この資料の中で、85歳以上人口があまり増えないエリアとして名前が載っている。この分類自体は高橋泰先生が以前報告されていた内容なので、目新しさはないものの、この後に続く資料で、埼玉県の県南部や神奈川県の県央部で85歳以上人口が大幅に増えることが示されている点が非常に興味深い(東京の中心部ではなく、その周辺都市なのだ)


ちょうど先週、とある地域の高齢化の推移について、数字から読み取ることが難しい内容の説明をしていた。これは東京周辺の町が、どのような開発を行い、どのタイミングでどのような年齢層が住んだか、そして、元々の住民のボリュームと流入者のボリュームの比率によって、高齢化の進展が変わってくることを理解しなければ、高齢化の影響は見えてこないと考えている。

・・・というややこしい話はさておき、この資料、見ているだけでも十分興味深く、色々な示唆に富んでいる。

まとめに書かれている内容で、個人的に気になる点を整理すると次の3点になった。

  • 要介護認定率が高くなる85歳以上の高齢者人口が20年間で3倍以上となる二次医療圏が8医療圏
  • 若年人口が大幅に減少する中でいかに介護サービスの担い手を確保するかが課題
  • 地域により人口動態が大きく異なるため、2025年のみならず、2035年も見据えた医療介護基盤の整備検討が必要

おそらく東京に一極集中化し集まってくる若者は、今後、これまで以上に医療・介護の担い手となる必要が生じるだろう。その現実に直面したとき、若者たちは東京に残るだろうか。(どうせ地方に帰っても、そこも医療・介護の働き口しかないという現実が待ち受けている気もするが) 東京に流入してくる人口が減れば、家賃などの問題でその周辺都市に住んでいた若者は都心に近づくだろう。(大学の都心部回帰現象と似た話)。そのとき、周辺都市が加速度的に高齢が進む。つまり、上記で指摘している問題は、もっと深刻なことなのではないだろうか。