2012/11/28

高齢化が進む社会に向けた心構え

間違いなく高齢者が増える。絶対的な数も、比率も。
思わぬタイミングで、がんや心疾患、脳卒中で亡くなる人がいることも確かだが、
誰もが元気でいて欲しいし、大往生と言われるような最期を迎えてもらいたい。

ただ、現実は、長生きできたとしても、身体的な衰えや、怪我により、身の回りのことができなくなることが多い。下のグラフのとおり、要介護認定率は、歳を重ねるにつれ、急激に高くなってくる。
要介護度別認定者数の推移(厚生労働省作成資料)

80歳以降で要介護率が急激に高まっている。これは、80歳以降で気をつけるのではなく、それまで十分に注意し、不自由が生じないよう努力をしなければいけませんよ、というメッセージだ。
70歳までは良いが、70からの10年をどう過ごすかで、結果が大きく変わる。

軽い運動を続けることも大事だろう。運動機能的な健康を維持するには、関節を柔らかくしておくことが大事らしい。

そして、違う観点で面白い商品がある。
下の写真は、テルモが11月20日にプレスリリースで色の追加を発表した、転倒予防靴下だ。


縫い方を変えることで、つま先が上向きに浮くとのこと。その結果、転倒予防につながるらしい。色が追加されたのは、好評ゆえとのこと。こういった商品、ちょっと高い場合が多いものの、積極的に利用し、健康を維持したい。

2012/11/25

病院ランキングと高校ランキングの共通点

どこの病院がいいか?

自分が、家族が、知人が、病気になったとき、良い病院に行きたい願望は誰しも少なからずある。国民皆保険制度下の日本では、どこの病院でも、値段に大きな差はなく、アクセス制限(行く病院が強制されていたり、どこどこ病院は診てくれないといった制限がある状態)もない。

となれば、『良い病院に行きたい願望』は、『どこが良い病院なのか知りたい願望』へと変わる。
結果として、巷には、ランキングの本があふれている状況だ。
amazon.co.jp "病院" "ランキング"での検索結果
検索結果にずらーっと並ぶランキングの本の多くは、名の知れた出版社や新聞社から出ているだ。これを読むと、「ほぉ~、胃がんでは、この病院が東京都で1位か。」といったことが分かる。近頃は、評価基準が記載されているものも多いため、透明性のある実力評価のように思えてしまう。

■手術件数が多い病院は良いのか
単純な件数比較
 胃がんの手術が年間10件の病院と、年間100件の病院があったら、それは誰しも100件の病院の方が良い・・・と思うだろう。この良し悪しは諸説あるのだが、以下の論文ではがん領域においてハイボリュームセンターは質が良いとしている。

Impact of Hospital Volume on Operative Mortality for Major Cancer Surgery FREE Colin B. Begg, PhD; Laura D. Cramer, ScM; William J. Hoskins, MD; Murray F. Brennan, MD JAMA. 1998;280(20):1747-1751. doi:10.1001/jama.280.20.1747.

 ある外科医から聞いた話だが、同じ手術で、週3件の病院(年150件程度)と、週1件の病院(年50件程度)と、月1件(年12件程度)の病院を比べると、外科医の技術も差が出るだけでなく、医療チームとしての差が大きくなってくるとのこと。週3件実施している手術は手術チームのコミュニケーションや、スキルが格段に上がっていることを実感できるという。

医師ひとりあたり件数
 胃がんの手術が年間100件の病院(胃がんの執刀医2人)と、年間200件の病院(胃がんの執刀医10人)があったら、どうだろうか。前者は1人あたり50件、後者は20件。しかも、医師が10人いたら、全員が平均的に担当している可能性は低く、おそらく50件の医師と、5件の医師が混在している可能性が高い。
 1人あたり件数は、多い方が良い。でも医師数が多いのも良い。どっちが良いか、ますます判断がつかなくなって来る。

■開腹手術と腹腔鏡手術、どっちが良いのか
 ランキング本では、腹腔鏡の手術件数を並べているものもある(例:読売新聞医療情報部の「病院の実力」)。腹腔鏡の症例が多いと、「ここの病院は技術力が高いのでは?」「うまい医者がいるのでは?」と期待してしまうかもしれない。ただ、現実には、その技術力も大事だが、患者のがんの状況に合わせ、腹腔鏡と開腹の合理的な選択をしていることがほとんどである。
 つまり、腹腔鏡が適用できる患者が多いか少ないかといった、集まってくる患者群の背景を説明している可能性が高い。

 ただ、そうは言っても、まったく参考にならないわけでもない。腹腔鏡が極端に多い施設は、どのような症例でも腹腔鏡を適用しようとする。例えば、前述の読売新聞社の2011年の本の数値から、大腸がんの東京都のデータを引用すると、

がん研有明     488件 うち352件が腹腔鏡(72.1%)
国がん中央病院  383件 うち147件が腹腔鏡(38.4%)
虎の門病院     363件 うち353件が腹腔鏡(97.2%)
日赤医療センター 303件 うち   4件が腹腔鏡(1.3%)

がん研有明と国立がんセンター中央病院の数値は単純に判断することは難しいが、虎の門病院と日赤医療センターは、明らかに傾向が違う。これは、それぞれの施設の方針、特徴を表している可能性が高い。件数の多い・少ないではない情報が見えてくる。

■ランキング本は週刊誌の「東大合格者数ランキング」と変わらない
これらの病院ランキング本、週刊誌が年度末に特集する「○○大学合格者数ランキング」と共通点が多い。今年は開成高校、灘高校がどうだった、公立が躍進した、なんて情報が踊る。やっぱり開成はすごいね、なんて読む人は思うのだろう。恥ずかしながら、自分の母校がこういったランキングに顔を出すと(滅多にないが)、ちょっとうれしい。

でも、そのランキングが「高校での教育の実力」を単純に表しているわけではない。ちょっと考えれば分かることだが、誰しもが開成高校には入れない。開成高校や灘高校に入る人たちは、もともと学力面で優れている群であり、もしかしたら、その群は、どの高校に行っても東大に受かる人かもしれない。はたまた、ランキング上位の別の高校では、東大に多く合格しているが、ほとんどの人が現役在学中から予備校に通っているかもしれず、高校の実力を単純に表していないかもしれない。

リスク調整生存率
高校の実力を評価する理想論を言えば、高校入学時に、まったく同じ成績の生徒群2つが、A高校とB高校に入り、予備校にも行かず、どのような結果になるか比較すれば良い。A高校とB高校の真の実力が見えてくるはずだ。
病院の比較でも同じである。もともとの『生徒の実力』を揃え、『大学進学実績』を評価することが大事である。がんで言うなれば、

生徒の実力=『がんのステージ』、『年齢』

大学進学実績=『生存率』『再発率』

といったところだろうか。
このような評価の試みが、国内でもすでに始まっている(⇒全がん協加盟施設の生存率協同調査)。この試みは、その数値だけを比較し、ランキングするような性質のものではなく、日本全体のがん医療の水準向上を期待し、どのような数値を公表していくべきか、取り組んでいるものであるので、誤解しないようにしたい。

「偏差値40からの大学受験」といったキャッチコピーで有名になった予備校があったが、まさに患者背景を揃え、アウトカムを評価することが重要である。

■これから患者、一般市民に求められること
患者にとって、病院を評価するために必要な情報は何かということを考え、より開示してもらうことが必要だ。その点で重要になってくるのが、『情報を理解する力』である。
病院側が開示に積極的になれない大きな理由のひとつとして、ここまで記載してきたような、数の多い少ないだけで短絡的な判断をされてしまうことを恐れていることが挙げられる。
つまり、読み手の「理解する力」を高められれば、様々な情報の開示が進むのではないだろうか。

(個人的に思うこととしては、保険者はもっと情報開示の要求を強めても良いと思うのだが・・・)

2012/11/23

サプリメント特集の2雑誌、ここまで内容が違うのか!?

今週、ちょうど週刊ダイヤモンドTarzanが同時にサプリメント特集をしていた。



どちらもサプリを取り上げているとは言え、その温度差がスゴい!

Tarzanがサプリ販売会社の広告集のような中身になっているのに対し、ダイヤモンドは自己責任ゆえ飲む人がもっと知っておくべきことの説明に重点を置いている。

栄養士などに聞くと、あくまでも1日3度の食事から栄養分を取り、どうしても足りないものをサプリメントで補うべき、というスタンスの答えが帰ってくる事が多く、サプリを取ることで健康になれる、というアグレッシブな意見を聞くことが少ない。
ダイヤモンドの記事に、国立健康・栄養研究所の梅垣敬三・情報センター長のトクホに対するコメントで「乱れた食生活や運動不足を帳消しにしてくれる免罪符としてではなく、今の生活を改善する”きっかけ”として利用するのがベスト」と書いてある。きっかけとして利用・・・にしては、CMでは大きな効果を煽っている気がしてならない。喪黒福造の黒烏龍茶のCMが消費者庁から改善要請されたこと(日経の記事)は、その特徴的な出来事だ。


では、様々な情報があふれている世の中で、何を信じて、何を疑うべきなのだろうか。
まず、大量に流れてくるCMや雑誌の広告などを鵜呑みにしないこと。売る側の心理は、都合が悪いことは説明せず、都合のよいことだけを説明する。さらに、健康食品・サプリメントは、治る、効くといった絶対的な効果は説明できなくても、それっぽい言葉で効くような印象を与える。
「笑顔で歩く毎日に」「立つ、座るをスムーズに」なんて言葉が書かれていたら、関節の痛みが和らぐことを期待しない人はいないのではないだろうか。

これは医者で処方される薬や、薬局で買う薬にも共通していえることだが、特に健康食品・サプリメントは、専門家である医者・薬剤師が関与する機会が少ないため、飲む人自身が客観的な情報を得て、判断する必要がある。買う・買わないの判断だけでなく、飲み続ける・やめるの判断が極めて重要だ。飲むことによる体調変化には敏感になる必要がある。ちょっとした不安や変化を感じた場合には、飲むのを中断したり、専門家に相談したりするべきだ。

週刊ダイヤモンド、様々な視点で良く書かれていると思うが、実は、ほぼ同じ内容が、国立健康・栄養研究所のホームページに詳しく書かれている。

国立健康・栄養研究所 健康食品に関するホームページ

まずは、これを読めば良い、という資料も出来上がっている。⇒健康食品の説明用資料

こういった情報を理解し、食生活・運動といった生活習慣を見直し、正しく健康食品・サプリメントを使っていくことは、医療費増加抑制にも一役買うのではないだろうか。

2012/11/18

NHKスペシャル がんワクチン ~"夢の治療薬"への格闘~

見ようと思っていたのだが、外出から戻るのが事故渋滞などで思った以上に遅くなり、番組途中からしか見ることができなかった。

治験段階のがんワクチンの効果は、肯定も否定もなく、『治験中』なのだと思うのだが、番組はかなり夢の部分を煽っていたようで、公平さは感じられなかった。
がん患者に期待を持たせるのは、悪いことではないと思うが、公平さを欠く内容で期待を持たせたのであれば、問題がある。

おそらく、この番組を見たがん患者の一部は、明日にでも主治医に、このことを質問するかもしれない。それ自体は悪くないものの、この番組の偏った情報が現場で混乱を来すこともあり得る。

治験は薬が『治療薬』として世に出るために必要なプロセスであって、夢の世界が広がっているわけではない。

この手の話は、一歩間違えれば、健康食品のCMと変わらない番組になりかねないだけに、NHKに大きな期待をしていたのだが、どうやら、健康食品のCMに近い内容だったようだ。

冒頭から見ていないことで、このような客観性を欠く偏った番組であったと感じさせたのであれば申し訳ない。改めて、再放送を見て、考えてみたい。

なお、再放送は、11月22日(木)午前0時25分~1時14分(NHK総合)とのこと。

NHKスペシャル がんワクチン ~"夢の治療薬"への格闘~

2012/11/14

湿度低め、気圧高め、風弱め。三拍子揃ったら、激混み!?

昨日に続いて、どんなときにクリニックが混むのか調査。
昨日は曜日、祝日の影響を見たが、本日は天候。

天候には、いくつかの意味が考えられる。

「雨だから、医者に行くのは明日にしよう」「明日は雨が降りそうだから、今日のうちに医者に行こう」など、医者までの行き帰りの不便さが理由になるケース。

「急に寒くなって、風邪をひいてしまった」「気圧変化の影響か、喘息の発作が起きた」など、天候が体調変化をもたらし、医者に行かざるを得なくなるケース。

これらの理由は、本来であれば、分離して数値を検証したいのだが、まだそこまではできないため、今日は、単純に気象データとの比較結果を示す。

①湿度が高いほど、医者はヒマ
※ 混雑は数値が大きいほど混雑していることを示している。下2つのグラフも同様
ジメッとした日は医者に行きたくなくなるのか??
湿度が高い日は雨が降っている可能性もあるから、あながち、間違ってもいないかもしれない。


②気圧が高いほど、医者が混む
湿度同様、気圧が低い日は雨の確率が高いため、何となく納得か。


③風が強い日ほど、医者はヒマ
極端に強い日は別としても、何となく傾向が見える。風は心理的な影響があるのだろうか。
もしくは、花粉症のような疾患で、症状が強く出てしまう、なんてことも考えられる。

これらの3つは、ある程度分かりやすい例を示した。
曜日と天候だけで、クリニックの混雑は説明できないことは十分認識しているが、何かしら関係があることも事実である。
これらのロジックをもとに、現在、医者が混みそうなどうか予測するシステムを作っている。
さらには、どういった行動が健康維持につながるか・・・なんてことも考えていきたい。

2012/11/13

月曜と祝翌日は医者に行くな!

最近、めっきり寒くなってきた。東京でもコートを来ている人を見かけるようになった。
朝起きるときも、布団から出たくないと思うこともしばしば。

この頃、ちょっとした気の緩みで風邪をひいたのか、そもそも風邪が流行りやすい時期なのか、実は花粉症なのか、はっきりとは分からないが、マスクをしている人が多い。

風邪は大したことがなければ、「寝て治そう」「温かいものを食べて治そう」といったレベルで済むこともあるし、「葛根湯を飲もう」「風邪薬を飲もう」というような市販薬に頼る人もいる。さらに、医者に診てもらう人もいるし、中には風邪をこじらせて入院なんてこともある。

医者に行った時に困るのが『流行っている時期』だからなのか、やたらと待たされること。でも、待たされることは、ある程度覚悟しなければならない。

次のグラフを見てもらいたい。


弊社分析システム(β版)での算出結果

これは、月曜日は平均の1.39倍、祝翌日は1.58倍も混雑し、逆に、木曜は3割弱少ないことを意味している。つまり、休み明けは大混雑、休み前もやや混雑、そして火、水、木と患者は減っていく。
土曜は休診や半休のところもあるから参考程度にしかならないが、それほど混まない。

診療科や地域によって多少変わるのだろうが、月曜や祝翌日に定期的な受診をするのはリスクが大きい。

今月で言えば、11月23日勤労感謝の日、24日(土)、25日(日)の三連休明け26日(月)は、非常に混む可能性が高い。三連休に天候が崩れたり、気温が下がったりすれば、なおのことだ。
病院に定期的にかかっている人は、26日を避け、21日(水)や27日以降に行く事をお勧めする。(あくまでもデータ上の話だが・・・)

「病院で待たされるのは、病院がうまく対処しないから悪い」と片付けてしまうのは容易い。でも、待つ原因を作っているのは、患者でもあることは間違いない。
急病は仕方ない。もし定期的な受診をしている人がいたら、仕事等の予定にあわせて、病院を受診するのではなく、病院の空いてそうな日に受診し、仕事等を合わせてみてはどうだろうか。

ただ、実際には、そんなことは無理だ・・・と言う人が大半な気がする。
ここで大事なのは、「今日はきっと混む」と思って医者に行く心構えをしておくことだ。

これは先週、セミナーで聞いた話だ。
検査が混んでいて、約3時間後、午後になりそうだということを、患者さんに「午後までお待ちいただくことになりそうですが、よろしいですか?」とお話されている病院の事例だった。何も聞かずに、患者さんが待ち続けていると、3時間どころか、10分だって長くイライラするケースだってある。でも、職員が積極的に情報を開示し話しかけていることで、「遠くから来ているから、今日はのんびり待つよ」と答えてくれたそうだ。

くれぐれも、混雑を緩和しようと医師が診療の手を抜くことだけは防がねば・・・。こんなことでも、患者が歩み寄れる余地はある。

2012/11/09

高齢者はいつまで薬を飲むべきなのか

先日、ご高齢の方々と話をしていたら、次のようにおっしゃった。

「足が痛いのが治らないのだけど、医者から新しい注射を勧められたのよ。でも、高いし、もう自分はこの先大して長くないから、『そういういいお薬はもっと若い人に使って』って断ってきたのよ」

また、別のご高齢の方は、次のようにおっしゃった。

「高血圧なんだけど(薬は飲んでいない)、もう、ちょっと血圧が高いくらいだったら、あんまり気にしなくなってきちゃった。」

お二人とも、90歳を越え、元気な方たちだ。
いったい薬はいつまで飲めば(使えば)いいのだろうか。

■QALYを理解している合理的思考のおばあちゃん
このお二人、前者は、痛みとの付き合い。痛みが解消されるならば、ある程度は薬を使うべきかもしれない。後者は、慢性疾患。いつまで使うか難しい。天に召される日まで使うべきなのか、嚥下機能などの状況によっても変わってくるかもしれない。

財政負担という点では、前者も後者も、負担を軽くする判断をしてくださっている。前者は、「若い人に使って」とおっしゃっていた。これは、医療経済学的には、生活の質の向上度合いと生存年数を乗じた指標(QALY)で判断されることと同義だ。
個々人を尊重し健康維持と疾病治療することは大前提だが、こういった経済的な観点で”効率化を図る”ことは、日本の財政上、避けられない状況になってきている。

■”効率化を図る”タブーへのチャレンジ
医者が経済合理性を持って、治療を止めれば、その分の収入は減る。薬の処方を減らせば、薬局も製薬メーカーも売上が落ち、処方箋を書かなければ、医師も収入が減る。
治療費が下がれば、懐にやさしいはずの高齢者は、1割負担で多少の金額の差は気にしていない。そのような状況では、効率化を図ることはタブーなのかもしれないが、誰かがチャレンジしなければならないのではないだろうか。

海外での事例になるが、EBMに、タイムリーな論文が載っていたので、紹介したい。

この論文によれば、予め定められたアルゴリズムで高齢者の投薬を中断させた群と介入しない群で、死亡率や急性期病院への入院率、薬剤費用等を比較し、中断させた群は良い結果を示したとのこと。様々なコホート研究等を紹介しているが、そのうちの一つに、ナーシングホームでSSRI(抗うつ薬の一種)を12ヶ月以上服用している人たちが、服薬内容のレビューにより、52%の人が休薬に成功したとのこと。

患者と医師だけでなく、薬剤師や家族など、多くの人が関わって決めていくべきだろう。
このような取り組み、日本では受け入れられるだろうか。この概念が取り入れられる際は、第一に、決して高齢者が生きにくい世の中にならないように、第二に、国を支える働く世代の負担が過度に大きくならないように、バランスの取れた制度、仕組みにしなければならない。
有意な議論をしていくためにも、上記のような論文は非常に参考になる。

2012/11/06

がん対策の指標評価

がん対策推進協議会を傍聴してきた。
これまで、議事録を読んだりすることはあったものの、直接会場まで足を運ぶことはなかったのだが、先日、門田先生から話を聞いた際、局所的な議論でなく、もっと大局的な議論をしなければいけない場だとおっしゃっていたので、ちょうど時間の都合もついたため、厚労省に行ってきた。

■がん対策の評価指標 アウトカム評価、患者満足度も
議論前半、がん対策の指標評価の討議はストラクチャー、プロセスだけでなく、アウトカムも評価しなければ・・・という教科書的な説明と、QOL、患者満足度といった場合によっては主観的な指標も研究班で検討していきたい、という話だった。

在宅ホスピスに長年取り組んでいる川越先生からは、助かるがん患者のQOLと、助かる見込みのないがん患者のQOLは、根本は一緒であっても別々に考えなければならないとの意見があった。指標は多くの視点に基づき、納得性、透明性、公平性が求められるだけに、このような意見は分かりやすい注意点であると思う。

ただ、研究班の担当者が繰り返していた「患者の体験を病院にフィードバックしていくことがまず必要である」という趣旨の発言は、心地良い言葉だが、具体的にどういった指標が提示されるのか、さっぱり分からなかった。なお、患者満足度などの主観的な指標を、施設横並びで公表するような乱暴なことはしないと言っていたので、突然、ショッキングなデータが公表されることはなさそうだ。データ・指標の公開は、建設的な議論を生む可能性も秘めているし、現場を混乱させる可能性も秘めている。先日、全がん協が公表したがん5年生存率もそうだが、読み手の能力が問われるような内容には、十分配慮が必要だ。

■相談支援センター、活性化が必須
後半、相談支援センターの議論は、事例紹介も含め、非常に良い話だが、何もがん対策推進協議会の場で、共有することでもなかろうに・・・。患者団体、医療関係者、行政など様々な意見・感想が聞け、貴重であったことは間違い無いが。

■小児がんの拠点整備、全国10ヶ所程度。地区ブロックで1~3ヶ所指定予定
個人的には、議題から外れるが、会の冒頭で小児がんの拠点病院整備、全国で10カ所程度、指定する話が興味深かった。患者団体の委員からの質問で、「拠点病院に集約されてしまうことで、患者の利便性、経済的負担が増す懸念があることについて、公的補助・支援はないのか?」という趣旨の質問だったと思う。厚労省の担当者の回答はキレがイマイチだったが、結局のところ、全国どの施設でも医療の高い質を求めることは、国民にとって最適ではなく、ある程度の集約は必然的な流れであることを認識すべきであり、負担を強いることになる一部の患者・患者家族には、手厚いサポートが必要、ということなのではないだろうか。

小児であれば、ドナルド・マクドナルド・ハウスのような施設・団体が、その支援する方向性を具現化していると思う。この議論はがんに限らず、である。

良い医療を実現する・受けるには、場合によっては負担が求められる。その負担は誰がすべきなのか。色々考えさせられることが多い。

2012/11/05

活動量計 fitbit、パナソニック、オムロンの比較


左から、Panasonic EW-NK63、 fitbit ultra、 オムロン HJA-311

3つの機能的な違いはほとんどない。歩数がわかる、カロリーがわかる、といったレベルでは、ほとんど一緒。ただ、買って使ってみないと分からない違いがあるため、何かしら参考になれば・・・。


Panasonic EW-NK63 fitbit ultra オムロン HJA-311
機能
睡眠計測機能があり、他機種に比べ、優位
ハード(大きさ、軽さ) ×
クリップが大きく、ポケットには適さない
データ転送
おさいふケータイ・NFC以外の手段なし
機器の設定 ×
本体の少ないボタンで設定する必要あり

PCでの初期設定で完了


PCでの初期設定で完了
ユーザー登録 ×
パナソニックのユーザー登録とアプリの登録がそれぞれ必要。住所等の個人情報が要求される。規約への同意を何回も求められる。
オフィシャルアプリ ×
日本では携帯アプリが使えない

有料版のweb機能も含めた評価
価格
(自分の購入価格)

3,387円
×
9,200円

2,950円
価格
(amazon.co.jp)

4,400円
×
8,150円

2,980円
総合評価 ×

今回評価しなかった、オフィシャルなもの以外のアプリケーションや、体重計との連携については、また、機会があれば。

活動量計を身につけていると、動かなかった日は少しだけ反省するし、たくさん動いた日は少しだけうれしくなる。単純だが、健康増進に役立っている気がする。
自分の身体のことを記録していくことは、健康に対する意識を高めることに有用である。いかに継続していくかという観点で、楽で、楽しいものを選ぶことは、案外、重要なことなのかもしれない。

以下、それぞれの評価事由のメモ(amazonなどへのリンクもあります)、参考までに。