政府は18日、地方創生のための国の施策を盛り込んだ「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改定案をまとめた。中山間地の中心集落に生活に不可欠な施設を集めて、交通手段も確保した「小さな拠点」を2020年に全国に1000カ所設置する目標を盛り込んだ。(拠点集落を全国1000カ所に 地方創生戦略改定案 :日本経済新聞)
地方創生の具体的な目標として、「小さな拠点」を1,000ヶ所設置、ということが盛り込まれたようだ。昨年末に公表されたまち・ひと・しごと創生総合戦略 -概要-(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/pdf/20141227siryou4.pdf)で「小さな拠点」のことを知ったのだが、「多世代交流・多機能型」 という考え方は、中山間地のみならず、どこでも通用するものだと思う。
すでに島根県では52地区が拠点づくりに取り組んでいるらしい。(17日の日経地方面の記事を参照)
島根県は過疎地域で買い物や医療、金融など生活に必要な施設を集約する「小さな拠点」を現在の約3倍に増やす方針を打ち出した。地域おこし協力隊や行政と市民活動をつなぐ中間支援組織の人材を確保し、地域サービス維持に向けた住民参加を促す。(中略) 県は227地区の「公民館エリア」を地域運営の基本単位に設定している。現在はこのうち52地区が小さな拠点づくりに取り組んでいる。これを4年間で150地区に増やす。
「公民館エリア」という考え方は興味深い。というのも、小学校区・中学校区といった考え方は、過疎地域では、意外と広域になってしまう。地域包括ケアシステムで考えているエリアが都市部と過疎地域で異なることは当然のことながら、「公民館エリア」という概念は、普遍的な考え方かもしれないと思った。ただし、公民館エリアの人口が500人足らずのところと、1万人のところではもちろん違う。その上で、生活機能を集約するという考え方の中に、どのような医療が必要か考えることは有益なのかもしれない。
例えば、関連する下記の報告書を読んでみた。
「小さな拠点」の形成に向けた新しい「よろずや」づくり(「公民連携によるまちなか再生事例に関する調査研究事業」報告書)平成27年3月 www.soumu.go.jp/main_content/000380232.pdf
その中で、次のように言及されていた。
高齢者の主な外出先は、病院や福祉施設などに偏りがちであるが、地域に馴染みの商店があれば、元気な高齢者は、買い物も兼ねてその商店に毎日訪れることができる。「よろずや」は、地域の拠点となることで、高齢者に対して外出のきっかけを提供する貴重な施設となる。
逆手に取れば、病院に「よろずや」機能があれば良いと考えることもできなくはない。すでに病院の中には、そのような考え方で施設整備しているところも出てきている。
地方創生の話題は医療と非常に関連性が高い。公民館エリアでの取り組みにも注目してみたい。