前回のブログで、学校教育では不妊についてあまり教えて来なかった実態を、教育の受け手に対するアンケートから推測した。では教えられて来なかった人たちは、妊娠・出産について、特に高齢化がどのような影響を与えるのか、その理解を確認してみた。
アンケート調査の結果、年齢が高くなるほど妊娠しづらくなることや、体外受精であっても妊娠しづらくなることは、比較的よく理解されていることがわかった。ただ、年齢が高くなると流産する確率が上がったり、ダウン症などのリスクが高くなることは、決して十分に理解されているとはいえない状況だった。そして、学校では不妊についてあまり教わってこなかった30代の方が、20代以下よりよく理解しているのは、学校で教えている内容や、30代が自分の身に迫った問題として真剣に考えていることを反映しているのかもしれない。
個々人の産みたい意志を尊重することが最も重要なことであるのは疑いようのないことであり、他人が産む・産まないの選択や、産む時期を強制することはできないことだが、産みやすい時期があるということはもっと理解されてもいいだろう。その上で、肉体的に産みやすい時期に、キャリアの空白期間ができたり、復帰しづらくなったりするために社会的に産みにくい状況にあることをどうするか考えるべきだと思う。
これは、にわとりが先か、卵が先か、ではない。まず「産みやすい時期がある」という事実を社会全体で理解することが重要だ。アンケートは相対的に意識が高いであろう30代以下の未婚女性に聞いたが、理解する対象は女性に限らず、もちろん男性もである。