2014/08/31

国民1人あたり医療費100ドルの追加で延びる寿命とは



今回のNewsweek、特集のテーマがビッグデータだったこともあり、読んでみたのだが、その中でも面白かったのが、表題の「国民1人あたり医療費を100ドル追加したことで延びる平均寿命」の話だった。

アメリカが0.5ヶ月に対し、ドイツは4ヶ月延びるという。

アメリカが極端に短いのは、医療費が高いアメリカの実情を表しているのか、すでに医療の限界に達しているのか。この記事ではアメリカ・ドイツの2カ国比較だったが、おそらく途上国が比較対象にあげられていれば、100ドルで、もっと長い期間の寿命延長が得られるに違いない。

しかし、この記事は、国民1人あたりの平均で100ドル上乗せする仮定であり、寿命を0.5ヶ月延ばすのに誰でも100ドルで十分という話ではない。日本でもそうだが、統計上0.5ヶ月寿命を延ばす抗がん剤が100ドルで手に入ることはほとんどない。(現状、日本では薬価がそういった価値で決まるものではないため)

内容が気になった方は、ぜひ、Newsweekを読んでもらいたい。

2014/08/30

職員の健康増進、フィットネスクラブの利用券を配るだけでは十分でない

2014年9月号のハーバード・ビジネス・レビュー(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー)。「健康増進プログラムの知られざる投資効果」というタイトルの記事がある。

MDアンダーソンなどでの取り組みに基づき、効果的な健康増進プログラムには、重要な6つの柱がある、とのこと。

6つの柱
1.各層のリーダーによる関与
2.組織文化との整合性
3.範囲、妥当性、水準
4.利用のしやすさ
5.協力関係
6.コミュニケーション

医療費の低減に効果があったと言及している点は、アメリカでは企業の業績と医療保険が密接にリンクしているだけに、非常に重要なポイントだろう。日本ではなかなか医療費の低減に効果があったと言えるような取り組みは少ないが、こういった記事は参考になる点が多い。例えば、「専門家による指導は、その費用1ドルあたり、医療費節減額が6ドルに上った」等、具体的な数字も出ている。

記事を読んでいて昔のことを少し思い出した。シェブロンのヒューストンの事業所では、毎日午後2時半に専門のトレーナーがオフィスに来て、10分間のストレッチを指導してくれるとのこと。社会人最初の会社のシカゴの研修所では、確かに、毎日定時にこういう専門のトレーナーが来ていたことを思い出した。また、その研修所にはフィットネスクラブも併設されてたし、テニスコートもゴルフ場もあった。今思えば、良い環境だったのかもしれない(当時はそれどころではなく、英語に四苦八苦するか、酒を飲むか、だったが)
余談だが、原文なら、下記検索結果の中から探すと全文読めそうだ。
harvard business review what the hard return on employee wellness programs - Google 検索

2014/08/29

医療の目的は治すことではない

医療の目的は『治すこと』ではなく、あくまでも『治すこと』は手段である。
医療の目的は『人生の、生活の支援』である。

~「治す医療から、支える医療へ」の本より抜粋・加筆~

医療者は治す医療から、支える医療に転換を図ろうとしている。一方で、患者側はそれを十分理解できないでいるのかもしれない。

なかなか在宅医療などの高齢者医療を理解する機会はないのかもしれない。だからこそ、この本は非常に勉強になる。ホームホスピス宮崎の「ケアする人のためのスキルアップ講座2011」の講演から書き起こされたもので、4人の先生の講演が収められている。

また、秋山先生の話に出てくるマギーズセンターについては、以下の「メディカルタウンの再生力」という本に詳しく書かれている。


ちなみに、太田先生の話は朝日新聞の記事にエッセンスがまとまっているので、こちらでも良いかもしれない。
(インタビュー)在宅医療で見えたもの 太田秀樹さん:朝日新聞デジタル

2014/08/28

健康なら1万円、国保守る奇策(日経新聞)

今朝の日経新聞、岡山県総社市のメタボ健診を受け、かつ医師にかからなかった人に1万円支給のことが取り上げられている。

医療費どう抑える 健康なら「1万円」支給  :日本経済新聞

持病などですでに定期的に受診している人などからは、不公平といった批判もあるだろうが、それ以上に健康増進に対する意識が向上すれば、効果があったと言えるだろう。民間の医療保険では、このような制度がある(下記、メットライフ生命には「健康お祝い金」と称し、還元する制度がある。これだけでなく、他社にも類似制度あり)。

やさしくそなえる医療保険 [総合保障]のメットライフ生命

今まで、国民皆保険制度のもと、全員平等であることが原則だった。


かつて、麻生さんの発言が問題となったが、発言の本質的な指摘はごもっともだ。平等を維持するために、加入者には、制度を維持する努力が求められるだろう。

日経の記事の最後、COMLの山口理事長は、「患者が賢く病院を利用し、無駄な受診や投薬をなくせば、医療費はもっと減らせる」と指摘している。

ここでいう、医療費を減らすは、

医療費を減らす ≠ 医療業界を縮小させる

無駄な医療費を減らす = 必要な人に十分な医療費を使う 

である。十分な医療を受けたいのなら、無駄な医療費を減らすか、負担を増やすか、のどちらかだ。

2014/08/27

医療費の地域差、どう解消したいか。ただ下げれば良いのではない

24年度の医療費の地域差分析の資料が公開された。だからといって、驚くことは特にない。例年と同じ内容だ(まだ前半しか読んでいないせいかもしれないが)。

医療費の地域差分析 |厚生労働省

マップで見ても、岩手が低く、高知・福岡が高いのは、同じことで、簡単に変わらないことが分かる。

後期高齢者医療制度の医療費マップ


これは、医療施設や医療者などの配置に依存した構造的な差を表していると考えるべきか、病気のなりやすさなどのソフト的な差を表していると考えるべきか。

医療関係者なら、間違いなく、前者の要素が大きいと分かっている。それだけに解消していくことは一筋縄ではいかない。また、解消することが良いのかも分からない(費用がかかっていないことは、何か犠牲になっている可能性がある)。実際、岩手県は脳血管系疾患での死亡率が全国1位である。このような情報と一緒に見ないと、日本全体が間違った方向に行ってしまう。

2014/08/26

医者にちゃんと質問しよう

アメリカ政府の機関、AHRQのサイトにある患者を巻き込む取り組み。

Patient Involvement | Agency for Healthcare Research & Quality (AHRQ)

医者とのコミュニケーションを深める重要性について説明している。その中で出てきた『知っておくべき10の質問』



  • What is the test for? (何の検査ですか?)
  • How many times have you done this procedure? (何回この処置をするの?)
  • When will I get the results? (結果が分かるのはいつですか?)
  • Why do I need this treatment? (なぜこの処置が必要なの?)
  • Are there any alternatives? (他の方法はありますか?)
  • What are the possible complications? (何か合併症の可能性はありますか?)
  • Which hospital is best for my needs? (私にはどの病院がいいですか?)
  • How do you spell the name of that drug? (薬のスペルをおしえてください)
  • Are there any side effects? (副作用はありますか?)
  • Will this medicine interact with medicines that I'm already taking? (すでに飲んでいる薬とこの薬は相互作用がありますか?)

  • 日本語はこちらで付け足したので怪しい和訳だが、そこはご容赦願いたい。

    医者に聞くのはなかなか難しい。人によっては、医者に限らず、薬剤師も看護師も似たようなものかもしれない。

    そんな中でコミュニケーションスキルに優れた医療者がいることも事実だが、そればかりを期待していてはダメだ。患者もスキルを磨くしかない。

    話は変わるが、寿司屋のカウンターで大将と話しながら美味いものを食べたいと思っていたところで、回転寿司でそのスキルを磨くことは難しい。しかし、イメージトレーニングはできる。「今日のおススメは何ですか?」「この時期に美味しいものは何ですか?」「さっきのと似た魚が食べたいです」といった、うまいコミュニケーションというのがあるに違いない(カウンター経験がわずかゆえ、想像の域を出ない)。

    上記の10の質問は、寿司屋のイメージトレーニングみたいなものかもしれない。

    2014/08/25

    病院がネットワーク化することのメリット

    昨年、アメリカのThedaCare(シーダケア)がMayo Clinicのネットワックに入ったことをブログで書いた。
    質を高めるための地域を超えた連携 - 医療、福祉に貢献するために

    先日、ネットワークに入ってから1年が経過したらしく、その成果の動画がアップされていた。

       

    この動画によると、患者の追加費用なしで、1年間で200件のeConsultが実施され、メイヨークリニックの専門家に相談でき、なおかつ、86%の患者はそのまま地元で治療を継続できたとのこと。

    それなりに力のある医療機関同士が手を結ぶことは、患者にとって大きな魅力になる可能性があるだろう。最初から金銭的なメリット・デメリットを中心に判断するのではなく、患者中心でのメリット・デメリットを考えることが重要ではないだろうか。

    正直、日本の医療機関は診療報酬をベースに考えがちだ。そのせいで柔軟な発想が妨げられているのだとしたら、非常にもったいないことである。

    2014/08/23

    医療者の使っている言葉は、想像以上に馴染みのないものばかり

    以前、『病院の言葉を分かりやすく―工夫の提案 国立国語研究所「病院の言葉」委員会』という本を読んだ。本を読む前から、医療者の使う難しい言葉が、一般人に理解されていないことは予想していた。しかし、読んでみると、比較的理解してもらえている言葉であっても、そうでないことが多いとのことだ。



    そこで、平易な言葉で説明を補ってあげるべき、というのがこの本の主旨だ。わざわざ本を読むのが面倒であれば、国立国語研究所のウェブサイトを見るだけでも良いだろう。

    「病院の言葉」を分かりやすくする提案

    2014/08/22

    横浜市民(40歳以上限定)、急げ!

    歩数計を配るらしい(730円程度の着払い送料のみ負担)。

    歩いて健康維持 歩数計配布へ - NHK 首都圏 NEWS WEB

    歩くことは大事だ。横浜市は凸版印刷とオムロンヘルスケアと手を組んで、歩数計を配るらしい。しかも、歩いた記録をサーバに集め、一定以上あるいた人にはポイントを与える。そのポイントで抽選し、商品券がもらえるらしい。

    市民は健康になり、商店街は活性化し、行政は医療費が抑えられる。いいことばかりの三方良しであって欲しい。

    歩数計をもらって、オークションで売って、商店街の歩数計は売れなくなり、市の財政も厳しくなる、なんていう最悪の事態だけは避けたい。

    横浜市はこのイベントのためにパイロット事業もしていたようだが、なかなか面白い結果が得られたようだ。取り組み前後で、「参加者の血圧が下がった」「BMIが下がった」等の結果も見られる。真面目に歩けば、健康につながるということだろう。

    暑い時期は歩くのが億劫だ・・・という人は、パイロット事業の気温と歩数の分析、なんてものを眺めてみるのも面白いだろう。色々と考えているものだ。

    ちなみに表題で「急げ!」と言ったものの、記者発表資料によると、9月から事前参加申し込みが始まるようだ。慌てなくても十分間に合いそうだ。

    記者発表資料(よこはまウォーキングポイント事業)

    2014/08/21

    南天のど飴づくりが体験できるらしい

    夏休みも後半。自分が子供の頃は、9月に入ってからが夏休みの宿題に本気を出すタイプだったので、この時期はまだまだ余裕なことが多かった。

    でも、自由研究だけは好きで、大抵7月から取り組んでいた。自分のように好きな人がいる一方で、嫌いな人も多いのがこの自由研究。なかなかネタが思いつかないというのが最もポピュラーな悩みだろう。

    先日、夏休みのイベントを調べていたら、こんなのがあった。

    イベント情報 | 大阪家庭薬協会

    なんと、薬膳ドリンクと南天のど飴(薬効成分は抜き)づくりが体験できるという。何だか楽しそうなイベントだ。しかも、しっかり薬のことを学べるとのこと。

    8月23日に、もう一回開催するらしい。ただ事前申込制で直前ゆえ、さすがに厳しいかもしれない。


    南天のど飴の添付文書はこちら
     ⇒http://www.tokiwayakuhin.com/download/J0601012310_05_A.pdf


    南天のど飴 -つらいせき、のどの痛みに効く-|常盤薬品工業

    2014/08/20

    小児がん拠点病院が充実させる長期滞在施設とチャイルド・ライフ・スペシャリスト

    先日、7月の小児がん拠点病院の指定に関する検討会の議事録が公開された。
    このブログで何度も話題にしている長期滞在施設(マクドナルドハウスのような施設)は、小児がんのような医療の集約化をはかる上で不可欠な存在だ。


    また、チャイルド・ライフ・スペシャリストについても多くの議論がなされている様子が伝わってくる。また拠点の指定により、その人員を手厚くしようとする動きも分かる。


    このような制度で人員配置の後押しがなされることは良いのではないだろうか。その役割は非常に価値があるだけに、このような拠点病院が核となり、周辺病院の人材育成などに波及するとさらに良いように思う。

    2014/08/19

    拠点病院に指定されたかったら、二次医療圏を細切れにしてしまえ!

    がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会審議会議事録 |厚生労働省

    拠点病院に指定されるか否かは、その地域におけるがん診療の拠点としての役割や、貢献度合いで評価すべきだろう。

    上記の議事録が公開されたので読んでみると、非常に興味深い。

    岩手県立釜石病院は、人口4万8千人の二次医療圏のがん診療における中核とのこと。人口が4万8千人であっても、空白医療圏とならないように、拠点病院を整備する。この大義は分からなくもないが、その後の議論で登場する栃木県の足利赤十字病院の話を読むと分からなくなってくる。

    人口30万人の栃木県両毛医療圏。足利市と佐野市の間では、相互の患者移動がなく、佐野厚生と足利赤十字がそれぞれ中核として医療を提供していることが読み取れる。

    以下、議事録から引用
    先ほどの両毛圏域でございますが、この圏域からは患者の外への流出がほとんどございません。そして、大部分の診療は現在指定されています佐野厚生病院と新規で出させていただきました足利日赤が賄っております。そして、両市の市民ですが、ほとんど市の境界を越えずに自分の町の病院に通っております。これは歴史的な経緯がありますが、佐野厚生でも35.8%、足利日赤が49.8%と、両毛圏域においてはもはや拠点病院たる施設がどちらか選べる状況にはございません。また、拠点病院が1つでございますと、その病院が格上と誤解されてもおかしくなく、県民にとりましても、また連携をする医療機関にとりましてもメリットにはなっていないのではないかと考えております。
    議事録引用以上

    二次医療圏内に2つ以上の拠点病院を設置するのはおかしい、という原則を守り、足利赤十字は指定されなかった。

    さらには、このあとの議論で東京の話が続くのだが、「東京は特別だよね~」という話で二次医療圏に複数の指定を認めていくのだ。

    もう何が何だか分からない。足利赤十字を指定したいのであれば、テクニック的な観点で、両毛東医療圏、両毛西医療圏と二次医療圏を分けるべきだろう。

    拠点病院になることで、がん診療の質が向上するのであれば、患者としては歓迎したい。ただ、その議論の中身は、あまりに患者の期待とかけ離れていないだろうか。

    2014/08/18

    スマホ対応率 15.4%

    先日話題にした病院ホームページのスマホ対応状況。手始めに東京都のDPC病院Ⅱ群13病院を調べてみた。その結果、13病院中、2病院がスマホ対応済み(2014年8月15日時点)。

    都立駒込病院

    NTT東日本関東病院
    病院のホームページがスマートフォン対応しているべきか否かは議論の余地がある。そもそもスマートフォンでホームページを見る人は誰なのか。紹介患者は何を知りたいか。見舞客は何を知りたいか。突き詰めていくとパソコン用のサイトと同一でいいや、となるかもしれないし、変えるべき、となるかもしれない。

    また、何歳くらいの人をターゲットにしているのだろうか。ご年配の人に小さな字は厳しい。上記2病院のサイトはかなり親切にできている。実はこういった配慮はクリニックの方が充実している。しかし、病院とて配慮しなくていい理由などどこにもない。おそらく、どこの病院でも多かれ少なかれ配慮は必要だろう。

    余談だが、NTT東日本関東病院のスマホサイト。電話番号の表記は小さかった。NTTなのだから、がんがん電話させるようにしても良いのでは?(受けるのが大変か・・・)

    2014/08/17

    積極的に取り組む市民講座

    一昨日、facebookで紹介した、四国⇒熊本(ご指摘ありがとうございます!)の病院の事例。
    年間72回という多さはもちろん、メニューの充実ぶり、多職種が参加している点など、目を見張るものが多い。
    このような話では、佐久の若月先生の話が参考になるだろう。昨今話題の「地域包括ケア」という概念において、改めて見直される話なのではないだろうか。


    この病院のメニュー、お時間があれば、一度ご覧頂きたい。

    2014/08/16

    何も疑問を持たず見過ごしてしまったら

    地面から50cmくらい浮き上がった自販機
    目線のところがお金入れ(都内・銀座周辺) 
    壁に埋め込まれた自動販売機。都内でも地価が高い銀座周辺ゆえの致し方ない設置方法なのだろうか。地面から50cmくらい高いところに置いてある。もしかしたら、以前は踏み台のようなものがあったのかもしれない。いずれにせよ、すごい高い。コインを入れるところが目線くらい。一番上のドリンクのボタンは、2mくらいの高さだろう。身長165cmの自分がギリギリ背伸びをしなくて済むくらいの高さだ。

    これを設置する人は何も疑問を感じなかったのだろうか。いや、薄々おかしいと気づいていたのかもしれない。でも、依頼されたことだから・・・とそのまま作業したのかもしれない。
    また、設置を依頼した人も、こうするしかなかったという苦肉の策なのかもしれないし、踏み台を撤去せざるを得ない状況にあとから事情が変わってしまったのかもしれない。

    過程はどうであれ、今はおかしい。





    通常のタイプではなく、取り出し口もボタンも
    低い位置にあるタイプすればよかったのでは?
    低い位置にコイン投入口などがあるタイプは、ユニバーサルデザインの自販機と呼ばれているらしい。

    何も疑問を持たずに見過ごしてしまっていたら、そのままになってしまうものであっても、もし疑問を持つようにこころがけていたら、もっと良くなるはずだ(自分の仕事も同じで、昨日も反省したばかり・・・)。

    サントリー食品インターナショナル(株) CSR サントリー

    2014/08/15

    脳卒中予防への提言

    資料請求した記憶はないのだけど、先日、こんな資料が届いた。

    脳卒中予防への提言(左:約20ページの冊子、右:ダイジェスト版)
    脳梗塞の中でも、重篤になりやすい心原性脳塞栓症がテーマだ。(おそらく、抗凝固療法の薬が様々出てきているから、製薬会社も何かしら取り組みたいのだろう)
    中身は非常に分かり易く書いてある(難しい部分はそれなりに説明を補っている)。同じ内容がインターネット上にあるようなので、ぜひご覧いただければと思う(下記参照)
    ちなみに、この提言の中で出てくる「脈の乱れが検知できる血圧計」。具体的には下のようなものだ。


    血圧計の話題は、以前も何度か触れている。


    また、脳梗塞では以下の様な話題もしている。参考になれば幸いだ。

    2014/08/14

    病院のホームページ、見やすいですか?

    現在、とある理由で、病院ホームページのスマートフォン・モバイル対応状況を調査してもらっている。すると、意外とスマホ対応している病院は少なく、2割にも満たないらしい。

    amazonのパソコン用画面

    amazonのスマホ用画面
    上のアマゾンの例では、スマホ向けの画面では、絶妙にコンテンツが調整されていて、おすすめが目立つところに来ている。一方、パソコン向けの画面では、セール品が並んでいる。おそらくだが、スマホで見る人に対し、セール画面は訴求力が低いため、ピンポイントでおすすめ品を表示しているのだろう。『データマイニング』と『感染症』とはいいところを突いてくる。

    医学書院/雑誌/JIM

    病院のホームページはどのようなコンテンツを表示すべきだろうか。

    医療関係者は、自分の病院のホームページを、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末から見てみると良い。意外な発見があるかもしれない。

    2014/08/13

    「他の患者の前で症状や薬の説明をされて嫌だった」「女性特有の病気なのに男性薬剤師に対応された」⇒嫌ならどうする?

    今日の日経MJにあった記事「薬剤師、患者と交流会」。興味深い内容。

    表題にしたのは、その記事にあった患者団体の参加者からの意見。こういった意見を聞き、今後、患者対応する際には、あらかじめ様々な思いを巡らせ、薬剤師が個々のニーズに応えようと努力することは不可欠だ。

    でも、実は無理もある。はじめて入った料理屋で「何かアレルギーやお嫌いな食べ物はございますか?」と聞いてくれる店があるからといって、世の中、全部が全部、そんな店ではない。吉野家では絶対に聞かれないだろう。サブウェイでは「コンタミネーション」に対するアラートが表示されている(以前のブログ記事 ⇒コンタミネーションの恐れがあります)。

    ではどうしたらいいか。

    かかりつけの店・担当者を作ることだ。料理屋の例で続けるが、お客さんのアレルギーや好き嫌い、前回食べた料理やお酒、一緒に来た仲間のこと、会話されていた内容。それらを覚えてくれていて、「今日はこちらがおすすめです。前回召し上がられた○○と似ているのですが、この季節ならではの一品で、きっと気に入っていただけると思います。ご一緒に飲まれるお酒は、前回もお飲みになられた○○も合いますし、△△も合うと思います」なんて言われたら、悪い気はしないだろう。

    こんな応対を期待するなら、1回きりの来店では無理だ。継続的に関係を構築するしかない(パーソナルデータの共有が進むと、いきなり初回から機微がわかるコミュニケーションができるかもしれない・・・という話はひとまず置いておく)。

    薬局における接客は吉野家に近いのか。それとも料亭なのか。不満を伝えることも含め、関係の構築ができそうか否か、患者が相手を見極め、行動することが求められている。

    一方、薬局側は、「相手を理解したい」ということがなければ、どんなに店内の内装をきれいにしたり、言葉遣い等の丁寧な応対をしたところで、患者は「吉野家みたい」という印象を少なからず持つことだろう。

    なので、表題の嫌ならどうする?の答えは、以下のように考えられないだろうか。

    「他の患者の前で症状や薬の説明をされて嫌だった」⇒他の患者の前で説明するような薬局を選んだ自分が悪い。そうでない(と知っているかかりつけ)薬局に行くべき。

    「女性特有の病気なのに男性薬剤師に対応された」⇒かかりつけの女性薬剤師を見つけるべき。薬剤師を選ばないことが悪い。

    別に薬局を選べないわけではない。自分が良いと思うところを探すべきだ。

    ※クリニックで「こちら、処方せんです。薬局で薬を処方してもらってください。お近くでは、このビルの向かい側に○○薬局さんがあります」なんて言われることがあるが、○○薬局に行く必要はまったくない。どこの薬局に行っても良い

    2014/08/12

    病院の統廃合は今後増えるのか

    インターネット上のニュースで見かけた横須賀共済病院の分院廃止、本院へ統合の記事。

    分院を完全統合へ | 横須賀 | タウンニュース

    このケースでは、本院・分院の関係があるので、おそらく地元住民や病院職員などの影響も最小限にとどめられるだろう。それでも記事を読むといかに「苦渋の決断」であったかが伝わってくる。

    おそらくこれから、こういった話は増えてくるだろう。

    今朝の日経に「医療費抑制、入院費にメス」という記事があった。

    医療費抑制、入院費にメス 地域格差、最大で2.1倍  :日本経済新聞

    メスを入れるというのは、個別の病院を攻撃するのではなく、診療報酬や医療法の改正によって、きつく縛り上げることだ。経営状態が厳しい病院は、より一層厳しくなる。その中でいくつかは統廃合という道を選択することになるだろう。

    地域格差については、療養病床との関係性が強い。この話は後日紹介したい。

    2014/08/11

    こどもの病院一日体験、本当の目的は?

    先日書いた記事で、健康な人も含めたコミュニケーションを活発化することがこれから重要だと述べた。

    先日のブログ⇒ 『参加』がキーワード 病院の新しいコミュニケーション - 医療、福祉に貢献するために


    『参加』というキーワード、夏休みは活発になる。病院では、看護師体験や医師体験の催しがたくさん企画される。

    検索事例⇒ Google検索 「病院+体験+一日」

    参加型のイベント。病院にとって、かなり負担がかかる。でも、参加した小中学生や高校生が、将来医療者を志すというような意義もあるが、何よりも病院職員のモチベーションが上がるということだろう。

    イベントは夏休みしかできないわけではない。まだ実施を考えたことがなかった医療機関でも遅くない。秋でも冬でもいつでもよい。検討してみてはいかがだろうか。、

    2014/08/10

    40人以上死んでいるのに、この広報は効果的なのか?

    政府が必死に脱法ドラッグを何とかしようとしているのは分かる。でも、40人以上が死んでいる。さらに大きな問題は、服用者が事件・事故を起こし、一般人が巻き込まれ死んでいることだ。


    先週、新しい広告を雑誌向けに出したらしい。

    合法といって売られている薬物の、本当の怖さを知っていますか?-雑誌広告:政府広報オンライン

    何だろう。「ダメ。ゼッタイ。」と同じくらい怖くない。

    薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ

    もっと具体的に、死んだ人の話を書いた方がいいのではないだろうか。タミフルのニュース報道が繰り返された結果、子どもに飲ませたら子どもから目を離さない習慣が定着したように、脱法ドラッグがいかに危ないかを切々と説くべきと思う。「死に至ることもあります」ではなく、子どもや友人を脱法ドラッグで亡くした人のコメントとか、より具体的な死に至る過程とか、訴えかける要素をもっと濃くできないだろうか。

    そもそも法のもとに取り締まれないことも問題だが、まずできることをする消費者庁の姿勢は素晴らしいと思う。それだけに内容がちょっと・・・。しかし、そう感じたのは自分だけかもしれないので、ぜひ皆様、ポスターをご覧ください(合法といって売られている薬物の、本当の怖さを知っていますか?-雑誌広告:政府広報オンライン

    2014/08/09

    『参加』がキーワード 病院の新しいコミュニケーション

    3月くらいにマーケティングの話を書いた。その際、詳細については説明していなかったのだが、中身について、簡単に整理した資料をアップした。


    一昨日の日経夕刊に「地域医療の今、知って守って、医療機関、住民向け講演会――適正な受診促す(医療)」という記事があった。その内容ともリンクするので、ぜひご覧いただければ幸いである。

    2014/08/08

    「とりあえず買収だ」が戦略として成り立つ調剤薬局

    昨日の日経夕刊の記事。

    調剤薬局、中小を争奪 薬剤師不足で大手が買収  :日本経済新聞

    調剤薬局の大手チェーンが買収に積極的という内容だ。

    中小調剤薬局の生き残りが容易ではないことを、以前、弊社のレポートでも書いている。

    節操ない規模拡大は、誰のためなのだろうか。患者のため、でも何でもなく、企業の営利のため、であるならば、悲しいことだ。

    しかし、調剤薬局大手チェーンの店舗をのぞくと、至れり尽くせりのサービスを提供しているところがあることも事実だ。これを重視する気持ちも分からなくはないが、本当に重要なのは、一般市民からは見えにくい本質的な薬剤師の能力だったりする。

    中小調剤薬局より、調剤薬局チェーンの方が薬剤師の能力が低いという証明はなされていない。それどころか、大手は教育に力を入れている。もしかしたら、大手に買収されることを喜ぶべきなのかもしれない。

    これは、まちの豆腐屋と豆腐工場に似ているのかもしれない。すると、まちの豆腐屋で頑張っているところを思い浮かべると、生き残る調剤薬局が想像できるのではないだろうか。


    弊社レポートにそのあたりのことを書いている。ぜひ、お読みいただきたい。
    ⇒ Our Reports | 株式会社メディチュア



    余談だが、WSJには病院統合の話が。
    Hospital Mergers in the New York Area Bring Cost Fears - WSJ

    2014/08/07

    通院していない人の情報を把握する

    先日、読んでいて気になった記事。

    記事の中に書かれていることで、下記の内容が興味深い。
    新しいテクノロジーに基づいたITのプラットフォームは、通院している人だけでなく、まだ病気にはかかっていない高齢者にも同時にソリューションを提供するものです。
    通院している人と通院していない人。実はさほど大きな違いはないのかもしれない。だが、日本の医療データでは、通院していない人のデータは存在しない。(「データがない」という状態が存在している)

    以前、病院における「顧客」の定義が、これから変わってくるのではないか、ということを書いた。

    このような通院していない人を把握しようとする動き。盛んになるに違いない。

    2014/08/04

    天寿をまっとうする医療・介護のあり方

    週末、親族が他界したため、東京と岩手を二往復した。

    大往生。ひ孫が7人も集まった。

    終末期の医療は、費用が掛かり過ぎることに対し、問題視がなされている。過剰な医療を抑制すべき、という批判に対し、医療機関とて収入になるので必要な医療は提供する。そして、「個人個人の意志を尊重する」という壁がオープンな議論を難しくしている。

    義祖父は生前から延命措置を拒否していた。病院で最期を迎えた。

    50年前だったら自宅だったのかもしれない。今は病院の割合が高いことはご存知のとおりだと思う。今、日本は病院から在宅へという流れを進めている。この流れを理解するには、「最期」の場所が変わることを考えなければならない。

    高齢者の最期については、下記の論文が非常に興味深い。

    死亡前12か月の高齢者の医療と介護(www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/19613909.pdf)

    経済性の観点から、医療と介護がどうあるべきか。このような議論には、一般市民も巻き込むべきだ。以前、『地域包括ケア』という言葉の認知度についてインターネット調査をしたことがある。認知度は3割に見たなかった(弊社調査結果、30歳以上を対象にインターネット上で調査)。まだまだ一般市民は最期の医療・介護のあり方について、受け身なのだろう。

    今後、大きな医療・介護のデザインを変えていくには、一般市民の受け身姿勢も変えなければならないだろう。

    余談だが、今朝の日経新聞。イギリスの医療について話が載っている。『レモネード処方』 初めて知った。これからの日本、こういった議論も必要だろう。

    2014/08/03

    NTTが光ファイバーの技術で医療に革新を

    NTTで医療の話題といえば、NTT東日本関東病院など、NTT関連の病院が思いつくくらいだ。8月1日の日経産業新聞に載っていた記事がこちら。

    「NTT、血液凝固測定3秒で、病院検査向け、光技術応用。」

    日経の記事によると、NTTは測定時間が60分の1に短縮できる血液凝固検査技術を開発したらしい。血漿と凝固開始剤を混ぜずに、細い管にそれぞれ流し、接触部分に光を当て反射率から凝固度合いが測定できるとのこと。元々の光ファイバーの反射を制御する技術の応用で実現したらしい。血漿と凝固剤を混ぜる現在の方式より短時間かつコスト削減も可能ということで、いいことずくめのようだ。

    NTT。医療とは縁がないと勝手に思っていたが、意外な技術応用があるものだ。