2017/08/08

医療区分から患者背景の違いが見えてくると課題は自ずと見えてくる

療養病床のあり方について、先々月くらいから定期的に訪問させていただいている、とあるクライアント向けに検討。ちょうど、先週、入院医療等の調査・評価分科会と介護給付費分科会が開催されたのでその資料を参考にする。

中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)審議会資料 |厚生労働省 中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)審議会資料 |厚生労働省


介護給付費分科会審議会資料 |厚生労働省 介護給付費分科会審議会資料 |厚生労働省

医療療養病棟について、医療区分による様々な項目が比較されている。出来高換算した点数の箱ひげ図も興味深いが、その点についてはCBnewsなどが報じていた(療養病棟に「DPCデータ提出必須化」案 - CBnewsマネジメント)ので、少し異なる視点を。医療区分の違いによる退院に向けた目標・課題の比較を下に示す。詳しい内容は配布資料を参照いただきたい。
平成29年度第5回 入院医療等の調査・評価分科会 配布資料 P.65を基に作成
「看取り(死亡退院)」と「転院先の医療機関の確保」を主な退院に向けた目標としている割合は、医療区分3>医療区分2>医療区分1、の関係になっている。

一方で、「在宅医療・介護等の調整」「入所先の施設の確保」は、区分3<区分2<区分1と真逆になっている。

当然といえば当然の結果だが、改めてこの結果から言えるのは、医療区分1の70%を在宅で見ることを目指すのであれば、入所施設と在宅医療・介護の充実が求められることとなる。入所先の整備について、ハード的なものを新規に作るのは、財政的にも時間的にも厳しいだけに、介護医療院の役割に期待が寄せられるところだろう。介護給付費分科会と平仄をしっかり合わせないと、患者が難民化するか、医療・介護関係施設の経営が厳しくなるか、いずれか(もしくは両方)の未来が待ち受けているのではないだろうか。