2021/11/10

二次医療圏を超えた患者移動が生じやすい疾患・そうでない疾患

 急性期医療の患者移動。二次医療圏を超えた患者移動が生じるか否かは、医療圏の設定や、交通網・生活圏の関係、医療資源の配置など、さまざまな要因が複雑に絡んでいる。

ゆえに、移動が生じているか議論することは、特定のエリア・特定の疾患を見るのであれば、具体的なデータ分析も可能となり、課題の把握、アクションの検討につながる。

一方で、疾患を特定せず、エリア全体を見ても仕方ない。

とはいえ、マクロデータ・統計データ(集計データ)であっても、分析次第では、感覚を定量的に示すことが可能になる。下記は、DPC公開データの二次医療圏間の患者移動がどの程度生じているか見たもの。診断群ごとの移動容易性を比較した。MDC09の乳房の疾患は、疾患全体より1.80倍移動する(≒移動しやすい)。逆にMDC16外傷は0.73倍移動する(≒移動しにくい)。マーケティングを考えるときに、疾患・自院の専門性により対象とすべきエリアは変わる。このグラフはその一般論を考える上での参考にいただけるのでは・・・と思っている。


DPC公開データ(2019年度実績)を基に診断群ごとの二次医療圏間の流出入を推計
その推計結果を使い、診断群合計の医療圏ごとの流出入のばらつきを1とした場合に、各診断群の医療圏ごとの流出入のばらつき(ばらつきが大きい=移動しやすい、小さい=移動しにくい)を患者移動容易性として独自定義

医療機能の集約などを考えるときにも、一般論(上のグラフのようなデータ)と特定の地域を比較することで、その地域性を把握することができる。なお、都道府県を超える移動も似たような傾向に。


最後に。本日、CBnewsにこの内容とはまったく違う救急医療管理加算をテーマにした記事が公開されている。

救急医療管理加算の厳格化に備え算定の客観的妥当性を - CBnewsマネジメント

こちらの記事もDPC公開データを基にした分析がある。自院の特殊性などに気づくきっかけなどにしていただけると幸いだ。