2023/12/28

今年最後のCBnewsの記事は外国人材がテーマ

医療介護の外国人材確保に必要な2つの連携 - CBnewsマネジメント

今年最後のCBnewsの記事を掲載いただいた。今年も好き勝手に書かせてもらうだけでもありがたいのに、その上、至らない原稿をきれいに手直しくださり、CBnewsのみなさまに感謝。

今年最後の記事は外国人材の件。社内ではかなり前からデータを準備していたものの、改定のテーマなどを優先したため、劣後していた。

今回も看護必要度で書こうか迷ったのだが、12月22日に国立社会保障・人口問題研究所の推計人口の最新版が出てきたので、外国人材の内容にした。主旨は、最後の段落に書いた。

また、週刊東洋経済の12/2号がおすすめ。看護師や介護の記事もあり、色々理解が深まる。

週刊東洋経済 2023年12/2特大号(外国人材が来ない!)[雑誌] | 週刊東洋経済編集部 |本 | 通販 | Amazon

2023/12/14

身長が足らず新弟子検査に受からない筆者は、頭にシリコンを入れるべきか悩む

データ数が少ないと複雑性係数は高くなる、それ当たり前! - CBnewsマネジメント

DPCの機能評価係数Ⅱ。ブラックボックスだった計算方法が明らかになってきたことは前向きに評価する。一方で、不適切な計算方法により、不当に低いなどの実害も生じていたわけで(不当に高いのは、それ以外の医療機関の害に)、計算方法を改めますと言われても、もやっと感が残る。

ただし、データ数と複雑性係数の関係、退出ルールの議論は看過できない。中医協に示された資料でうまく説明されたら、納得してしまうのも分からなくはない(そのくらい、今年の中医協の資料は論理構成がしっかりしており、内容が充実している)。


そもそも退出ルールの議論は、問題視すべき病院像を明確にすべきである。

問題視すべきは、ほぼ後方病床(実質慢性期病床)のようなところが、わずかなDPC病床と後方病床のケアミックスにし、他院から慢性期病床への転院患者を一旦DPC病床で受け、短期間で慢性期病床に移すケース。医療資源投入はあまり必要ない(低コスト高単価)、在院日数も短い(高い効率性係数)。看護必要度はB項目で大丈夫。あきらかに急性期病床でないところ。

わかりやすい指標である「データ数」を用いた退出ルールにより、確かに、このわずかなDPC病床数の実質慢性期病床のようなところは退出させることができるだろう。しかし、手術患者や救急搬送患者が多く、しっかり医療資源投入を行っている中小病院までもが、退出ルールにひっかかってしまう懸念がある。

例えるならば、大相撲の力士の新弟子検査みたいなものだ。相撲の実力が十分あるのに、身長だけで落とされる。相撲の取り組みにおいて、身長が安全上の問題につながるなどの理由があれば仕方ないが、そういった話は聞いたことがない。なので、身長の基準は徐々に緩くなり、今は中学卒業時点で165cm以上らしい。しかも、身長が満たなくても、次のような記載がある。

検査時、体格基準に満たない者は、新弟子第二検査を受験し、その運動能力が十分であることを認められた場合、合格となる。 出所:力士になるには - 日本相撲協会公式サイト

実際、身長が低くても、関取への昇進や活躍している力士もいるらしい※ので、実力さえあれば身長の基準は要らないのだろう。 新弟子検査 - Wikipedia

では、退出ルールはどうしたらいいのか。医療資源投入量で判断するのがいいのではないだろうか。もし新弟子検査を参考にするのなら、データ数の基準に満たないところを呼び出して、「実力があるか否か」見極めるヒアリングなどを行うのも一案である。

冒頭のCBnewsに掲載いただいた記事には、新弟子検査は出てこない。しかもややマニアックのシミュレーションなど、個人的な趣味の追求になってしまったので、今、読み返してみても世間受けが良いとは思えないのだが・・・、ぜひ!

2023/12/12

12月10日のセミナー、ご参加ありがとうございました。次回2月は戦術にフォーカス!

先日は日経ヘルスケア主催のセミナー、2024年度診療報酬改定のゆくえhttps://www.nikkeibp.co.jp/seminar/atcl/med/231210/)に、大変多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

この1ヶ月くらい構成に悩み続けておりました。無駄なところを削り、中医協の議論に応じて付け加えを繰り返し・・・。当日も時間通りの進行ができるか、内容で過不足がないか、不安がつきなかったですが、限られた時間の中で、今持てるものはすべて盛り込みました。

至らぬ点も多々ございましたが、その多くはMMオフィス工藤氏に助けていただきました。講師を努めている自分も(それで良いのか分かりませんが)多くの学びがありました。


日経ヘルスケアでのセミナー、次回2月に予定しております。次回はシミュレーションなどに重点を置き、今回よりもかなり具体性をアップすることで、「戦略」よりも「戦術」にフォーカスするようなイメージで準備を進めてまいります。今回のセミナーに懲りず、ぜひ2月の回もご参加ご検討ください。

速報! 2024年度診療報酬改定https://www.nikkeibp.co.jp/seminar/atcl/med/240218/


2023/11/17

物価変動に弱い診療報酬制度を何とかできないか

建築費の高騰が厳しい。この1年ほどのニュースからいくつかピックアップした。

資材価格の急激な高騰や、関西地区の大型事業の並行実施などが要因とみられ、次回の入札に向けた工事費は当初想定額の約1・5倍に値上がりする見込みだ。市は財源の確保に苦慮しており、開院は当初より約10カ月遅れて2026年8月ごろを目指すとした。伊丹の新病院建設費、当初比5割増の448億円に急騰見込み 2度の入札不調で資材高騰、関西建設ラッシュも要因に | 阪神 | 神戸新聞NEXT

資材価格の高騰などの影響で、1回目の入札は不調となっていて、建設や医療機器の整備などを含め総事業費は、当初の計画よりおよそ1.4倍に膨らみ、560億円となっています。 西宮市に建設する新県立病院の起工式 4か月遅れで着工へ|NHK 兵庫県のニュース


物価高騰などにより、基本設計に基づく新病院の整備費は約389億円となり、基本計画時の約279億円から約110億円(39%)増加する見込みであることが報告された。新病院「北部医療センター」、整備費が110億円増 建築単価の高騰や医療機器の積み上げで - 琉球新報デジタル

 

滋賀県野洲市は、市総合体育館横に整備する新市民病院の工事費が、資材価格や人件費などの高騰で22億6300万円(24・5%)増え、115億円となる見通しを明らかにした。建設費22億円余りアップ 滋賀県野洲市の新病院 [滋賀県]:朝日新聞デジタル


一部事務組合下北医療センター(管理者・山本知也むつ市長)が同市に整備するむつ総合病院新病棟について、山本市長は20日、市役所で記者会見を開き、実施設計を踏まえた整備計画を発表した。昨年7月に公表した基本設計段階から総事業費が約73億円増の約269億円となったことから、さらなる財政支援を県に求める考えを示した。むつ病院新病棟整備計画公表 事業費73億円増|行政・政治・選挙,福祉・医療|青森ニュース|Web東奥


診療報酬や介護報酬の制度は、このような急激な物価変動などに脆弱である。さまざまな変動に対し、どこかが損を被る(当然、逆に益が出ることも)。病院が直接的に被るケースもあれば、食材費高騰は委託会社にもそのしわ寄せがいく。為替変動により海外から薬剤や医療資材を輸入するケースでは卸などがしわ寄せを被る。建築費高騰も、為替変動の影響を受けていて、資材価格高騰などが要因である。

そこで、この建築費高騰に関連したデータを整理し、制度としてどうあるべきか、ということをCBnewsに書いたので、よろしければどうぞ。

建築費高騰下の投資計画の難しさ - CBnewsマネジメント


2023/11/16

セミナーのご案内(12/10 日経ヘルスケアセミナー)

ご都合があえば、ぜひ! 

以下、会社のウェブサイトにも書いたものですが、ご案内です。

12月10日、日経ヘルスケアセミナーのご案内 | 株式会社メディチュア

12月10日、日経ヘルスケアセミナーのご案内

2023年12月10日に、日経ヘルスケア様主催で、診療報酬改定に向けた戦略を練るセミナーで講師を務めさせていただくことになりました。前回改定の影響や中医協の議論について独自のデータ分析を交えながら戦略を練ります。その戦略をMMオフィス工藤氏にぶつけ、妥当かどうか、見落としている点はないか、さまざまなご意見をいただく構成です。


また、戦略を考える上で、工藤氏の日経ヘルスケアの過去の連載内容などを取り上げながら、なぜ工藤氏がそのような発想に至ったのか、思考方法を存分に引き出したい所存です。まだ改定の全貌は明らかではないタイミングですが、今のうちにその思考方法などを理解することで、次回改定への万全な備えにしていただくことを目指します。


すでに多くの方にお申し込みいただいていると伺っており、ありがとうございます。まだ申し込み期日まで余裕がございますので、もしご都合があえば、ぜひご検討ください。


2024年度診療報酬改定のゆくえ https://www.nikkeibp.co.jp/seminar/atcl/med/231210/


2023/11/03

嚥下機能評価が連携のカギに

先駆的な病院から学べば学ぶほど、確信に変わる。

財源が厳しい現状において、団塊世代がよい医療を受けるためは、おそらく嚥下機能評価が大事になる。医療機関が増収するとか、そういうことは二の次だと思う。

そして、ちゃんと嚥下機能評価をせず、摂食機能療法を行うのは微妙だと思う。

ということをCBnewsの連載に書いた。

嚥下障害の医療介護連携を強化する病院 - CBnewsマネジメント


今週、少し大きめの仕事が片付いたので(そう思っているのは自分だけかもしれないけど)、休暇をもらい、久しぶりに山へ。体力の低下によるマイナスを、天気のプラスでカバー。それとおのれの限界を察知したエスケープルートの選択で、暗くなる前に、無事、下山。


嚥下機能も「評価」が大事。体力も「評価」が大事。どちらも過信は禁物。

2023/10/27

看護必要度の記事を書いたけど、ブログは個人的な愚痴です

ある学校の5教科のテスト。平均点は300点(国語・数学・英語は平均点が40点。理科・社会は90点)だったとする。


ちょっと良かったAさん320点(国70点、数80点、英70点、理50点、社50点)と

ちょっと悪かったBさん270点(国30点、数30点、英40点、理80点、社90点)がいたとする。


AさんとBさんは平均300点に対し50点差なので、すごく大きな差ではない。


ただ、国数英の主要3教科で比べると、平均120点に対し、Aさん220点、Bさん100点となり、ダブルスコア以上の差に。


理科と社会の暗記が得意なBさんは、Aさんと違って苦労しそうな雰囲気である。一方、Aさんは自力勝負であまり勉強しない点が、理社の悪さに。


突然、意味不明なことを書いたが、これが先日のCBnewsの記事の内容。評価軸が5教科から3教科に変わるなら、いままでと違う差があぶり出される。自分の病院がAさんタイプか、Bさんタイプか。どちらであるか把握しておくべき(もちろんテストの話などではなく、看護必要度のデータ分析結果を基に、対策やあるべき評価制度などについて真面目に書いた)。

B項目廃止なら同時に評価すべき取り組みとは - CBnewsマネジメント

(最近掲載してもらったと思ったけど、18日掲載なので、もう10日くらい過ぎてた。ここ最近の記憶がない・・・)


ちなみに、マニアックな話をすると、5教科のテストは、平均点も分散もばらばらで、それをただ単純に足しただけでは、総合力を判断することはできない。今回の例のように平均点が大きく異なっていれば、実力のある生徒は、国数英では差がつきやすく、理社では差がつきづらい。5教科を均等に足した評価をするならば、点数の分布を合わせる必要があり、一般的なのは偏差値だろう。5教科の平均偏差値(5教科の合計点の偏差値ではない)であれば多少ましになる。ただ、それも絶対ではなく、結局、科目ごとの点数の分布次第というのが難しいところだ。

なお、今回登場したAさんでもBさんでもない、とても成績の悪いCさんが同じ屋根の下に暮らしていて、大変悩ましい・・・ということを愚痴りたくて、ついついこんなブログに。

2023/10/13

特定の病院広報誌に過去最大の感情移入

あまり芸術とか美術とか、そういう類の趣味があるわけではないのだが、何だかとても気になっているイラストレーターさんがいて、本を買ったり、カレンダーを買ったりしていた。作品の中にはうんこドリル(うんこドリル カタカナ4さい | Amazon)の挿し絵なんてものもあり、おもわず、これも買ってしまった。

そんなイラストレーターさんが、愛仁会千船病院の広報誌の表紙を手がけたと知り※、勝手に大興奮。

社会医療法人 愛仁会 千船病院 広報誌 虹くじら


色々な病院の広報誌を見るのは仕事上日常的にあるのだが、仕事抜きで、個人的な感情が全面に出た状態で、広報誌を見るのは初めての経験かも・・・。

ちなみに、言うまでも無いが、中身も間違いなく素晴らしいので、ぜひみなさまご覧になられては!!

※2週間前に見かけたインスタの投稿

2023/10/12

貴重な医療・介護の働き手を地域で融通することが大事なわけ

医療提供体制と医療需要のミスマッチは、地域医療構想などにより可視化が進んだ。また、ミスマッチがあったとしても、単純に機能転換の必要性を感じるわけではないことは、多くの医療関係者の共通認識だろう。機能転換の必要性は、需要のミスマッチだけで喚起されるのではなく、大抵は、診療報酬改定などの制度変更、患者確保などの周辺施設との競争環境の変化などの理由で切迫感を持って感じるものだ。

ただ、先駆的な組織は、そうなる前に、潮流を読み、手を打っている。その違いは大きい。

今回のCBnewsの記事は、病床機能転換の先、医療から介護へのシフトをテーマにした。

一般病床から介護医療院に転換できる? - CBnewsマネジメント

これも先駆的なところでは当たり前すぎて、つまらない話だろう。ただ、病院しか持たない組織においては、取りうる選択肢が限定的である。それだけに、全国のさまざまな取り組みを参考にしたらよいのでは、と考えている。

記事で示した分析結果は、地域の貴重な人材について、今後、流動性を高めることが重要であることを示した。

と堅苦しい話を書いたが、もともとのこの分析は、10年ほど前に、さまざまな職種の必要人員数を試算したときの内容、ほぼそのまま。分析もうまく流用して、エコに・・・(介護まで広げたので、多少は進歩したか)。

2023/10/02

半年後のための仕込みを開始!

来年4月。半年後の話です。

超・完全解説! 2024年度診療報酬改定セミナー |東京法規出版

日本医師会ORCA管理機構主催のセミナーで、MMオフィス工藤氏とご一緒させていただきます。事務連絡を受けた直後にあれこれ戦略を考える機会を目指して、企画を練りました(アイデアを出したのは、工藤氏をはじめ、ほぼ他のみなさまで、自分はうなずくだけでしたが)。

幸せなことに、他にもいくつか工藤氏とご一緒させていただく機会に恵まれておりますが、他の回と違う内容をご用意できるよう準備してまいります(先々月から一部新しい内容の仕込みをはじめました。それが使えるかは未知数ですが・・・)。

アーカイブ配信もあるそうなので、ぜひご参加ご検討ください。

2023/09/22

データ分析結果の疑問を、少しずつ解消

以前データ分析を通じて疑問に思っていたことを、今月有識者・現場の方から話を聞くことができた。

また、下記の本で、具体的な記述も見つかった。

精神科医療の未来を見据えて | 寺田 悦子 |本 | 通販 | Amazon

その一部を引用(P.190の一部)。

経営面からいえば、訪問看護ステーションを巡ってM&Aが活発になるなど変化の時を迎えているとも感じています。大きな方向性として大規模集約化の流れにあり、小規模事業所を買収するなどの流れは加速しているようです。私たちの事業所でも所長たちにヘッドハンティングが来るなど、M&Aが活発になっているのを肌で感じているところです。

こうしたなかで、一部では精神科の訪問看護は利益を出しやすいというとらえ方がされていることもあるようですが、私は必ずしもそうではないと考えています。もしも24時間365日対応しなかったり、身体ケアをしなかったりといった手法で利益を生んでいるのだとしたら、それは本来の訪問看護ステーションのあり方とは違うと思うからです。

まだまだ色々理解が不十分。精進あるのみだ。

2023/09/20

誤嚥性肺炎を病院単位・患者単位で分析することで見えてくるもの

今日掲載いただいたのは誤嚥性肺炎がテーマ。

ここ数週間、誤嚥性肺炎のデータばかり見ていたので、何かしら記事に・・・(安直ですいません)。

誤嚥性肺炎の改定議論を踏まえた対応を考える - CBnewsマネジメント

時期的に改定を意識した内容でまとめたつもり。そして、なるべく、中医協の議論を踏まえ、資料を引用したので、「で、どうしたらいいの?」という疑問が生じるかもしれない。具体的な取り組みは、さまざまな病院のクリニカルパスや下記のような本の栄養管理の戦略などを参考にするのが良いと思う。

誤嚥性肺炎の主治医力 | 飛野 和則, 吉松 由貴 |本 | 通販 | Amazon
ちょうど手元にあった愛読書。栄養管理やチーム医療のページは必読

また、個人的には、同時改定を意識し介護との連携強化などの方向性を考えると、口腔ケアなどの評価が手厚くなることにも期待(「術後の誤嚥性肺炎等の外科的手術後の合併症等の軽減が目的」とされている周術期の口腔ケアの評価項目などを、うまく広げられないか)。

2週間前の記事は、高齢者救急の受け入れをスムーズにするための看護必要度の評価への私見

「高齢者救急」と診療報酬上の要件の「看護必要度」の相性はあまり良くない。

相性が良くないものを、無理やり合わせようとしているので、冷静に、かつ局所的に精査すれば、おかしなところが出てくる。

おかしなところを変えても、変えても、きりがない。病院だって変化するし(制度が変われば、対応するのは当然)、患者もゆっくりだが高齢化の進展などで変化する。

改定のたび、制度の進化だ、と捉えるの前向きな考え方もあるかもしれないが、もぐらたたきのような気もする。

CBnewsに載せていただいた記事では、救急医療管理加算に対する看護必要度の評価をどうするかを軸に、高齢者救急の受け入れ充実に対する考え方を述べた。(2週間前に掲載いただいたのに、すっかり忘れていた)

救急医療管理加算1と2で看護必要度の評価を変える? - CBnewsマネジメント

算定根拠が不安定な救急医療管理加算を頼りに、看護必要度の評価をしたことが果たして良かったのか。前回改定の心電図モニターみたいなことにならなければよいが・・・。

ちなみに、このCBnewsの記事の最後に、改定とは関係ない、診療報酬上の看護必要度の制度に対する持論を述べた。ずっと言い続けていることなので、またかよ、と言わずに、ぜひどうぞ。

2023/08/24

介護ロボット(見守り支援機器)の導入状況、調査結果が微妙・・・

CBnewsに電子カルテと介護ロボット(見守り支援機器)に関する記事を掲載いただいた。

電子カルテと介護ロボットの共通点 - CBnewsマネジメント


今回は下記の社保審 介護給付費分科会の資料がネタ元。

第215回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料|厚生労働省

その資料のうち、具体的にはこのテクノロジー活用の調査報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001104895.pdf)について触れた。

この資料の105ページ、「クロス集計3:施設・事業所規模別、見守り支援機器の導入概況」の説明文は下記のとおり。

施設・事業所規模別の見守り支援機器の導入概況について把握するため、職員数(実人数)および利用者数別のクロス集計を行ったが、一貫した傾向はみられなかった。一方、法人の売上高別の見守り支援機器の「導入済み」と回答した割合については、「5億円超10億円以下」の場合は 42.7%、「10億円超」の場合は 41.9%と、全体の 34.2%より高かった。(③「入所・泊まり・居住系」のみが回答対象)


一貫した傾向は見られなかったとある。しかしこれは調査区分の設定が原因で、傾向を言及できるだけの各区分のnを確保できなかった影響では?と思ったので、極端にnの少ない区分をまとめ、グラフにしてみた。すると、傾向がはっきりと見られた。

その結果を基に電子カルテとの類似性を指摘し、医療DXの話題を交え病院における今後の取組に関する考えを述べた。

今回の記事は、この介護給付費分科会の資料など、いつもと違うデータを基にグラフを作っているので、おかしいところがあったら、こっそりご指摘を。

2023/08/03

近い将来、自分の仕事はAIに奪われる

CBnewsに病床利用率の分析記事を載せてもらった。

コロナの影響が弱まった病床利用率の低迷 - CBnewsマネジメント

コロナの影響の可視化が目的。結論はタイトルに書いてあるので、なぜそのような結論に至ったか、記事をお読みいただけると幸いだ。


今回の記事は、病院報告(毎月分概数)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html)のデータを処理している。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html

上記サイトの各月のリンクをクリックすると、「結果の概要」のPDFとその図表のエクセルファイル、および、下記の内容が載っている「参考表」のエクセルファイルが掲載されている。

  • 参考表1 病院の1日平均在院患者数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表2 病院の1日平均外来患者数・外来患者延数,病院の種類・都道府県別
  • 参考表3 病院の月末病床利用率,病床の種類・都道府県別
  • 参考表4 病院の平均在院日数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表5 病院の在院患者延数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表6 病院の月末在院患者数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表7 病院の病床数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表8 病院の新入院患者数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表9 病院の退院患者数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表10 病院の療養病床,患者数・病床数・都道府県別
  • 参考表11 病院の介護療養病床,患者数・病床数・都道府県別
  • 参考表12 療養病床を有する診療所の1日平均在院患者数・病床利用率・平均在院日数,病床の種類・都道府県別
  • 参考表13 療養病床を有する診療所の療養病床,患者数・病床数・都道府県別
  • 参考表14 療養病床を有する診療所の介護療養病床,患者数・病床数・都道府県別


今回の記事では、この「参考表3 病院の月末病床利用率,病床の種類・都道府県別」を分析した。

たくさんのエクセルファイルをダウンロードするだけでも面倒だし、ましてや、ひとつひとつファイルを開いて、データ整理するのも大変だ。

なので、こういった単純作業は、ケースバイケースだが、Pythonでプログラムを組んで、処理することが多い(すでにその処理用のプログラムが揃っているので、大抵は若干の修正で対応できることがほとんど)。

実は、ただプログラムを組むのが楽しくて・・・ということも珍しくなく、むしろ記事にまとめることの方が少ない??(さすがに、クライアント向け資料、セミナー資料とかも合わせれば、そんなことはないか)

こういう”楽しみ”は、chatGPTなどの進化を見ていると、間違いなくAIに奪われる仕事だろう。将来、そのAIに使われるのか、AIを使うのか。どちらにしても、今は精進あるのみだ。

2023/07/24

医療介護のオープンデータ分析、話します

8月10日、新社会システム総合研究所のセミナーで、話をさせていただきます。

2025年、2040年に向けた ミクロとマクロのデータ分析に基づく エビデンスあるアフターコロナ時代の病院経営戦略 | 法人向けセミナー

MMオフィス工藤氏、メデュアクト流石氏と分担することで、私はマクロデータ、オープンデータの分析に特化した内容を担当いたします。前回、多くの方にご参加いただきました内容を、さらにパワーアップし、最新トピックを織り交ぜ、準備をしております。

ちなみに、私の担当はこんな感じになっております。具体的な戦略策定につなげることを意識するコツなどをお話できたらと考えております。


Ⅱ.マクロデータの分析手法と具体的な病院経営への落とし込み

〜DPC公開データや病床機能報告等のビックデータをどのように分析して経営に落とし込むのか〜

急速な環境変化に応じた経営判断に、DPC公開データなどのリアルタイム性の乏しいマクロデータ・オープンデータの活用は一見相性が悪いように思われています。しかし、目的を明確にした上で、それぞれのデータ特性を踏まえた分析を行うことで、様々な活用ができます。具体的な活用方法を示しながら、2024年同時改定を見据えた病院経営の課題把握・戦略策定について解説します。


1.マクロデータの特徴、メリットとデメリット

2.急性期病床の経営課題とマクロデータの活用

3.回復期・慢性期病床の経営課題とマクロデータの活用

4.オープンデータから考えるかかりつけ医・介護施設との連携強化

5.まとめ


もしご都合があえば、ぜひご参加検討ください。

2023/07/22

間違っていなかったとほっとする一方で、改めて厳しい現実を痛感させられるニュース

信越放送のニュース。

少子化の影響ここにも 分べん数の減少が産科医療を直撃 経営成り立たず閉院を決めた産院も 模索が続く医療現場の今 (長野) | SBC NEWS | 長野のニュース | SBC信越放送

中村院長 「年間に500件とか600件とかあれば、十分黒字になってたが、300件を切ると、人件費率が非常に上がってくるので経営的には厳しい」


非常に厳しい状況であっても、地域の医療従事者の尽力で、何とか踏ん張っている状況がひしひしと伝わってくる。周産期医療の状況についてデータ分析した内容を、4月にCBnewsに掲載いただいた(経営の厳しい周産期医療に異次元の配慮を - CBnewsマネジメント)が、このニュースは、その記事内容とリンクしてくる。

今週も、ある地域でこの分娩数「300件」は境界線になってしまう話をさせてもらったのだが、このようなニュースを聞くと、それほど現場での認識とずれていなかったとほっとする一方で、厳しさを痛感させられる。


CBnewsに記事を掲載いただいたときに書いたブログはこちら→ 有床診療所のデータを見ることが重要な周産期医療


 

2023/07/21

2つの”旬”を逃した白内障の分析記事

次期改定に向け、中医協の議論が活発化している。タイムリーなトピックをタイミングよく出すか、あらかじめ整理できている内容を出すか、いつも迷う。

今回は白内障と化学療法の外来移行のネタを準備していて、結局、下記の白内障を選んだ。

白内障手術は外来移行すべきか - CBnewsマネジメント

昨日の入院・外来医療等の調査・評価分科会は、どうやら化学療法がテーマのひとつだったようで、タイムリーさで、選択を間違えたか・・・と少しだけ悔しんだ。

外来化学療法室のキャパシティについても、ここ半年ほど独自で調査していたのだが、昨日の資料は色々と参考になるので、ありがたい。

令和5年度 第4回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00198.html)

で、話を白内障に戻すと、今から対応すべき内容は記事の最初と最後に書いたつもりなので、ご興味があれば、ぜひ。

また、今回は第7回NDBオープンデータ(2020年度診療分)を分析したグラフを使っているのだが、これもちょうど今週第8回(2021年度診療分)が公表された。

第8回NDBオープンデータ(mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221_00012.html)


なんとなく、どちらも旬を逃してしまったという微妙な気分に・・・。ただ、次回こそは!と意気込んだところであまり意味がないので、日々分析に精進するしかない。

2023/07/06

徳島と高知の位置がおかしいグラフをどうぞ

後発医薬品使用体制加算は、そろそろなくなるんじゃないかと思っている。安定供給に懸念がある中で、使用割合でにんじんをぶら下げるのは、倫理観か何かが崩壊しているのではないかとすら思う。

一方、限られた医療財源の効率的な利用、自己負担を重く感じる患者に対する選択肢の提供を考えると、後発医薬品の推進は重要。

落とし所は、後発品のある薬剤で先発品を選ぶ場合は、患者の自己負担の調整をするのが良いと思っている。

金額ベースで目標導入するのは少し微妙かな・・・と思いつつも、現状の理解と考えを整理したのが、下記のCBnewsの記事。

金額ベース目標導入で変化する後発医薬品採用戦略 - CBnewsマネジメント

有料記事部分には、徳島・高知の位置がおかしいグラフがある。徳島は有名なので、多くの方がご存知かもしれないが、県の取り組みも興味深い(徳島県後発医薬品適正使用協議会について|徳島県ホームページ)。



今回、元々は生産性向上を切り口に、適切な薬剤費負担をテーマに書こうと考えていた。例えば、キット製剤のメリットは下記のように挙げられている

  1. 薬剤の調製作業が簡素化されることにより,医療従事者の作業効率が向上し,緊急時における迅速対応が可能となる.
  2. 細菌汚染,異物混入の機会が低減される.
  3. 投薬調製時の薬剤取り違い防止など,医療過誤防止に有効である.
  4. 保有する薬剤数を低減でき,在庫管理の負担が軽減され,労力の減少や経費節減となる.
    ※キット製品について ―特に,TPN 輸液のキット製品について―,  薬剤学, 75 (4), 240-243 (2015)


なので、キット製剤の採用状況を見たら、何か示唆に富むのでと思ったのだが、事情はコロナで複雑になってしまったようだ。下記のようなグラフを準備したものの、うまく原稿はまとまらず・・・。


NDBオープンデータ(第1回~7回)を基に作成

キット製剤の比率が上がっていた(瓶・管の比率が下がっていた)のに、2020年度はキット製剤が減ってしまった。これではよくわからないので、今後、対象薬剤を色々変えて、詳細な分析をしてみようか・・・。


2023/07/04

口腔衛生管理の切り口で・・・

2021年度介護報酬改定、施設系の口腔衛生管理加算。

出所: 老健局老人保健課 「令和3年度介護報酬改定について」より引用

届出の有無は入所日数などに影響しているか。この加算の届出だけが日数に影響するわけではない。なので、箱ひげ図で分布を見たところで、どこまで参考になるか分からないのだが・・・。

出所:厚生労働省 介護情報公表システム(2023年6月20日確認)を基に作成

届出をしている施設は入所日数が短そうだ。ただし、これは、届出をしたから短いのか、短い施設が届出をしているのか。どちらか分からない。少なくともこれだけで、口腔衛生管理加算が日数を短くしたとは言えない。

また、定員数の少ない施設は届出していないところが多そうだ。

さらに、LIFEで口腔衛生状態、口腔機能の状態、歯数や歯周病、食形態などの情報がつながってくると、歯科衛生士の介入効果などが見えてくるのではないだろうか。

今回は、まだおかしい値などを除外しきれていないので、箱ひげ図でとりあえず見てみたのだが、まぁ色々分かることはありそう・・・ということで、今後も分析を続けていこうと思う。

2023/06/24

少子化対策の記事は、負のサイクルの図を紙とペンで整理しながら何のデータを分析するか考えた

この1ヶ月ほど分析作業に追われ、あまり記憶がない。ブログで引用していないCBnewsの記事が2つあった。認知症ケア加算は今週なので、さすがに内容を覚えているが、少子化対策は記憶が怪しい。

少子化対策で少子化が加速する未来は避けたい - CBnewsマネジメント

次期改定までに考えたい認知症ケア加算の充実 - CBnewsマネジメント


認知症ケア加算は、医用工学研究所主催のセミナーでもテーマにさせていただいたので、自分で自分を追い込み、

医用工学研究所様のセミナーでチラ見せした本たち

まだ他にもあった。あと電子化したので写真にはないものが少し、かな?

気がついたら、認知症・身体拘束・転倒予防などの本がこんなにあったのだが、セミナーや記事などにどこまで反映できたか・・・。

あと、CBnewsの広報アワード、審査のお手伝いをさせていただいた。連載させていただいている立場で、かつ「経営の視点で独自の評価を」とお願いされたら、特に断る理由もなかった。それゆえ軽い気持ちで引き受けたのだが、どれもこれも素晴らしく点数で良し悪しをつけることなどできず、どれだけ苦しんだことか。そして1~2時間の作業で済むと思っていたのに、結局、何日かかったことか。

最終的な審査結果などは、CBnewsのサイトに出ているとおりなのだが、この結果に関係なく自分には素晴らしいと思うものがたくさんあって、この1ヶ月くらい、それを誰かに話したくて話したくて、どうしようもなかった。

まだ一般投票も残っているし、オンラインイベントやホスピタルショウのイベントなどもあるので、ぜひ上記の記事にアクセスを。

2023/05/25

専門性を発揮し、患者の病態変化に気づくには

看護師が患者のちょっとした変化に気づき、医師などと情報共有し、適切な診断・治療に至る・・・といった話は珍しくない。これは薬剤師や管理栄養士、リハビリセラピストなども同じで、なるべく患者のそばにいることで、変化に気づくことが可能になる。

薬剤師は、院内処方から院外処方へのシフトにより、調剤室から病棟へ、その活躍の場を変化させている。リハビリセラピストもリハ室からベッドサイドへ、そして、管理栄養士も厨房から病棟へ、その場所を移動させている。

とは言え、管理栄養士はまだまだ積極的に病棟配置をしておらず、配置をしているところは限られている。このような実態について、統計データや病床機能報告のデータから可視化し、今後どうなるのか、どうあるべきか考えてみた・・・というのが、今回のCBnewsの記事。

厨房から病棟へ、管理栄養士の病棟配置要件化を考える - CBnewsマネジメント

記事では診療報酬改定の内容次第で、急速に管理栄養士の病棟配置が進む可能性を示した。配置の重要性を鑑みれば、今から何をしたらよいか、自ずと見えてくるのではないか、というのが今回の結論。お読みいただけると幸いだ。

2023/05/11

●■%の病院が脱落するから基準を◎から△に変えよう!

そんな改定をして、誰が幸せになるのか?

基準をクリアできた病院は、満たせなかった病院を尻目に「うちはクリアできた、よし!」と感じるだろうか。

基準を満たせなかった病院に入院した患者は、「受ける医療に見合った費用負担になった。すばらしい」と感じるだろうか。

保険者は、●■%の病院が脱落して、保険料の財源が守られたと感じるだろうか(感じそうだな・・・)

前回改定では、看護必要度について様々な議論がなされたが、最後、4つの案が示され、公益裁定で案3になった。その4つの案のシミュレーション結果のうち、基準を変えない場合の脱落する病院割合をグラフにした(下図)。

中医協資料を基に作成

案3と案4のどちらが適切かはよくわからない。案4は影響が大きすぎ、案3が落とし所と受け取れるような結論になった。

こういった決め方は、22年度改定に限らず、過去の看護必要度の改定はどれも似たようなものだ。たくさんデータ分析した資料が出てきて、それに基づき議論したところで、全然科学的でない。

という現状に対するアンチテーゼ的な意味合いで、下記の記事を書いた。

看護必要度、骨の手術の評価は6日間が妥当? - CBnewsマネジメント

ただ、これで「そうだよね。看護必要度の議論は科学的でないよね」とみんなで慰めあったところで、おそらく次の改定も、何%の病院が脱落する・しないで議論をする。なので、どういった対応をすべきか考える内容で締めくくった。

2023/04/26

届出データはかかりつけ医の特徴把握に有用か

CBnewsに新しい記事を掲載いただいた。

二次性骨折予防に積極的な地域はかかりつけ医を巻き込む - CBnewsマネジメント

前回(有床診療所のデータを見ることが重要な周産期医療)が、背景に「有床診療所のデータ分析」というテーマがあったのに対し、今回は有床診だけでなく無床診療所も含めた「診療所のデータ分析」がテーマ。

周辺診療所の特徴を把握したいときに、医師の専門とする診療科や設備などの情報に加え、連携に積極的な診療所、在宅医療に積極的な診療所などの特性は、届出データなどを見ることが有用と考えている。

有用ですよ・・・だけでは、分析にならないので、二次性骨折予防を絡めた。二次性骨折予防で病診連携に積極的な地域が増えてきているので、それをデータで示せないかというのが今回の記事における自分のチャレンジ。

記事では、二次性骨折予防の取り組みは現状整形の先生中心で認識が浸透しつつあることを紹介した。加えて、積極的な地域では内科系のかかりつけ医もその輪に入ってきていることが見えた。二次性骨折予防の対象の多くは高齢患者で、さまざまな基礎疾患を持っていることがほとんどである。効果的な二次性骨折予防の取り組みとその継続には、かかりつけ医の関与が不可欠で、積極的な地域はそのように動いているということだろう。

病診連携の参考になれば幸いだ。

2023/04/18

有床診療所のデータを見ることが重要な周産期医療

先週、CBニュースに掲載いただいた記事。

経営の厳しい周産期医療に異次元の配慮を - CBnewsマネジメント

正常分娩に対し保険適用する議論も始まりそうなので、そのような状況を客観的に考えてみたかった。では、年何件の分娩があれば、経営が成り立つのか?

少子化が進めば、確実に経営は厳しさを増す。だからといって、やめられない事情がある病院・診療所もあるだろう。

2ページ目のグラフ5が、データから見えてくる自分なりの整理&論旨。今回は有床診療所のデータも一緒に見ることで、収益性に対するヒントをもらった気がしている。純粋な周産期医療に対する一考察として、また、有床診療所のデータ分析例として、何かしら参考にいただけると幸いだ。

2023/03/31

DPC公開データの2021年度実績を使った記事、書きました!!

先日の話題(都道府県の循環器病対策推進基本計画から地域性を考える - 株式会社メディチュア Blog)の続き、と言われれば、そのとおり。また、循環器病対策。

急性期病院の病床高回転化は、正直、場合によってはデメリットが生じていることもあるくらい、急速に進んだ。アメリカのように、あまりの医療費の高さゆえ早々に退院する国と比較しても仕方ないことも重々承知している。保険制度が違えば、受ける医療内容が違うのは当然のことだ。

で、その高回転化の推進において、矛盾を感じるポイントを挙げるならば、

  • 周産期(赤ちゃんを母体になるべく長くとどめておきたい)
  • 終末期(患者・患者家族が高度な医療を望むケースや、QOL向上に医療資源投入が必要なケースなど)

などは、診療報酬の制度に改善の余地があるのではないかと考えている。DPCの効率性係数のようにインセンティブをつけることに対し納得感を高めるためにも、医療従事者のモチベーションを下げないためにも、患者が受ける医療の質を向上させるためにも、である。

その終末期に関して、心不全患者はどこで看るべきか。現状、急性期病棟で看ているケースが少なくなく、在院日数が長いケースも珍しくない・・・・という話をするために書いたのが下記のCBnewsの記事。

急性期病院での病床高回転化のポイント - CBnewsマネジメント

課題解決には、院内の取り組みの範疇を超え、地域を巻き込むしかない。そう思っている。それを示唆する分析結果も示したので、参考にいただけると幸いだ。


と、ここまで偉そうなことを書いたが、ただDPC公開データの2021年度実績(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196043_00006.html)をいち早く使いたかっただけというのは、半分本当で、半分うそ。

2023/03/29

都道府県の循環器病対策推進基本計画から地域性を考える

今年1月から3月にかけて、循環器病対策推進計画に関連する分析作業をしていた。それに関連した資料へのリンク、メモ書き。


厚生労働省


各都道府県の計画(気になったところをピックアップ)


その他、ヒートショック対策の重要性など


CBnews執筆記事

2023/03/27

社内ディスカッションメモ(下関)

下関医療圏地域医療構想調整会議 - 山口県ホームページ

令和4年度 第1回(第1回下関市医療対策協議会)
日時:令和5年3月2日(木曜日)19時00分~20時30分

資料6-2 下関医療圏公立・公的等4病院意見を踏まえた再編・統合の必要性と方向性等について (PDF:2.22MB) 142040.pdf

資料6-3 下関医療圏において4病院体制から3病院体制となる場合の病院の連携に対する下関市の考え方について(案) (PDF:45KB)142041.pdf

3病院は、下関医療圏の3病院による急性期医療体制を効率的に持続可能なものとするよう、各病院が過度な競合を回避する等のため、定期的な協議を行いながら役割分担・連携強化等の取り組みを行いつつ、その在り方を適宜見直す仕組みを構築したい。(資料6-3より引用)

 

2023/03/17

地ケア、心不全、起立性調節障害

CBnewsに掲載いただいた記事のご紹介(この1ヶ月弱、色々ばたばたしており、いまさらですが・・・)

今月頭に掲載いただいたのはこれ。

地ケアのポストアキュート機能を殺す転棟制限 - CBnewsマネジメント

地ケア病棟で大腿骨頸部骨折や脳梗塞のリハ患者を看ていることがある。別に珍しい話ではない。診療報酬改定で院内転棟の制限が課せられると、こういった患者の流れは厳しくなる。

回リハを持てばよいのでは? 回リハに転院させれればいいのでは?という主張は、大都市部ではごもっとも。ただ地方部では、疾患制限のある回リハを1病棟持つのは厳しかったりする。(実際、二次医療圏の人口規模が小さいところは回リハの病床が少なかったりする。もしくは人口当たりの病床数は極端に多くなったりすることも)

現状、地ケアの院内転棟制限は6割以上。逆に言えば、6割未満ならOKで、絶対ダメとは言われていない。まだ多少「さまざまな使い方」が許されている。どういった形が地域においてベストなのか、将来に向け前向きに議論できるのではないだろうか。


もうひとつは今週掲載いただいたもの。

長期的な視点で考える心不全パンデミックへの備え - CBnewsマネジメント

心不全患者の増加は、後方病床が詰まることによって深刻化すると考えている。その課題感をデータで見た。このような分析は、かなり前から、あるクライアントで継続的に議論させていただいてきた。患者調査等のデータで、急性期病床における需要と後方病床の需要をいかに切り分けるかが難しく、推計の独自ノウハウであったりもする。ただ、その当たりの試行錯誤はほぼ端折って、単純に今後の課題感を共有することを第一義に記事をまとめた。

先日、NHKで特集が組まれていたから、そのデータを引っ張り出してきただけ? いやいや、そんなことはない。最新データで試算しなおした。


あと、今週、高校の同級生がNHKのきょうの健康に登場した。

誤解しないで!この病気 「起立性調節障害」 - きょうの健康 - NHK

きょうの健康を10年以上録画し見続けているので漏れはないつもりだが、同級生の登場は初ではないだろうか。

2023/02/26

データは不完全なので、あくまでご参考ですが・・・

地域包括ケア病棟入院料2(総病床数200床以上)の院内転棟割合分布(ただし集計結果は届出受理医療機関名簿上、数値が載っている施設のみを対象)。40%以上から60%未満に病棟が集中。


当然だが、院内転棟割合は正規分布にならない。コントロールできる数値であることに加え、診療報酬制度による制約が加わったことにより、このような分布に。

つまり「経営上の努力」が現れてくると考えてもよいだろう。患者が困らないために、病院が困らないために、財源が困らないために。何がベストだろうか・・・。

2023/02/25

社内ディスカッションメモ(匝瑳市の事例)

平成29年11月2日 基本構想・基本計画(案)の答申 | 匝瑳市公式ホームページ

平成29年11月2日、国保匝瑳市民病院新改革プラン及び建替整備検討委員会から答申書が提出されましたが、病院の経営状況が悪化していることから、建て替え整備に関する検討は一時保留することになりました。

今後は経営の健全化に最優先で取り組み、一定の改善が見られた段階で検討を再開することになります。(国保匝瑳市民病院建替整備基本構想・基本計画(案)に対するパブリックコメントの実施結果について | 匝瑳市公式ホームページ) 

令和5年2月9日 「国保匝瑳市民病院建替整備基本構想・基本計画(案)」に対するご意見をお寄せください | 匝瑳市公式ホームページ


2023/02/24

社内ディスカッションメモ(オンライン診療)

網羅型


専門特化型


プラットフォーム型

その他・海外



2023/02/16

医療と介護の接点を、データで読み解く

データ分析を専門としている弊社。医療データの分析は、学生時代の研究から今まで、さまざまな失敗や紆余曲折も含め、多くの経験を積んできた。一方、介護は弱い。この2年ほど、クライアントの協力を得ながら、ほぼ水面下でノウハウを積んできた。とはいえまだまだ胸を張れるレベルではないことは重々承知で、今後、データ分析の結果を小出しにしていこうと考えている。

今回のCBnewsの記事は、その第一弾(一弾で終わりそう・・・)。介護施設のデータの可視化を通じて、病院の連携強化を図るにはどうしたらよいか考えたもの。

医療介護同時改定に向けた連携データの可視化 - CBnewsマネジメント

介護施設(今回の記事であれば老健)の特徴を把握することで、

・連携の余地を探る

・同時改定の議論をより深く理解するため有益な情報を得る

この2つを実現できないか考えてみた。介護領域の知識と経験の不足を露呈しているだけで、有益なものは何もない、と厳しい声が聞こえてきそうだが、めげずに色々なデータを出していくのでどうか温かい目で見守っていただきたい。

2023/02/03

FAXの活躍ぶりに嫉妬する

今週掲載いただいたCBnewsの記事。

非効率な診療所CT利用状況から見える未来 - CBnewsマネジメント

現状の1台当りの患者数を見ると、診療所は病院に比べ明らかに少ない。高額な機器が十分利用されていないゆえに、設備投資・維持費用に対する収入が少ないことが想定される。診療報酬点数の決め方を考えるなら、医療経済実態調査などを通じ、診療所のCT・MRIが「収益性が悪い」となれば、その点数が上がることを期待する。ただ、そうはならないだろう。

第8次医療計画や次期地域医療構想、外来機能報告などにより、CT・MRI等の高額医療機器の共同利用を推進するはず。にもかかわらず、診療所の点数を上げることは考えにくい。

それゆえ、診療所が競争力確保を主目的に、CTやMRIを持つのは早晩厳しくなるだろう。これは診療特性によりCT・MRIが必要不可欠なところが持つことを否定するわけではない。(例えば、緊急性が求められる救急領域を担うところや、撮像件数が多い診療領域を担うところなど)

このような将来を見据え、地域で限られた医療資源を有効に活用することに対し、もっと積極的になるべきというのが今回の記事の主旨。

ただ、様々な地域で、高額医療機器の共同利用の業務フローを見ていると、電話・FAXの登場頻度が高い。特にFAX。文書のやりとりをするためFAXが便利、高齢の開業医でもFAXは使えるなど、様々な理由でFAX最強。

あまりのFAXの活躍ぶりに、これは近々デジタル大臣の視察もありえるな、なんてことまで勝手に想像している。

もちろん、下記のようなシステムなどを利用し、ウェブ対応しているところもあるのだが、これはこれで、診療所の登録が進まない、困ったら結局電話が・・・みたいな話も聞く。

地域医療連携サービス C@RNA Connect | 富士フイルム [日本]

国立病院で初となるLINEを活用した予約システムの導入をサポート 九州医療センターLINE公式アカウントで初診・画像検査の予約機能の提供を開始 | LINE Fukuoka Corporation

しかし、病院側が「電話・FAXだけ」というのはそろそろ時代遅れになるだろう。ゆえに冒頭の記事を書いた。お読みいただけると幸いだ。

2023/01/20

大変なのは、家計も病院経営も

今日発表された消費者物価指数(統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要))は、41年ぶりの上昇率だそうだ。

41年ぶりのことを報じた日経の記事

消費者物価22年12月4.0%、41年ぶり上昇率 通年は2.3%: 日本経済新聞


今回のCBnewsの記事は、その消費者物価指数も含め、この1年の病院経営に対する急速な環境変化について、まとめたもの。

納得度の高い燃油サーチャージの制度 - CBnewsマネジメント

有料部分では人件費についても触れているので、お読みいただけると幸いだ。

2023/01/14

社内ディスカッションメモ(MBS 医のココロ 「地域医療の未来」など)

今週のディスカッションネタ。(後者は、ディスカッションというより、雑談に近いか)


地域医療の未来 | 医のココロ presented by 沢井製薬 | MBS 毎日放送

すでにTVerで見ることもできたが、ノーカット版が10日から上記サイトで公開されている。


アステラス製薬・エーザイ・第一三共・武田薬品、環境負荷低減へ医薬品包装分野で連携: 日本経済新聞

上記は11日の日経産業新聞の記事。昨年10月の日経に、PTPシートの記事が載った際にも、社内で話題になった。 ちなみにPTPシートに薬が残っていると回収できないらしい。⇒ 薬の包装シートをリサイクル 第一三共系、横浜で実験: 日本経済新聞

これも関連ニュース ⇒ 薬の包装シート、アルミとプラに分別して再生 名古屋市立大が実証実験へ:中日新聞Web


2023/01/07

「何でも屋」は便利だが、診療報酬制度を考えると業務整理を検討すべきでは

中小病院で急速に進む医師事務作業補助者の充実 - CBnewsマネジメント

新年最初の記事を掲載いただいた。医師事務作業補助者の充実は中小病院も例外でない。

中小病院では、「うちの規模で医師事務作業補助者がいるところなんて、まだまだ少ないでしょ?」、「医師事務作業補助者にしてもらう業務なんて、うちにはあまりないよ」、などと言われることが珍しくない。

ただ、やるところはしっかりやっている、ということを言いたくて、今回の記事に。

中小病院で、加算の届出をしているところは、「医師事務作業補助者を増やす」ことに長けているのではなく、「医師事務作業補助者がすべき業務」の整理に長けている印象が強い。看護師、薬剤師、医事課職員などが行っている業務が、実は医師の事務作業だった・・・ということが珍しくない。そうであれば、新たに医師事務作業補助者を採用せずとも、業務整理をすることで、診療報酬の要件を満たすことができる。

つまり、中小病院でありがちな「何でも屋」が気を利かせている状態(決して悪いわけではないのだが、診療報酬上のメリットがなく、属人的な業務が増えることでリスクの高い状態)を見直し、業務整理することで、医師をはじめとした資格職の生産性向上、医療の質向上につながるのでは、と考えている。

今回、記事の無料部分で、関連する内容に言及している社保審の取りまとめ資料を引用した。引用したのは直近の社保審の資料なので、よろしければ、そこだけでもどうぞ。

いまこそ身につけたいデータ分析のスキル

■新年に何か新しいことを始めるならば「データ分析」に挑戦を

第39回2022年新語・流行語大賞(https://www.jiyu.co.jp/singo/)で「リスキリング」がノミネートされた。自分の業務関連でこの用語を使うことがなかったため、流行している実感はあまりなかったものの、さまざまな媒体で見かけた。無理に流行り言葉を使う必要はないが、『リスキリングしなければ、企業内で「価値を生み続ける」人材として生き残れない』という主張などには同意である。 
※経済産業省 第2回デジタル時代の人材政策に関する検討会 石原委員プレゼンテーション資料 第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会(METI/経済産業省)

週刊東洋経済 2022年10月22日号(https://www.amazon.co.jp/dp/B0BC15Q3XT)の特集「学び直し全ガイド 50代からの稼ぎが変わる」では、デジタル人材を目指したい人のターゲットとして「データ分析」「Webマーケティング」「情報セキュリティ」の3つが挙げられていた。以前から、データ分析のスキル不足は、EXCEL操作のような分析ツールに関するスキル不足(分析の「やり方」)と、課題抽出やデータの意味などを理解するスキル不足(分析の「使い方」)に分けられ、不足を補うには計画的に学んでいくことの重要性を述べてきた。例えば、病院で求められるデータ分析スキルを、下記のように整理している(図)。 

病院で求められるデータ分析スキル

週刊東洋経済の特集において、データ分析の詳細記事では、「データ分析をする立場でなく、データ分析を基に判断をする立場だとしても、それを正しく読み取る力が必要になってくる」と述べられている。これは、データ分析自体に加え、データ分析をどう使うかがいかに重要かを強調しており、上図の「使い方」は分析作業を行う以外の人もスキルとして身につけていくべきだろう。

■何から手をつければ分からない人は、統計局のウェブサイトへ

これまで業務上まったくデータ分析と縁のない人は、初学者向けの簡単な統計やデータ分析の書籍からスタートしてみてはどうだろうか。いきなり書籍を手にするのはハードルが高いようであれば、総務省統計局の「データサイエンス・スクール」をおすすめする。 

総務省統計局 データサイエンス・スクール 統計力向上サイト
総務省統計局 データサイエンス・スクール 統計力向上サイト
https://www.stat.go.jp/dss/index.html

このサイトには、統計に関する基礎的な知識について、ポイントを押さえてくれていることに加え、実践的なオンライン講座などもある。現在、「社会人のためのデータサイエンス演習」が開講中、「誰でも使える統計オープンデータ」が受講者を募集中である。このような講座は、院内システムの操作方法を教えてくれるわけではない。DPCデータ分析やレセプトデータ分析でもない。そのため、明日からの自分の業務に役立つ知識ではないかもしれない。しかし、このような知識の獲得は、基礎体力の増強となり、今まで利用していたBIツール上で、新たな発見が生まれたり、会議での発言に説得力が増したりするかもしれない。

■そもそもなぜデータ分析が必要なのだろう?と思ったときや息抜きにおすすめする本、5選

今からデータ分析を学ぶのは億劫と思う人や、力みすぎて疲れてしまった人に向けて、データ分析に関連する本を紹介する。いままで読んできた書籍と異なるジャンルにチャレンジするのも、新たなスキルを身につける第一歩になるのではないだろう。

FACTFULNESS(ハンス・ロスリング)
言わずとしれたベストセラー。思い込みではなく、データを見ることの重要性を再認識させられる。多くの人が気づきを得るためのデータの見せ方を学ぶこともできる。https://www.amazon.co.jp/dp/4822289605

「原因と結果」の経済学(中室 牧子、津川 友介)
相関関係と因果関係を理解する。ロジカルな考え方を学ぶのに有益な書籍。https://www.amazon.co.jp/dp/447803947X

イシューからはじめよ(安宅和人)
データ分析の前にすべきことは、問題を見極めること。その徹底こそが分析の充実につながることを理解できる。https://www.amazon.co.jp/dp/4862760856

Google流 資料作成術(コール・ヌッスバウマー・ナフリック)
原題は「Storytelling with Data: A Data Visualization Guide for Business Professionals」。Google流とついてしまったせいで、軽い感じの本になってしまっているが、元々はデータによるストーリーテリングのための本。ビジュアライゼーションの本はさまざまあるが、本質的なことを理解するには最適な本。https://www.amazon.co.jp/dp/4534054726

数字力×EXCELで最強のビジネスマンになる本(田中耕比古)
タイトルにはEXCELとあるものの、EXCELではなくデータを活かすことの基本を理解するのに有益な本。 https://www.amazon.co.jp/dp/4798144118

2023/01/04

本年もどうぞよろしくお願いいたします

昨年末は、11年以上使っているキーボードの掃除を。何かをこぼし汚れてしまったせいで、一部のキーの戻りがおかしかったので分解・洗浄。無事、元の感触に戻った。

11年使い込んだキーボードはなかなか手放せない

洗浄しても治らなかったり、分解したものが戻せなかったりしたら大変と思い、同じキーボードを買っておこうとAmazonのサイトを見たのだが、11年前に2000円で買ったキーボード&マウスセットは6000円もしていた(しかも中古品で)。さすがに6000円は出せない。

結局、うまく直って良かった。今年も、この使い込んだ良き相棒とともに、分析に注力していく所存である。