2014/02/04

その後が報じられない記事 ~抗がん剤記事に製薬会社が金銭~

昨年の12月だ。驚きと失望を感じながら読んだ記事がある。

抗がん剤記事に製薬会社が金銭…薬事法違反か : アラカルトニュース : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)

抗がん剤記事に金銭、薬事法違反の疑い 厚労省調査 :日本経済新聞

ただ、ニュースが報じたからといって鵜呑みにしてはいけない。そう思って、その後の調査や反応を待っていた。しかし、年が明けても一向に新たな情報が出ないまま、1月も終わってしまった。どうしたものだろうか。

すでに、他の雑誌(別冊宝島 「大学病院 タブーな裏側」 記事最下部amazonのリンク参照)では、この記事で指摘されている”雑誌”は「がんサポート」(ウェブサイト:http://www.evidence-inc.jp/index.htmlhttp://gansupport.jp/)ではないか、といった推測でものが語られ始めてしまっている。この数年、がんサポートを愛読しているがゆえ、冒頭のように失望感が少なからずあった。がんサポートは、他の患者向け雑誌と異なり、「がんは治る」「これが効いた」みたいな煽りが少なく、医学的な観点での中立的な情報提供に徹している傾向が強かった。2010年12月号だったかと思うが、肺がんのALK阻害剤について、やや熱のこもった感じで、ドラマチックに書いていたときなどは印象が強い。医学・ドクターの世界ではもう知っていて当然の話なのだが、患者のところまでは情報が届いていない、といった内容を冷静に伝えてくれる役目を担っている貴重な雑誌のように思う。

それが記事に対し、製薬会社から広告料をもらっていたとなると、残念ながら、多少事実が歪められてしまったのではないだろうかという疑念が残る。また、もしかして記事は最終的に患者が利する情報ではなく、新薬開発のために投下した莫大な研究費を少しでも回収しようと躍起になっている製薬会社が利する情報が記事になっていたのかもしれない。

読売新聞の記事には、「医師らが薬を客観的に評価しているように見えるが、裏に金のやりとりがあるなら客観性に疑いが生じる」と日本医大の勝俣教授がコメントしている。

こういった根の深い問題は、正直、患者側の理解力アップや知識増強だけでは、立ち向かうことができない。法律で厳しく制限することまでは望まないが、製薬会社間の意識に温度差が生じることがないよう明確なルールが策定されることを期待したい。

それと、本件、続報を早く知りたい。