2015/12/08

診療報酬改定で受療行動を変える ~「○○がオトク!」 マスコミが食いつく情報の出し方~

調剤報酬について、次期改定に向けた中医協の議論が活発になってきている。直近の議論の内容を報じたニュース記事を読むと、かかりつけ薬局・薬剤師の理念を診療報酬にどのように反映させるか議論がなされ、具体的な報酬制度が提案されているようだ。

同じ薬局2回以上利用で患者負担減- お薬手帳の活用促す、厚労省 | 医療介護CBニュース



引用した記事の前者は、同じ薬局を2回以上利用したら患者負担減ということで、逆に言えば、複数の薬局にかかれば高くなることを意味している。また、後者の記事は、包括的評価導入とある。

この内容、当ブログで5月に書いている内容とほぼ同じである。

かかりつけ薬局制度、診療報酬で誘導するなら、ここを上げ、ここを下げるべき - 医療、福祉に貢献するために

患者負担減をアピールするより、複数薬局にかかった場合の管理の煩雑さに対し報酬アップ=患者負担増をアピールした方が、

「同じ薬局に通った方がこんなにオトク!!」

「複数の医者に通っていても、薬局はひとつにまとめると年○千円安くなる!!」

「お薬手帳を持たずに、いつもと違う薬局に行くと、損をする!!」

といった感じでマスコミが取り上げてくれるのではないだろうか。

ちなみに、改定の前にはパブコメや公聴会が開催されるが、実態は意見や参加者の大半(9割近く)は医療関係者である(前回改定時のパブコメ、公聴会に関する報告資料→中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省)。また、診療報酬改定の説明会も対象は医療関係者だ。それらはそれらで良いとして、国民向けに噛み砕いた説明をしても良いと思う。行政が診療報酬改定により市民をあるべき方向に誘導するためには、もっと市民向けに時間を割くべきであり、うまくマスコミを巻き込む戦略も練る必要があるのではないだろうか。