2015/04/30

「マチの健康ステーション」、タバコ販売はやめられない・・・(その2)

先日書いたコンビニでのタバコ販売の話題の続き。



消費期限が短い弁当や生鮮品と違い、タバコは廃棄処分等のリスクが低い。そのため、利益率はあまり高くないことが想定される。実際に調べてみるとそれほど高くなかった。

商品販売構成別 荒利益額推移 出所:ローソンIR資料を基に作成

タバコと同じ売上の加工食品(タバコを除く)や、タバコより売上の少ないファストフードの方が、3倍以上の利益になっている。利益への貢献という意味で、タバコの存在意義はやや薄い。

しかし、タバコを買いに来た人がついでに飲み物・食べ物を買っていく等、タバコが来店目的になっている人は少なからずいることを考えると、タバコの価値は単純に利益だけでは計れないのかもしれない。

利益額の商品構成内訳 出所:ローソンIR資料を基に作成

利益を1割減らしてでも、「マチの健康ステーション」をアピールした方がよいのではないだろうか。少なくとも、自分はその考え方に共感する。

次回、他コンビニチェーンの状況も参考までに紹介したい。(その3につづく)

Leap Motionが変える医療

Leap MotionというジェスチャーでPCなどを操作できるツールが、新しい医療を創ろうとしている。手術室から、バーチャルリアリティまで。

下のサイトには、課題と解決策がまとまっている。

5 Medical and Assistive Technologies Being Transformed
ゴールデンウィークに眺めるのにちょうどよいのではないだろうか。

2015/04/28

「マチの健康ステーション」、タバコ販売はやめられない・・・(その1)

ローソンが健康に力を入れていることは間違いない。それは下記資料を見ても明らかだ。


また、マチの健康ステーションと銘打って、様々な施策を展開している。

LAWSON マチの健康ステーション|ローソン
LAWSON マチの健康ステーション|ローソン ...

ブランパンなど、他コンビニチェーンとの差別化が図られている取り組みもある。

ただ、ふとローソンで買い物していて気になったことがある。健康を意識しつつも、タバコを売っているなぁ・・・と。しかも、ナチュラルローソンでも売っている。

そこで、IR資料を見てみた。

ローソン 商品販売構成別 売上高推移
出所: ローソンIR資料を基に作成

ファストフード: 米飯・麺・調理パン(サンドイッチ等)・デリカ・ファストフード 等
日配食品: ベーカリー・デザート・アイスクリーム・生鮮食品 等
加工食品: 飲料・酒類・タバコ・加工食品・菓子 等
非食品: 日用品・本・雑誌・ギフトカード 等
なんと、タバコの売上高はおにぎり・弁当・サンドイッチなどのファストフードを上回っているのだ。これでは、いくら健康を前面に押し出していたとしても、やめられないわけだ。

真の健康ステーションになるには、相当時間がかかるかもしれない。以前紹介したCVSのようにはいかないだろう。

CVS業績好調、タバコ販売打ち切りの影響は限定的⇒企業イメージ・企業価値を同時に向上させた - 医療、福祉に貢献するために

(その2に続く)

2015/04/27

風邪をひいたら、かぜ薬? 医者に行く? それとも・・・

医療情報の分析を生業としていると、風邪なんだろうなぁ・・・と思うデータを頻繁に見る(個別で見るというよりも、分析している中で、ざっくり見ることが多いが)。

風邪をひいたら、医者に行く人も少なからずいることの証拠だろう。また、ドラッグストアに行けば、様々な風邪薬が売っている。しかし、この風邪薬は、咳止めや消炎鎮痛剤が配合されているものであり、根本的に風邪を治す原因療法ではなく、症状を抑える対症療法である。

発熱はウイルスを排除する免疫力を高め、また、咳は痰を出すものであり、単純に症状を抑えることが良いとは限らないという専門家の指摘もある。(患者の力: 患者学で見つけた医療の新しい姿) 

上記の書籍でも紹介されているのが、下記のガイドラインだ。
風邪を引いたら、うがいやトローチが良い。昔からの方法だ。


このガイドラインから、2つの図を引用する。症状や患者背景から医者に行くか考えなさい、とまとめている。

自宅療法か病院に行くか 症状からの判断(出所:上記ガイドライン)

自宅療法か病院に行くか 患者背景からの判断(出所:上記ガイドライン)

高齢者や基礎疾患のある人が、無理をして自宅療養したために、重篤になっては困る。39度以上の高熱が続いているときも、さすがに素人判断は危ない。小児も判断が難しいところだ。そんなときは、下記の電話相談窓口だってある。

#8000 - 医療、福祉に貢献するために

限られた医療資源(人も財源も)、大事に使うためには、皆の努力が大事だ。

2015/04/25

リモートモニタリングはライザップに似ているか

『リモートモニタリングのパイロット事業は入院率の低下につながったが、プログラム終了後、何が起きたか?』というタイトルの記事。

Remote monitoring pilots may drop hospitalizations, but what happens when the program ends? | mobihealthnews
After 30 days, about half as many CCCP patients had been hospitalized as control patients (24 compared to 49). After 60 days, it was about two thirds as many (43 compared to 68). And at the end of the four-month program, CCCP patients had three-quarters as many readmissions (75 versus 97). And at the end of the four months, five CCCP patients had died compared to 12 control patients.  (モニタリングプログラム開始から30日後、入院者数は、49人に対し、コントロール群が24人と半分程度に抑えられた。60日後は68人に対し、43人と3分の2。4ヶ月後で97人に対し75人と4分の3に抑えられていた。4ヶ月後に亡くなっていた人数は、12人に対し、コントロール群は5人にとどまった。 )
Eight months after the program ended, however the CCCP group actually had more hospitalizations (though it still had a lower mortality rate). At the eight-month follow-up, there were 180 hospitalizations in the monitoring group compared to 151 in the control group.  (しかしながら、プログラム終了後8ヶ月で、コントロール群は入院者数が増えてしまった(死亡率は低いままであったが)。 8ヶ月のフォローアップで、コントロール群は180人が入院、比較対象群は151人であった。

上記の記事では、論文のディスカッションの内容にも言及し、プログラム終了後にモニタリング群の方が入院者数が増えてしまった原因として考えられることが書かれている。

  • プログラム参加群に比べ、対照群はハイリスクの患者が先に亡くなってしまっているため、その後の入院率が下がったのではないか
  • プログラム参加群は、プログラムの教育コンテンツのおかげで、病気の兆候に対し感度が上がった結果、より入院してしまったのではないか
  • 一方、リモートモニタリングのおかげで、受身的になってしまい、自己管理のスキルを身につけられなかったのではないか
いずれも興味深い考え方だが、自分はライザップを想像してしまった。ライザップは非常に厳しい管理により、凄まじいダイエット効果を約束しているらしいのだが、その後のリバウンドが・・・という話も聞く。何だか似ているような気がしなくもない。取り組みが良かったという報告はよく聞くが、その後のフォローアップで失敗したという話は多くない。それだけに貴重であり、得るものが多いのではないだろうか。


2015/04/24

市民が期待する医療の可視化

専門家の議論は非常に興味深く、参考になる。先月の希少がん医療の検討会の議事録。

第2回希少がん医療・支援のあり方に関する検討会(議事録)(2015年3月6日) |厚生労働省

議事録から、以下、一部引用。
○川井参考人 今のネットワークのお話ですけれども、例えば希少がんの中でユーイング肉腫という病気に関しては、ホームページを調べれば、あるいはいろいろなインターネットを調べれば正確な情報がある程度わかります。それでは、どの先生がユーイング肉腫をたくさん見ておられて、化学療法が得意なのかあるいは手術が得意なのか、そういうもっと具体的な情報というのは、希少がんを扱っている医療者が一番よく知っているわけです。
 正しいかどうかということにはある程度主観的なところが入ると思いますが、希少がんに対して一番正確に近い情報を知っているのは希少がんを担当している医療者だと思っていて、それはそれぞれの医療者のコミュニティーの中である程度ネットワークというのは既に以前から存在している。それをはっきりとした形にして、例えば加藤構成員が電話を受けたときに、そのネットワークを使って紹介できるようにしたいということを考えています。
引用、以上。

希少がんを扱っている医療者のコミュニティーに、いかに早くつなぐか。これ、情報が可視化されたら、大きな進展になるはずだ。(ただ、既存のレセプトやDPCのデータでは、その実現は難しく、がん登録の情報が有益になるだろう)

市民が知りたいのは、雑誌やテレビに取り上げられるような「神の手」ではなく、ネットワークがうまくできていることと、自分のかかりつけ医が、そのネットワークへうまくアクセスできていることではないだろうか。「つながっていること」から生まれる安心感こそ、市民が期待しているものだと思う。

2015/04/22

地域経済分析システム(RESAS~リーサス)の使い方は動画で学ぼう

昨日紹介したRESAS。facebookでは下の富士山頂の8月休日の人口推移グラフを載せた。
富士山頂の8月休日の人口推移
どのように使えばいいか。とりあえず触ってみればよいだろう。しかし、下記に使い方の紹介ビデオが掲載されている。これを見ない手はないだろう。

地域経済分析システム(RESAS)の使い方~その(3)観光マップ~ - 政府インターネットテレビ
地域経済分析システム(RESAS)の使い方~その(2)人口マップ~ - 政府インターネットテレビ

冒頭の富士山のグラフも、観光マップの説明動画を見れば、いとも簡単に作れるはずだ。


2015/7/12追記 産業マップは非公開っぽい(下記参照)
RESASの産業マップ、一般人には非公開(たぶん) - 医療、福祉に貢献するために

2015/04/20

煮物、漬け物、味噌汁の うす味家族は NO(脳)卒中

「煮物、漬け物、味噌汁の うす味家族は NO(脳)卒中」

先日、栃木の片田舎で見かけた脳卒中予防標語だ。なかなか良い標語だなぁと思い、写真を撮った。

(余談だが自分の実家周辺も含めた北関東は不審者・チカンの類の標語・看板が多いように思うのだが、気のせいだろうか?)

この手の標語、予防意識を高める上で重要なのだろうけど、なかなか浸透していないし、効果の程は疑問である。ただ、気になって調べてみたら、脳卒中週間というものがあり、毎年標語も募集しているらしい。

脳卒中週間 5/25-31

毎年の選ばれた標語を見てみると、なかなか良い作品ぞろいなのだけど、標語という制約もあり、あまり具体的でないものも多い。


平成14年度「脳卒中 倒れる前にまず予防」「逃すな前ぶれ、早めの受診」
平成15年度・16年度「脳卒中 予防は日々の暮らしから」
平成17年度「脳卒中予防を支える 家族の目」
平成18年度「1分が わける運命 脳卒中」
平成19年度「脳卒中 素早い受診が 早める復帰」
平成20年度「おかしいぞ 何か変だぞ すぐ受診」
平成21年度「脳卒中 健康過信を ねらいうち」
平成22年度「長くてつらいリハビリよりも ちょっと控える塩と酒」
平成23年度「脳卒中 決め手は予防と“もしや”の受診」
平成24年度「脳卒中 予防と予兆が 鍵握る」
平成25年度「‘呂律が回らず手がしびれ’これはともかく救急車」
平成26年度「すぐ受診 動悸は危険の ふれ太鼓」
平成27年度「様子見は とにもかくにも 命取り」
(上記サイトから引用)

さらには予防10ヶ条、克服10ヶ条なるものもあった。

 予防10ヶ条
1  手始めに 高血圧から 治しましょう
2  糖尿病 放っておいたら 悔い残る
3  不整脈 見つかり次第 すぐ受診
4  予防には タバコを止める 意志を持て
5  アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
6  高すぎる コレステロールも 見逃すな
7  お食事の 塩分・脂肪 控えめに
8  体力に 合った運動 続けよう
9  万病の 引き金になる 太りすぎ
10 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

克服10ヶ条 
1 生活習慣  : 自己管理 防ぐあなたの 脳卒中
2 学ぶ    : 知る学ぶ 再発防ぐ 道しるべ
3 服薬    : やめないで あなたを守る その薬
4 かかりつけ医: 迷ったら すぐに相談 かかりつけ
5 肺炎    : 侮るな 肺炎あなたの 命取り
6 リハビリテーション : リハビリの コツはコツコツ 根気よく
7 社会参加  : 社会との 絆忘れず 外に出て
8 後遺症   : 支えあい 克服しよう 後遺症
9 社会福祉制度: 一人じゃない 福祉制度の 活用を
10 再発時対応 : 再発か? 迷わずすぐに 救急車
(予防・克服いずれも、標語同様、日本脳卒中協会のサイトから引用)


以前紹介したイギリスのACT FASTのように、印象に残りやすく、具体的でかつ行動に移しやすくものを展開していくべきなのではないだろうか。(標語を募集する取り組み自体は、毎年盛り上がるイベントとして良いと思うが・・・)

ためしてガッテン脳梗塞特集で、イギリスNHSのAct F.A.S.T.を紹介 - 医療、福祉に貢献するために


ちなみに、脳卒中週間、なぜ5月末なのだろう?と思いホームページを読んでいたところ、以下のように書いてあった。
この時期を選んだ理由は、1)厚生省健康科学総合研究事業 脳梗塞急性期医療の実態に関する研究(主任研究者:山口武典) により、脳卒中の大部分を占める脳梗塞の発症が年間では春に少なく6‐8月から増加することが明らかになり、2)一般に「脳卒中は冬に多い」というイメー ジがあるので、実は脳卒中は夏から気をつけなくてはいけないという警告を与えるためには、その直前である5月の終わりが適切と思われるからです。
以前、統計データ(人口動態の死亡者数の月次推移)の分析から、脳血管疾患が増えるのは冬であるように記憶していたのだが、どうやら違う研究発表があるようだ(報告書を読むと発症数で大規模な施設調査を行っているようなので、信頼性は高そうだが、調査開始時期が5月から・・・というのがちょっと気になった)。個人的には、この報告が一番気になった。

2015/04/19

サウスダコタは人情の町なのか?

先日ブログに書いたメディケアの患者満足度調査による星付け、データが公開されていることはブログでも触れた。

そこで、州・地域別に、レーティングされた病院における★数の比率をグラフにしてみた。
州・地域別 Patient Survey Star Rating 病院数比率(5つ星の比率が高い順)
5つ星の比率が高いのはサウスダコタ、ウィスコンシン、メインの順。一方でニューヨーク州やオレゴン州には5つ星の病院がひとつもない。

もしかしたら、ニューヨークの住民が辛口で、サウスダコタは甘口なのかもしれない。人間が評価している以上、公平性などで完璧を求めるのは難しいだろう。ただ、ニューヨークでも4つ星の病院があるし、1つ星、2つ星の病院もある。1つ星の病院は、何らかの改善プレッシャーを感じているに違いない。これは、定量的な評価がなされていることの最大のメリットだろう。

情報の透明性が医療の質向上に貢献する。この議論は益々面白くなりそうだ。

2015/04/17

患者視点での医療の質調査が病院を変える

いよいよ来た。メディケアが患者満足度調査結果を公表し、5つ星病院、4つ星病院といった格付けがなされた。

http://www.medicare.gov/hospitalcompare/About/HCAHPS-Star-Ratings.html4月16日、アメリカの病院において、2006年から調査を続けている患者調査により、星付け制度の結...
Posted by 株式会社メディチュア(Meditur Co., Ltd.) on 2015年4月16日
facebookに書いたが、1つ星=悪い病院、ではなく、あくまでもひとつの視点・指標である。ただ、星で評価しているのは、一般市民目線で単純に比較できるようにする意味が大きい。

おそらく病院関係者には嫌がる人が少なからずいるだろう。だからといって公表しなければ、各病院が改善するきっかけにならない。また、公表したからこそ、制度を改善するきっかけにもなるだろう。

この動き、早かれ遅かれ、日本でも導入されるに違いない。要注目である。

2015/04/16

新年度企画「健康づくり支援薬局をテーマにした座談会」

今回は一風変わって、動画視聴後に座談会を実施した。

テーマとなった動画はこちら。


昨年度から「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進」という名目で、厚生労働省の予算がつき、各都道府県で事業が始まったものだ。Youtubeの動画は高知県での取り組みを紹介している。


さっそく座談会の様子をお伝えしよう。(ちなみに弊社代表はオブザーバー参加で、会話に口を挟んでいない)

3行でまとめると、

・意味なさそう
・薬剤師の価値が分からない
・予算を使うなら、お薬手帳の診療報酬を無料化(もしくは低減)しろ

といった感じで、非常に辛辣な意見が続いた。
あくまでも、薬局の業務や薬剤師の役割等を知らない一般人の会話であることを承知いただいた上でお読みいただきたい。また、そのまま書き起こしているので多少ひどい口調である点もお許しいただきたい。

以下、座談会
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「ピンバッジだって。お金の無駄じゃない??」

「予算があったから作ったのかな。ピンバッジが健康づくりに貢献するとは思えないね」

「オリンピックとかもそうだけど、ピンバッジ、ちょっとしたブームっぽくない?」

「確かに!」

「きっとさ、自治体向けにピンバッジの営業をしている業者とかがあるんだよ。『余った予算でお手軽に』みたいな感じでさ」

「最近、どこでも血圧測れるよね」

「薬局でわざわざ測らせようとすると、『血圧計を売ろうとしてるな?』とか思っちゃう」

「薬を売ろうとしてるんじゃない? サプリメントとか漢方薬とか、いろいろあるじゃない」

「商魂たくましい感じ? 相談に乗るってよりも(笑)」

「でもさぁ、医者の帰りに薬もらいに寄っているのに、そこで血圧なんて測るかな? しかも、そこで高めですねって言われても、微妙じゃない??」

「医者に診てもらってるだけにね、いまさら薬剤師がそれを言う?みたいな」

「かつての町の薬局の機能として気軽に相談に応じたいだって。そこに戻りたいんだね。」

「でも薬剤師って、何で6年も勉強してるんだろ? やってることって、私でもできそうじゃない?」

「何でだろうね。はいって薬渡してるだけだもんね。」

「すごい勉強してるんでしょ? あの相談(血圧の相談)だけなら、私にもできそう(笑)」

「できる、できる(笑)」

「毎日血圧測ってね、って言えばいいんだもんね。研修、受けなくても大丈夫かも」

「薬、もらわずに帰ったおじいさん、いたね。あの人は何で相談に来たんだろ??」

「テレビ取材のための仕込みかもよ(笑)」

「検診の案内とかだったら、広報誌とか、市役所とかで十分だしね。」

「気軽に相談している絵が欲しかったんだよ、きっと」

「健康づくり支援薬局で予算を使うくらいだったら、そのお金で、お薬手帳を持って行くと高くなる分を割り引いたりしてくれればいいのに。これ、いいアイデアじゃない?」

「ほんと、お薬手帳を持って行くと高くなるって意味分からないし。」

「ピンバッジより、その方が、健康に貢献するよ、きっと」

「間違いない!!」


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以上、座談会


座談会は、お薬手帳の話に脱線し、電子お薬手帳から、iPhoneアプリへと話題が移り、収拾がつかなくなった。

後日、これらの座談会の内容を整理した上で、どうあるべきか考えてみたい。

2015/04/13

愛用のfitbit forceはバンドが取れてしまい、今はMoto 360に

今朝の日経にウエアラブル端末の話題があった。
2015/4/13 日経朝刊 ウエアラブル端末、「買いたい」20%――健康管理に活用、半数が期待(サーベイ)
かなり長いことウエアラブル端末を着け続けている自分としても話題に登ることはうれしいのだが、記事の内容は冷ややかだ。買いたいと思わない回答が8割。買わない理由は「必要ない」が75%。端末を使うメリットが見えないということだろう。

先週、大手家電量販店に立ち寄ったら、ウエアラブル端末のコーナーが拡大されていた。今までは血圧計や体温計の隅にひっそりと置いていることが多かったのだが、それらの健康関連機器を押しのけ、目立つ位置にウエアラブル端末コーナーがしっかりと作られていた。特売のワゴンセールもあったり、注目を集めるには十分な感じだった。しかし手にとっているのは、同年代の男性が多かったように感じた。残念ながら、幅広い年代・性別にアピールとまではいかないようだ。

先月からスタッフがiPhone6でHealthcareの機能を使っている。わざわざウエアラブル端末を使わなくても歩数くらいなら十分だそうだ。また、年配の人には、昔ながらの歩数計が人気とも聞いた。ライトユーザーや年配者にウエアラブル端末が魅力的に映ることは当面難しいのかもしれない。

ちなみに、1年半くらい前に買ったfitbit forceは、昨年末、残念ながら本体部分とバンドの接着部分が取れてしまい使えなくなってしまった。今はAndroid WearのMoto360を使っている。

2015/04/10

黄色い矢印の先には好調な決算発表が待っていた

2月下旬に黄色い矢印の話題をした。

黄色い矢印の先には、信頼のおけるかかりつけ薬剤師が - 医療、福祉に貢献するために



7日に発表されたスギホールディングスの決算、増収増益で、調剤部門も追い風になったようだ。

スギHDが増収増益 調剤部門が好調 - ニュース - アピタル(医療・健康)

株価も日経平均と比較し、良いパフォーマンスを維持していると言えそうだ(下記参照)。
SUGI HOLDINGS Co.,LTD.(TYO:7649) Google Finance

投資先として調剤薬局を選ぶのは、現在医薬分業などの議論があり、先行きが不透明だ。しかし、あえて選ぶならば、消去法で考えると、患者・顧客目線で信頼できるところはどこか、ということだろう。

2015/04/09

病院統合のポジショントークが興味深い

地域医療構想や公立病院改革ガイドラインが相次いで出された。今後、病院の統廃合が活発になることを想定し、アメリカの最近の記事を読んでみたい。

先週のハーバードのブログ記事。

Everywhere, hospitals are merging — but why should you care? - Harvard Health Blog - Harvard Health Publications

統廃合が進むことで、効率的な医療や質の向上が期待できる反面、医療費・保険料のアップにつながりかねない、といったことが述べられてる。

日本では、診療報酬制度によって、医療の価格が定められているため、医療が寡占状態になったからといって、突然、医療費が高くなったり、保険料が上がるとは考えにくい。しかし、アメリカではこの懸念が大きくなっていることも事実のようだ。

上記のブログで引用しているNEJMの内容はこれだ。
Market-Based Solutions to Antitrust Threats — The Rejection of the Partners Settlement — NEJM
寡占状態を作り、医療グループが値段を上げれば、保険会社は保険料を上げざるを得ない。電気や水道などのインフラと同じで、この問題は適切に介入しなければ、住民が悲鳴をあげることになるだろう。

一方で、下の論理は非常に明快。日本で強く意識すべき内容はこちらだ。マウントサイナイのCEOのポジショントークであることは頭の片隅に置いておくべきだろう。

Kenneth L. Davis: Hospital Mergers Can Lower Costs and Improve Medical Care - WSJ
Hospital mergers can reduce unnecessary overlap in regional health-care offerings. For example, afte ...

この記事で述べている内容の一部を引用する。
Hospital mergers can reduce unnecessary overlap in regional health-care offerings. For example, after Mount Sinai Health System's merger with Continuum Health Partners last year, the health system ended up with two kidney transplant centers, located only a mile and a half apart. Combining the two centers increased efficiency and eliminated unnecessary costs, while ensuring all patients access to world-class transplantation care. It is far more beneficial for patients to have one center that performs many hundreds of specialty procedures each year rather than multiple facilities that each conducts only dozens. (病院統合により地域医療提供体制における不必要な重複を解消できる。例えば、昨年、マウントサイナイヘルスシステムとコンティニュアムヘルスパートナーズの統合後、1.5マイル離れたところにあった2つの腎移植センターは統合され、効率的になり、不必要なコストが削減できた。一方で、世界最高水準の移植治療へのアクセスはいずれの患者にも保証された。 数十件の施設が複数あることよりも、数百件の施設が1つある方が、患者にとってはるかに有益である)

日本は、国土が小さいのに、こういった議論が十分されてこなかった。冒頭の地域医療構想や公立病院改革ガイドラインで意識すべきなのは、このマウントサイナイのCEOの主張だろう。

『腎移植センター』を『心臓外科手術センター』『人工膝関節手術センター』『心カテセンター』『内視鏡治療センター』に置き換えて考えてみれば良い。日本は車で5分の距離に病院があるところが非常に多い。 病院統合の話、決して「アメリカ最高!」ではない。それぞれの立場や状況、背景を理解した上で、読み聞きすることで、日本に活かせるところが見えてくるはずだ。

2015/04/08

『医者の帰りに薬局に寄る』 このシステムが続く限り、医薬分業は非効率

医薬分業の議論が熱い。

門前薬局の乱立が問題視され、医薬分業の経済合理性までもが否定され、門内薬局はおろか、病院とは別経営母体の院内薬局まで可能性が議論され始めた。

議論の一例で、Yahoo!ニュースに掲載された産経新聞の記事。コメント欄が興味深い。(2016/09/09 Yahoo!ニュースの記事が参照できないため、産経新聞の記事へのリンク掲載に修正)


医薬分業「院内薬局」規制をめぐる議論 患者の利便性VS「分業」効果 (産経新聞)のコメント一覧 - Yahoo!ニュース

結論から言えば、薬局の現状に対する批判の嵐だ。これまで弊社でもレポートで、こういった問題点を指摘してきた。

なぜ、医薬分業が批判されているか。それは『医者の帰りに薬局に寄る』からだ。調剤薬局に行く多くの顧客は、病院・クリニックで処方せんをもらい、帰りに薬局に寄る。診断・治療を受けたのち、門前薬局に寄る。そこでは、流れ作業のように質問を受け、薬を受け取る。

本来であれば、かかりつけ薬局で、親身になって相談してもらうところだろうが、病院・クリニックごとの門前薬局で済ます患者が多いのが現状だ。


医薬分業が進まない根本的な原因は、医者にかかるのはフリーアクセスであり、回数の制限もないことが挙げられる。すべて医者に聞けば良いのだ。病院・クリニックでは「現在服用中の薬はありませんか?」と聞かれる。患者は、医者が何かしらチェックしてくれている、気にかけてくれている、と思うはずであり、「薬局は同じことを聞かれる面倒なところ」という認識である(これはYahoo!のコメントでも明らか)。

では、どうすれば、医薬分業が価値を発揮し、門内薬局等の議論が終息するか考えてみたい。


それは、医者にかかる回数を制限し、リフィル処方を認めることだ。リフィル処方になれば、医者の帰りに薬局に寄る、という行動パターンは少なくなる。そして、まずは薬剤師の元へ、という基本行動パターンが生まれる。

昨日のロサンゼルスタイムスの記事が興味深い。

Pharmacists try a more personal approach to treatment - LA Times
象徴的な一文を引用した。
Patients usually see their pharmacists once a month, while they see their primary-care doctors a few times a year. And pharmacist visits are typically longer, lasting up to an hour.  
患者は1ヶ月に1度薬剤師に会う一方で、かかりつけ医に診てもらうのは年数回だ。薬剤師の面会は通常1時間以上におよぶ(弊社意訳)
かかりつけ薬局の意味が日本とまったく違う。面薬局も、結局、「便利薬局」であり、医者の帰りに寄ることには変わりない。これでは、いつまで経っても、本質的な医薬分業は進まないかもしれない。

薬剤師がゲートキーパーになろうと思ったら、医師がやっている権限を薬剤師に移さなければならない。それがリフィル処方だ。いずれにせよ、『医者の帰りに寄る』ではなく、調剤薬局にまず行く行動パターンを作らなければ、なし崩し的に門内薬局の開設へ大きく動くことになるだろう。

そうなれば、門内に薬局があるのだから、実質競争のない環境であり、薬局が利益を上げることに対し、今まで以上に世間は非常に厳しい見方をするようになるだろう。

『医者の帰りに薬局に寄る』、この行動パターン、そろそろ考えなおすべきなのではないだろうか。


弊社レポートは下記からどうぞ
Our Reports | 株式会社メディチュア (「Vol.2 調剤薬局の課題と未来」のPDFマークをクリックするとダウンロード可能)

いっそ、医薬同業になるのなら・・・という仮定での話はこちら