2016/12/18

将来のサービスの受け手が議論に加わることの重要性

先月話題にした兵庫県豊岡市の病院機能再編、その後、進展があったようだ。

人口減少と市町村合併の先にある医療システム維持の模索

12/6の記事。

記事によると、病床廃止の案に対し、医療関係者・住民の団体が署名活動などを行い、反発していたとのことで、このような活動自体は珍しくないだろう。医療に対し地域住民が興味を持っている良い反応とも言える。

しかし、高齢者医療に対する高回転化が進んでいる。医療の内容により、多少理由は異なるが、基本、在院日数は短くなっている。
  • 急性期医療: 低侵襲化を主とした在院日数の短縮
  • 回復期医療: アウトカム重視の短期集中的な医療提供
  • 慢性期医療: 病院への入院を前提としない療養環境の選択
高齢者が増えるからと言って、病院施設に投資を行えば、時代の進展とともに重荷になる可能性が極めて高い。これまでも、先週のCBnewsへの投稿記事や、野村ヘルスケアのレポートで述べてきたことだ。


地域医療構想に関するレポート

ちなみに、繰り返すが、住民団体の主張が間違っているというつもりはまったくなく、正しいと思う。毎日新聞の記事の見出しにあるとおり、病院側の「時間かけ協議を」とあるように、医療提供側が、このような医療環境の変化等の情報を整理し、長期的なビジョンを示すことが必要だろう。

このとき、「今、医療を必要とする人たち(≒高齢者)」が、この機能縮小のビジョンを聞けば、ネガティブな反応になるだろう。大事なのは、その高齢者たちが天寿をまっとうする後に残される「今はあまり医療を必要としない若者たち」がその議論に加わっておくべきだ・・・という理想論は虚しく響くので、分かりやすいデータを示していくことが弊社の役割だと認識している。
(この日高の件、もし自分が知らないだけで、若い世代が議論に十分加わっているのだとしたら、ごめんなさい)