2022/09/30

救急搬送のデータは、消防と病院の両側から見る

消防本部が公開している消防年報を見ると、地域の救急搬送の状況がわかる。受け入れ医療機関別の受け入れ件数を開示しているケースもある。

いろいろな地域のさまざまなデータを見続けているおかげなのか、データから特徴を把握することなどが多少できるようになってきたと感じる。

今週、CBnewsに掲載いただいた記事は、主に消防のデータを分析し、課題感を整理したもの。

中小病院の救急受け入れが地域を守る - CBnewsマネジメント

実際には、地域の病院側のデータ分析(DPCデータや病床機能報告など)も合わせることで、課題の精緻化や具体的な対応を検討する。

両側のデータを見ると、色々見えてくる。これに医療機関内のデータをあわせれば、さらに色々見えてくる。その見えてきた情報の多くは、多くの医療機関の方々にとって既知である。ただ、既知でないところがあったりするので、分析は有益であり、そして、楽しい。


救急のネタは2年半ほど前にも書いていたようだ。もしよろしければ、こちらもどうぞ。

救急搬送が増える地域、増えない地域 - CBnewsマネジメント

2022/09/21

診療報酬改定DXで、改定時期を後ろ倒しにするのか?

明日、医療DXの推進チームの会議がスタートするらしい。

 第1回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームの開催案内|厚生労働省


先日、診療報酬改定DX関連の調査業務の入札公告(入札公告(診療報酬改定DXの取組によるコスト削減効果等の推計調査業務) |厚生労働省)も出ていたので、本格的に動き出したのだろう。


自民党の「医療DX令和ビジョン2030」の提言(https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/203565_1.pdf)には、診療報酬改定DXについて次のように記載されている。

(3)「診療報酬改定DX」
~デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、SE 人材の有効活用や費用の低廉化を目指す(「診療報酬改定 DX」)~

  • 以下の取組による「診療報酬改定 DX」に向けて、各ベンダが利用することと医療機関に提供する際のコスト低減化について業界のコンセンサスを得ることを前提に、関係者(厚労省・審査支払機関・一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS))で協議し、開発主体・体制、費用負担の7あり方を含め対応方針を検討し、今年度中に結論を得る。
    1. 「共通算定モジュール」導入:医療機関やベンダの負担軽減に向けて、各ベンダ共通のものとして活用できる、診療報酬に係る「共通算定モジュール」を、厚生労働省・審査支払機関・ベンダが協力して、デジタル庁のサポートも得て作成する。診療報酬の改定の際も、当該モジュールの更新を行うことで足り、個々のベンダの負担は大きく軽減される。
    2.  診療報酬改定の円滑な施行:4月施行となっている診療報酬改定の施行日を後ろ倒しし、作業集中月(Death March)を解消するとともに、モジュール作業の後戻りやミスをなくす。

  • レセプト請求、医事会計など医療機関等の業務システムの DX を通じて、医療保険制度全体の運営コスト削減、保険者負担の軽減につなげるようにする。


なるほど、改定の施行日を4月から後ろ倒しするのだな。

システム対応の期間を伸ばすだけでなく、要件定義が曖昧な状態でシステム対応を強いられる現状は、問題だらけだ。疑義解釈が3月31日の夕方に出てくるのに、4月1日からシステム対応できるわけがない。

後ろ倒し、大歓迎!

ただ、DXって、日程の後ろ倒しを指すのか?? (モジュール化などもあるので、後ろ倒しだけでないことは重々承知。そして、DX関係なく、後ろ倒しだけでもするべきだと思う。ちなみに弊社は以前から「6月改定」推し)


参考動画

自由民主党 平井卓也氏 医療DX令和ビジョン2030|NIKKEI CHANNEL|[2022Autumn] ヘルスケアDX会議「デジタルが拓く 健康人生100年社会 ~データに基づき、個人に最適化する医療・介護の最前線~」

2022/09/17

看護職員処遇改善評価料の話は・・・

いまさらCBnewsの記事で、看護職員処遇改善評価料について、中医協の議論の経緯を説明したり、それに思うところを述べたりしても、誰も興味がないだろう。

なので、賃金カーブや、病院看護師数の推移から、配分方法を考えてみた。

看護師の処遇改善は独自色発揮のチャンス - CBnewsマネジメント

「自院がどうするか」も大事だが、「他院がどうするか」を考えることも大事だ。・・・という戦術論につながってくる。

戦術の具体的な話は、すでに処遇改善加算で勝者が生まれている介護施設などの取り組みを参考にするのもよいだろう。歴史を学ぶことは重要である。(CBnewsの記事では、文字数の都合と、文章化の能力の低さが原因で、そこまで言及してないが)


2022/09/05

日経朝刊「ローカル線は維持できるか」は必読

先日の話(「ご利用の少ない線区の経営情報を開示します」をどう読むか - 株式会社メディチュア Blog)の続き。

今朝の日経朝刊、9面。鉄道の地方路線維持について、JR東日本の社長、滋賀県知事、大学教授。三者からの意見が簡潔にまとまっている。(ローカル線は維持できるか JR東日本社長や滋賀県知事らに聞く: 日本経済新聞

週刊エコノミストの8月30日号の特集にも、JR東日本社長のインタビューが載っている。(週刊エコノミスト 2022年 8/30号【特集:鉄道150年 復活の条件】| Amazon


先週何気なく撮った鉄道の写真。
ここは線路を渡るのが大変な路線数で、列車の通過も高頻度な都心部の風景。
当然、地方路線維持の議論は、こういったところの話ではない

これらの議論は、病院のあり方の議論に通じるものがあると考えている。日経の記事、アンカーで、次のように締めくくっている。

鉄道の存廃も含めて様々な選択肢を官民で探ることがまず必要だろう。その議論に地域住民も幅広く参加してほしい。

現状、医療関係者と地域住民の間で、働き方改革や病院機能再編などに対する認識には大きなギャップがある。議論に参加した地域住民が建設的な議論を行うためには、制度・政策も含めた現状把握が必要で、このハードルが高いと思っている。

十分な理解が伴わず議論に参加すれば、反射的に「再編反対! 機能充実!」と主張するはずであり、実際、そのような地域をたくさん見てきた。なかなか難しい。